山崎育三郎&福井晶一らが魅力を語る!交響劇『船に乗れ!』イベントレポート

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2010年本屋大賞ベストテンにも選ばれた藤谷治の人気小説を原作に、クラシック音楽満載で綴る舞台『交響劇「船に乗れ!」』が12月に上演されます。
音楽高校を舞台に、若者たちの出会いや葛藤を描く青春ストーリー。
主人公のチェリスト・津島サトルは、山崎育三郎福井晶一という実力派スターが演じます。
高校時代のサトルに山崎が扮し、45歳のサトルを福井が演じその高校時代を回顧していく、という構造。
同じ役を演じるふたりの俳優が同時に舞台上に存在する、というその構造も面白いですが、
使用する楽曲はすべてクラシック音楽で、それに日本語を乗せて歌うという試みや、
実際に41名のオーケストラが舞台上に登場するなど、
様々な面で意欲的な作品になりそうなこの作品。

去る10月26日、都内でプレ・イベントが開催され、山崎、福井に加え共演する加藤雅美、演出の菅野こうめいが出席し、作品の魅力などを話しました。
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まずは読んだ印象を、
「僕自身が音楽大学付属高校に通っていて、すごく自分が過ごした青春時代に重なる部分が多くて、みなさんより感情移入してこの本を読みきったと思います。青春時代の、大人にになっていく中でそれまで感じなかったことを感じたり、心が苦しくなったり、挫折をしたり恋愛したりが、音楽学校にしかない、普通科ではありえない色んなこととともにある。僕もそうだったんですが、音楽学校は、学校に入るとある意味みんなライバルなんです。みんなが自分の演奏、パフォーマンスに自信を持って入ってくるのに、入学してすぐにテストがあって順位を決められる。やっぱり複雑な気持ちがあるし、色んなことが起こる。そういうことがすごく上手く描かれているし、読んでいても頭の中でメロディが鳴ったり、曲がわからなくてもクラシック音楽が流れてくる。すごく面白い本だなと思い入れが強くなって、この津島サトルという役は、今ミュージカル界の中で一番僕があっているんじゃないかと自分で思い込んでいます」
と山崎さん。
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福井さんは
「僕は正直に申しますとクラシックも(作中のもうひとつのポイントである)哲学もほとんど縁がない人間で、最初は読んでいてすごく悪戦苦闘したんですが、読んでいく中で僕自身の人生と重なる部分もあり、感情移入していきまして、読み終わった時には心が苦しくもあり、温かいものも残りました。そういう温かさを皆さんにお届けできれば」と話します。
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サトルのクラスメイトであるフルーティスト・沢寛子を演じる加藤雅美さん(元SDN48メンバー!)は
「まず、私のまったく知らない世界だなと思ったんですが、オーケストラの方ってこんなに大変な苦労をして一音一音あわせているんだなと知って、その演奏しているシーンの迫力にどんどん感動しました。私もこの舞台でお客さまにそういう感動をしてもらえるように頑張りたい」
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ちなみに加藤さん、福井さんの大ファンだそうで、高校時代に『キャッツ』を見たのがこの世界を目指すきっかけだったそうです!
なんと『キャッツ』は50回以上見ていて、おそらくそのうちの30回は福井さんのマンカストラップだった...というような話で盛り上がる一幕も。



そんなわけで、音楽学校が舞台で、登場人物のほとんどが音楽家。
ということで福井さんは役作りのために、『レ・ミゼラブル』の博多公演中に実際にチェロを習いに行ったそうです。
実際は菅野さん曰く「福井さんは弾かないけどね!(笑)」だそうですが、
「やっぱり体験として、実際楽器に触ってみてどう感じるかなと思って、習いにいきました。ほんとに1時間くらいの時間だったんですが、やってみて、単純に楽しかったです、初めてのことに挑戦するってすごい楽しいなって」とのこと。

一方で山崎さんは、「僕はチェロの音がすごく好きで、『レ・ミゼラブル』で「ワン・デイ・モア」という歌があるんですが、マリウスの♪めぐりあえたのに♪というソロのあとにチェロが鳴るんです。その音がすごく好きで、それに痺れながら毎公演をやってるくらい。音域的にもすごく人間の声に近いし、あったかくて、感情があるような音に聞こえる」とチェロへの思いを話していました。


