花形俳優が勢揃い!「九月花形歌舞伎」会見レポート

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4月に新開場して以来、連日賑わいをみせている歌舞伎座。
「九月花形歌舞伎」は次代を担う花形俳優がずらりと顔を揃え古典と新作に挑みます。

昼の部はめったに上演されない古典の代表作『新薄雪物語』と、吉原仲之町を舞台に鳥売りの男女が華やかに踊る『吉原雀』の2本を。
夜の部は夢枕獏の小説『陰陽師』を、新開場してからは初めてとなる新作歌舞伎として上演します。

出演は市川染五郎、尾上松緑、尾上菊之助、市川海老蔵、片岡愛之助、中村勘九郎、中村七之助と、現在もっとも活躍している花形が集結。

『新薄雪物語』の園部兵衛を染五郎、幸崎伊賀守を松緑、梅の方を菊之助、秋月大膳と葛城民部を海老蔵、奴妻平を愛之助、左衛門を勘九郎、腰元まがきを七之助が演じます。

『吉原雀』は夫婦の鳥売りを勘九郎と七之助が勤めます。

そして新作『陰陽師』は安倍晴明を染五郎、平将門を海老蔵、滝夜叉姫を菊之助、源博雅を勘九郎、俵藤太を松緑、興世王を愛之助、桔梗の前を七之助が演じます。

7月29日、出演者と夢枕獏さんが会見を開き、公演への意気込みを語られました。


DSC_4408_350.jpg左から七之助、愛之助、菊之助、染五郎、松緑、海老蔵、勘九郎、夢枕獏

会見レポート

 

夢枕獏さん
「今回、新しい歌舞伎座で一番最初にやる新作が『陰陽師』ということで大変光栄に思っています。これだけの若手が総出演でやってもらえるのはとても嬉しいです。本当は観客として歌舞伎座に入り浸りたいくらい。僕が一番楽しい思いをする観客になるんじゃないかな」

染五郎さん
「『新薄雪物語』は松嶋屋のおじさま(片岡仁左衛門さん)に教えていただきます。この作品はこれ以上はないというほどの傑作であり大作です。その大きさに負けず、体当たりして臨みたい。記録と記憶に残るようなものを目指して勤めたいと思っています。夜の部はこけら落としの記念として創られる『陰陽師』です。そろそろ公演日も近づいている中、楽しみとばかりも言ってられない時期にきました。プレッシャー、緊張が高まってきております。『陰陽師』は映画やテレビなど、さまざまなところで形になっておりますが、僕は歌舞伎で上演するのがベストではないかと思っています。どうぞ宜しくお願いします」

松緑さん
「昼の部は古典の継承、夜の部は新作ということで、2役で参加させていただきます。9月は歌舞伎役者人生の中でも非常に有意義な月になると思います。古典も新作も両方やっていくのは我々の使命です。それを果たすために力強い同輩と共に一緒にがんばっていきたいと思います」

菊之助さん
「1741年に初演された『新薄雪物語』と、2013年に初演される『陰陽師』。いつの時代にも歌舞伎には新作が必要とされて、その都度新しい風が吹いてまいりました。しかしいつも問われるのは何をもって"歌舞伎"か、ということです。成熟した歌舞伎俳優の身体、意識、呼吸を体現することで歌舞伎になると信じています」

海老蔵さん
「夜の部で演じる平将門は、我が家(団十郎家)とも縁のあるお役を頂戴しました。まだまだどうなるかわかりませんが、ここにいるみなさまがたと一緒に一生懸命、古典を守り、新しいものに挑戦して、みんなで力を合わせて精進できたらと思います」

愛之助さん
「何が楽しみかというと、みんなで勤めさせていただくのも楽しみではございますが、(『陰陽師』の演出を担当する)齋藤雅文さんの演出も非常に楽しみです。作り上げていくお稽古場をまずは楽しみにしたいと思います」

勘九郎さん
「『新薄雪物語』では染五郎さんの息子役ということで...(と染五郎さんの方を見て)大丈夫でしょうか......。(場内から笑い)。若々しく勤められればいいなと思ってます。『陰陽師』はこのメンバーでやらせていただくことを幸せに思っております。新開場した歌舞伎座の最初の新作ということで、すごく責任重大だと思ってます。前の歌舞伎座では新作で創った『源氏物語』が伝説となっている舞台なので、それを超えられるか並べるくらいになるよう、みんなで意見を出し合いながら創り上げていきたいと思います」

七之助さん
「僕は新作の稽古がとても楽しみです。お客様にも楽しんで帰ってもらえるような作品にしたいです」

とそれぞれ思いを語られました。
その後記者から公演についての質問がありました。


――これだけの顔ぶれが揃って、あらためて感じるところはありますか?

染五郎さん
「それだけ特別な興行だと思います。スケールの大きい、結果を出さなきゃいけないのでプレッシャーもあります。特別な新作を創り上げていきたいです」

松緑さん
「花形といわれていますが、もう"初々しいね"で済む世代ではないですし、先輩たちにおんぶに抱っこではなく、我々が牽引していかなければならないと感じています」

菊之助さん
「先輩方が(最初の3か月)身体で示してくださったので、それに続けるようにみなさんで力をあわせてやっていきたいです」

海老蔵さん
「このメンバーで一緒の舞台に出ることがなかなかなかったので、単純にすごく楽しみです。僕も観客として見たいですね。毎年1回こうやって一緒に舞台に立って、歌舞伎の未来を仲良く作っていきたい」

愛之助さん
「またとない機会だと思ってます。またこのメンバーで、10年後『陰陽師』を見たいねと言っていただけるよう頑張ります」

勘九郎さん
「(新作は)前にお手本がないので、世界観を一緒になって創り上げていくのはすごく楽しみです」

七之助さん
「僕より下の後輩がいつか自分たちも、と言ってもらえるような作品にしなくちゃいけないですね。自分このメンバーの中では一番若いんです。最近若い俳優がどんどん出てきて、ちょっと年取ったのかなと思ったんですけども(会場から笑い)、今回は一番若いので、存分に甘えて意見を言って、生意気だなコイツって思われながら一緒に創っていきたいと思います」


――染五郎さんと海老蔵さんにお聞きします。実在の人物を演じる上での心構えはありますか?

