井上「5年前もほとんどすれ違いみたいな役だったので、ちゃんと芝居するのは初めてなんですよね」
浦井「あの時は僕、空飛んでたんで...人間じゃなかったですしね」
井上「そうそう。あまり絡みがなかったんで、普段の浦井君はよく知ってるんですけど、役を通すと新鮮ですね。普段はすごくボケるんですがぜんぜん役柄ではボケないなって(笑)。マジメに芝居をしているので、新鮮な驚きというか、この人、頑張ればできるんだみたいな」
浦井「いつも頑張ってます!」
井上「役者さんだったんだ浦井君は、みたいな新鮮な発見があって面白いです(笑)。僕たち、何か共通しているものを持っている、似ている、という役でもありますし、カートンは似ているが故にダーニーのことをからかってみたり羨んだりする役なので、普段の関係性もいかせるので面白いと思います」
浦井「そうですね。芳雄さんとこうやってデュエットさせてもらったり、ガツンと芝居で絡める機会って初めてに近いので。あ、こうきたか、という発見が多々あって。ストレートプレイもミュージカルも両方やっているという自分たちの、これから先へ目指している部分がちょっと似てるところがあるんじゃないかなって発見もあったりしました。頼れる同士のような人だなと思っています」
5年前の共演は、初演版の『ルドルフ ザ・ラスト・キス』ですね。
たしかに浦井さん、しょっぱなから宙に浮いていたような記憶があります...。
(そして浦井さんが演じた狂言回し的な役どころは、昨年の再演・ルヴォー演出版ではなくなっていました...)
すみれさんと濱田さんには、帝国劇場に初めて立つ気持ちを。
「実際に一番最初に帝国劇場の舞台に立ったのは、先日のイベント『二都の夕べ』で、その時はすごく緊張したんですが、衣裳をつけて準備を整えてルーシーとして舞台に出たら何の緊張もなくなりました。普通にルーシーでいれました。リラックスしてできたのがすごく嬉しかったです」とすみれさん。
濱田さんは「さすがに歴史の長い劇場で、実際に立つと空気感、建物のもつ温かさ、たくさんの役者さんが演じてこられた思いが込められているように感じました。舞台だけではなく楽屋もそうですし、すべての場所、隅々まで空気すべてが重みがある、肌感覚で包まれている感じ。舞台上では自分をさらけだしてお芝居できる空間なんだなと思いました」と話していました。
またすみれさんは、初の子持ちの役を演じることについて、
「全然普通です。舞台裏では、娘というよりは妹みたいな感覚になってるかもしれないんですが。実際舞台に立ったら、女性としていつでも無理せず自然にお母さんになれるのかなと感じました。子どもを見るたびに「守らなきゃ」って思うので」という話も。
そしてこの作品のキャッチコピー、<愛する人に捧げるもの、それは己の命のみ>にちなんで、「愛する人に命以外に捧げるとしたら?」という質問には、まず井上さんから「どうですかさとしさん!」と振られた橋本さんから。
橋本「一生懸命生きるという姿をみせて、自分が輝いている姿をみせて、それで刺激を与え合ってお互いが高めあっていく関係って、すばらしくない? 死ぬより、生きるって方じゃないかなって思います。それが愛の形、強さ...なんか俺すごい恥ずかしいこと言ってない?」
井上「大丈夫大丈夫、そういう作品ですよ!」
橋本「それを期待してふったわけじゃないよね?」
井上「なんのボケもないですが、大丈夫です! 確かに僕もこの役をやっていて、カートンは自分の人生をかけて、命も、時間も、思いもすべて捧げるんだと思うんですが、逆に言えば、命であっても、愛する人に捧げることができるというのはなんて幸せなんだろうと思います。見方によっては犠牲になったと見えるかもしれませんが、愛する人に自分の命を使ってもらえるなんて、なんて幸せなんだろうなと思いながら自分の役をやっています。今は"喜んで捧げます"という感じです」
すみれ「私は、...さっきの話に戻りますが、女性だと子どもでしょうか。もうひとつの命を残す、血を残す。うーん。難しい!」
橋本「すごいね、男にはできない捧げ方だね」
濱田「私は、言葉にするのはなかなか難しいんですが...信頼。命を捧げる直前までの信頼関係、許しあうとか。さとしさんが言ったことと同じなんですが、言葉でいうと"信頼"かな」
浦井「皆さんと同じです。生きる、という方向だと思います」
笑いを織り交ぜながらも、真剣に質問の答えを考えるキャストの皆さんでした。
最後に井上さんが
「『二都物語』、いよいよ始まります。先日まで帝劇では『レ・ミゼラブル』をやっていまして、新演出版が大いに盛り上がっていましたが、その勢いそのままに、しかし僕たちは日本人の手により、今生きている僕たちの感覚を反映させた『二都物語』を作っています。昔の話ではありますが、今生きているひとりひとりの方に何かしら感じていただける作品になっていると思います。暑い夏ではありますが、たくさんのことを感じに、帝劇までいらっしゃってください。お待ちしています」
と締めて、会見は終了。
言葉の端々から、キャストの皆さんが心底作品に惚れこんでいるのが伝わります。
彼らの気迫が伝わる熱い舞台を、ぜひ。
公演は8月26日(月)まで、帝国劇場にて。
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