菅野さんには、タイトルにミュージカルでも音楽劇でもなく、"交響劇"と冠してある意図についても質問が及びました。
「もともとクラシックの音楽を使おうと思っていて。まず音楽劇じゃないな、と。できればミュージカルと呼びたいんですが、ミュージカルって、ちゃんとしたフォーマットがあるので、それも違う。オーケストラの話なので、学校に入って楽器を学んで、合奏という行為をするにあたって、それを舞台に乗せようとしたら、当然オーケストラが必要で、そこでは交響曲が演奏されるんですが、そうすると歌をどうするか。オーケストラに歌を乗せるとミュージカルにはならないかもしれない。でも交じり合い響きあいドラマを組み立てる。僕の中で最初に浮かんだ言葉は"シンフォニック・ドラマ"なんですが、それをカッコよくして"交響劇"というのがいいんじゃないかと」
と説明。
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さらに
「幕があがったら舞台にオーケストラがいて、その前でお芝居をするようなイメージを持っていただけるとありがたいです。まさにそれが"交響劇"かなと。コンセプトとしては、以前上演した『カルテット!』でやった、クラシックのメロディに日本語の歌詞をつけてミュージカルを作るというのは一緒です。さらに今回はクラシックのメロディに、宮川彬良さんに大胆にも新しいメロディを加えてもらっています。たとえばバッハの『無伴奏チェロ組曲』のメロディを伴奏に、違うメロディを歌う、とか。『カルテット!』をさらに進化させた形かな。クラシックファンの方にはもしかしたら怒られるかもしれません(笑)。バッハやベートーベン謝りながら、チャイコフスキーに土下座しながら書きました(笑)」とのことで、音楽的にも随分意欲的な作品になっている模様です!


一方で、山崎さんからは
「今、メロディを新たにと仰ったんですが、実際にはクラシックの音そのまま歌う曲が多くて。弦楽器だと指を動かすだけでオクターブを上げられたりしますし、音の取り方も細かかったり複雑だったりする。そういう、歌うためにその音が作られているわけではないものを歌で表現するのは、大変。正直、今まで出演したミュージカルの中で一番難しい」と苦労話も。
これには福井さんも「大変だよねー!」と声を合わせていました。


この日のイベントには、その『カルテット!』にも出演していた、ピアニストの中島剛さんも登場。
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中島さんは山崎さんの学校の先輩とのことで、山崎さん、
「僕らの世代では中島剛さんというと憧れのピアニスト。僕が高校生の頃は、中島さんはジョン・健・ヌッツォさんの伴奏をされていて、よく先生からもお話をきいていた。僕、高校生のときに学校の食堂にいらっしゃった中島さんに、友だち数人で「話しかけにいこうよ!握手してください!」って行ったんですよ」というエピソードも!

そんな中島さんと山崎さんは、男子が少ない音楽高校ならではのエピソードなどにも花を咲かせ、会場の笑いを誘っていました。
ちなみに舞台上には、ふたりの後輩にあたる、東邦音楽大学の現役の音大生41人で編成するオーケストラが登場します!
公式HPには、演奏される楽曲のリストもすでに紹介されていますので、ご興味があれば見てみてください。


山崎さん・福井さんによる楽曲披露などもあり、大盛り上がりだったこの日のイベント。

↓楽曲披露中のおふたり
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最後に福井さんが
「今回はクラシック音楽への挑戦、そして語り手としての役をもらって、いろんな意味で僕にとっても挑戦の舞台になります。僕自身も楽しみながら、皆さんと一緒に作る楽しみをかみ締めながら、より良い舞台を作りたいと思います」

山崎さんが
「今までの日本でやったことのない新たな挑戦の舞台です。41名のオーケストラの皆さんとともにやるということで今から本当にワクワクしていて、はじめはどうなるんだろうと思ったんですが、今、歌稽古でいろんな楽曲を歌っていますが、これは本当に面白いと確信しました。皆さんに今までにない新しい世界、新しいお芝居のスタイルをお届けできると思います」と挨拶し、終了しました。

新しい舞台の可能性に満ちた作品が誕生しそうです。
お見逃しなく!


公演は12月13日(金)から21日(土) 東京・東急シアターオーブにて。
チケットは発売中です。

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