無実の罪で牢獄に入れられた男の復讐劇を描いた、アレクサンドル・デュマの名作『モンテ・クリスト伯』。これまでに幾度となく映像化、舞台化されてきた本作のミュージカル版が日本に初上陸する。『アリス・イン・ワンダーランド』のジャック・マーフィーが脚本・作詞を手掛け、『ジキル&ハイド』『スカーレット・ピンパーネル』などで有名なフランク・ワイルドホーンが作曲した作品を、山田和也が演出。主演に石丸幹二を迎えて上演する。公演を前に、復讐に燃える男エドモン・ダンテスを演じる石丸が、作品にかける想いを語った。
日本初演となる今回、楽曲には、日本ならではのアレンジがワイルドホーンによって加えられている。『ジキル&ハイド』などの出演で、ワイルドホーンの曲を知る石丸は「日本キャストオリジナルのアレンジで、個性のある楽曲を手掛けてくださっています。メロディメーカーであるワイルドホーンの曲は、とても技術が必要とされるんです。その分、歌いきったときには心地よい充実感が味わえるので、しっかりと歌いこなせるように稽古していきたいと思います」と意欲を見せる。
石丸が演じるエドモン・ダンテスは、幸せの絶頂にあった最中、エドモンを憎む友人たちから罠にはめられ、無実の罪で投獄される。やがて脱獄に成功したエドモンは、モンテ・クリスト伯と名乗り、復讐を実行していく。「僕は40代後半なんですが、17~18歳の頃から演じるのが見せどころのひとつですね(笑)。原作は長大な物語ですが、このミュージカルでは、復讐と、婚約者であったメルセデスとの心のやり取りのふたつに焦点が当てられています。ドラマがしっかりとしているので、エドモンがモンテ・クリスト伯になってから、どんな想いで人と向き合っていくのかを観て頂ければと思います」。
また、ドラマ『半沢直樹』に出演した経験から、「ドラマでじっくりと復讐の仕方を盗みとってきましたので、活かしていきたいですね(笑)。復讐だけでなく、最後には人を許すことや思い遣る気持ちに気付いていく、人間の成長物語と捉えています。モンテ・クリスト伯の心の奥には、とても深い想いがあると思うので、そこを大事にしつつ演じたいと思います。罠にはめた3人の男性に対しては、クールにきっちり"倍返し"したいと思います(笑)」と、冗談交じりに語ってくれた。
ミュージカル『モンテ・クリスト伯』は12月7日(土)から29日(日) まで東京・日生劇場、2014年1月3日(金)から5日(日)まで大阪・梅田芸術劇場 メインホールで上演するほか、愛知、福岡でも公演。チケットは発売中。
取材・文:黒石悦子