1970年、寺山修司と篠田正浩監督が組み、仲代達矢主演で映画化された『無頼漢』。
これを元に中津留章仁が新たな視点で脚本を書き下ろし、流山児祥が演出する舞台『テラヤマ☆歌舞伎「無頼漢」』が11月21日(木)から上演されます。
この製作発表が10月23日、作品が上演される会場である豊島公会堂(みらい座いけぶくろ)で行われました。
この作品は、昨年より始動し、3年連続で上演される<豊島区テラヤマプロジェクト>の第2弾。
これは豊島区、としま未来文化財団、流山児★事務所が連携し、寺山作品の特色を生かして"町と繋がる演劇の新しき展開"を目指して行うもの。
昨年上演された第1弾『地球☆空洞説』も公園から劇が始まりましたが、本作でも芝居の導入部で、劇場の目の前にある中池袋公園を使用する予定だそうです。
まさに、"町と一体化した演劇"が楽しめそう。
こちらは高野之夫 豊島区長。
「昨年、町と繋がる演劇の新展開ということでテラヤマプロジェクトをやっていただいて、私もチョイ役で出させていただいただらハマってしまった(笑)」とのことで、今年も区長自ら出演!
「池袋は演劇がさかんな町。小さな劇場から芸術劇場まである。池袋は何でも受け入れられる町で、安心して若い方も高齢者の方も何でも飲み込める、ごちゃごちゃですが、それでもいい。それが賑わいになり、楽しくなり、町が元気になる。そういうところから文化が生まれると思っています。流山児さんはとてつもないことをやられていますから、ワクワクします。楽しいです」と期待を語ります。
演出の流山児祥さんは「ちょうど今年が寺山さんが亡くなって30年。僕は寺山さんの最後の作品を演出して、なんとなく30年やり続けている。たぶん寺山さんがやりたかったのは町のど真ん中に演劇を、劇場に安住しない演劇を作ること。その試みがこれです」と企画の趣旨を説明。
脚本は中津留章仁さん。
音楽は上妻宏光さんが手掛けます。
この日は上妻さんによるテーマ曲の演奏もありました。
寺山作品を中津留さんがリメイクする本作ですが、
その元となった寺山作品は、歌舞伎の名作『天衣紛上野初花』がベースになっています。
ということで登場人物の名前は、歌舞伎でもお馴染みの響き。
河内山宗春役の山本亨さんは「演劇は堅苦しいものではなく、お客さんと一緒に作るもの。気軽にみんなが楽しめる"終わりのない祭り"をやってみたい」と意気込み。
水野越前守忠邦役、塩野谷正幸さんは「水野忠邦というと、ほとんどひとつのイメージしかないと思いますが、今回はもうひとつの面を出せればと思っていますし、ちょっと自信もあります」と自信のコメント。
片岡直次郎役は、五島三四郎さん。
大役に挑むに際し、「今回は舞台上で人間関係のドラマ、といったもものを表現できれば」と簡潔に意気込みを語った五島さん、流山児さんより「まだ入団して2年目ですから、ペーペーです!」と言われちょっと苦笑。
ヒロイン・三千歳は、オーディションで100人の中から選ばれたという田川可奈美さん。
「池袋は、色んな国の人が行き交っていて、すごい混沌としてそれがエネルギーになっています。この劇場にもそれを感じますので、今度の舞台で私もエネルギーの渦を作り出して、観客の皆さんを巻き込んで何かすごく楽しいお祭りを体験できるような舞台にできたらと思っています」とご挨拶。
このオーディションの募集要項には「日本舞踊ができる人、着物が自分で着られる人」とあったそうで、流山児さん、「なぜ着付けができる人という条件があったかというと、そういうシーンが出てくる。つまりどこかで自分で着なきゃいけない。...ということはどこかで脱いでるってことです」と説明。
これを受けて田川さん、「おぉぅ...。はい。...お楽しみに(笑)」と、なかなか不敵な返しをしていました。頼もしい!
三ツ矢雄二さんは、直次郎の母、おくま役。
「女役です。原作の映画では、母親はお風呂場で殺されるんです。え、マッパかよ、と思ったんですが、どうやら裸は免れました(笑)」と話し、「昔ながらのチャンバラも、歌もありますので、視覚的に楽しんでワクワクできる作品になっています。幅広い年齢の方、幅広い性格の方、幅広い性別の方に見ていただきたいと思います。出てる方の年齢も性別もも幅広いですから(笑)」とユニークにアピールしていました。
公演は11月21日(木)~12月1日(日) 豊島公会堂(みらい座いけぶくろ)にて。
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