染五郎さん
「役職や位があった時代に、いってみれば国を動かす立場の人にお告げを言える存在。でも陰陽師の立場としてなので、けっして策略ではないんです。当時も権力争いはあったと思いますが、その中には入らないわけです。発言する言葉にそれだけ力を持っている人なので不思議な気がします。ですので、存在がない存在感をどれだけ出せるか、何もしない中でどれだけあやしい存在になれるかだと思っています」

海老蔵さん
「いまだにいろんな伝説が残ってますね。父も将門を自主公演で勤めたこともあります。その時の演出は首がなくなっても歩いていくというものでした。そこまでしてでも動く、肉体は滅んでも魂は生き続けているようなもの、そういったものを歌舞伎ならではの世界で表現できるように勉強していこうと思ってます」


――『新薄雪物語』について染五郎さんと松緑さんに質問です。"切腹"がこの物語では重要な要素ですが、現代の人には判り辛いと思います。そのあたりいかがでしょうか?

染五郎さん
「どれだけ相手のことを思っているか、という極限の行動ですからねぇ。腹を切るという行動は武士の忠義の表現のひとつです、その感情をどう見ている方に伝えていくかじゃないかと思います」

松緑さん
「切腹をしてしまうほどの強靭な精神力、相手の意思も確認せずに志の中で腹を切っていく、それがお客様に伝わらないといけないと思います。今回初めて、松本幸四郎のおじに稽古していただきます。子供のころから培ってきた僕と染五郎さんの信頼関係がシンクロして舞台の上に出せれば。武士の意地、男の意地もある。歌舞伎座で腹を切る役をやったばかりなので、その経験も生かしてやっていきたい」


――新作へのスタンスについてお聞かせください。

染五郎さん
「現代の息吹を吸っている人が作る新作は必要だと思います。いまある歌舞伎のイメージどおりの新作もあれば、一方でまったくそれを裏切るような"これを歌舞伎と言っていいのか"という新作もあると思います。このどちらも必要だし、やっていきたいと思ってます」

松緑さん
「少数派の意見かもしれませんが、新作については慎重なスタンスです。それは決して否定をするということではないです。さきほど染五郎さんがおっしゃった前者の場合ですと、膨大なる労力と精神力が必要ですし、それをかけないとみなさまからお金をいただくに値するものが創れないと思うからです。また後者のものは主義的に僕の好きなジャンルではないので、二の足を踏んでしまうところがあります。野球やサッカーでもそれぞれの守備位置があるように、役者の中でも得意な分野や感覚の違いはありますから、自分は得意なところで感性を研ぎ澄ませていきたいと思っています」

菊之助さん
「昔は当時あった事件、ワイドショー的なものを歌舞伎にしたりしていましたし、歌舞伎は演劇の最先端でなければと思ってます。そういう意味でも古典を大切にしつつ、新作は作りたいと思っています」

海老蔵さん
「古典が一番なんですよね。ただ古典は現代の観客には難しいこともあるから(観客に)楽しんでいただくために新作も必要なんじゃないかと思います」

愛之助さん
「歌舞伎は伝統芸能ですから、先輩から受け継いだものを後輩に伝える、古典を守ることは当たり前のことです。それ以外に新作も必要だと思います。ただ、新作はなかなか再演されない。やるからには50年後、100年後に再演されるような作品を創っていきたいです」

勘九郎さん
「歌舞伎はいろんなものを見れる楽しみがあるので、夜に新作を観て、じゃあ昼の古典ってどんなものなんだろうと興味を持っていただいたり、また古典をみて新作をどうやって創っているんだろうというのが歌舞伎の面白さ。江戸時代に南北や黙阿弥が創り上げてきた作品が現代まで残っているわけじゃないですか。でも当時からしたら新作だったわけですから、こうして今の作家の方と一緒に新作を創れるというのは歌舞伎役者として幸せなことだなと思いまし、続けていけたらいいなと思います」

七之助さん
「どんな古典でも最初は新作で、みんながいろんな意見を出して一生懸命創り上げてきたものを僕たちがいまやらせていただいているそれを新作を知らないでやっていくのと、僕たちが生みの苦しみを知っているのでは違うと思います。それは先人たちが創り上げた古典を大切にしていく気持ちがより強くなることにも繋がると思います」


歌舞伎座新開場柿葺落「九月花形歌舞伎」は9月1日(日)から25日(水)まで。チケットは8月12日(月)より一般発売開始です。
どうぞお楽しみに!

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歌舞伎座の8月は、三部制の"納涼歌舞伎"が復活!出演される第二部の『梅雨小袖昔八丈』、第三部の『棒しばり』について、たっぷりと語っていただきました。
公演は8月2日(金) ~ 24日(土)まで。チケット発売中。

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