女優・深津絵里が主演する舞台『春琴 Shun-kin』が、現地時間7月9日(火)、米ニューヨークのリンカーンセンター内ローズシアター(1,109席)で初日の幕を開けた。
2008年の初演から80回以上もの公演を重ねてきた『春琴』。
出演者、そしてスタッフをはじめとした関係者にとって、念願のニューヨーク公演となったこの日、千人を超す客席はほぼアメリカ人で埋め尽くされていた。
特別な思いを抱きながら舞台に立った俳優たち。
終演後は客席から温かい拍手が送られ、安堵感の入り混じった感無量の表情を見せていた。
「春琴」NY公演カーテンコール
初日を終えた深津は以下のようにコメントを寄せた。
「『春琴』の再演は2年半ぶりで、しかも初めてのアメリカ公演で、とてもハードルが高いと思っていました。でも、ニューヨークでの初日を終え、お客様が温かく迎えてくださっていることがよくわかり、『春琴』で描こうとしている「世界」や「感覚」を深く理解してくださっているように感じました。
これからまだ続くワールドツアー、サイモンと私たちの思いを込めて、きちんとこの作品を伝えていきたいと思います。」
2008年に世田谷パブリックシアターで初演された『春琴(しゅんきん)』は、谷崎潤一郎の小説『春琴抄』と随筆『陰翳礼讃』をモチーフに、演出を務めるイギリスの鬼才サイモン・マクバーニーと深津絵里をはじめとする日本の俳優たちが、長きにわたる熟成期間を経て創り上げた演劇作品。俳優の動きを際立たせるシンプルな舞台装置、陰影に富んだ照明、耳に残る三味線の音色、洗練された舞台空間で、濃密かつ重層的に繰り広げられる物語は、演出家・マクバーニーの美に対する強い意識と日本文化の美学が至るところに凝縮され、初演時から大変な話題を呼んだ。
また、深津絵里をはじめとする俳優たちが人形を操ることで、春琴の少女時代を表現、成長するにつれて俳優が入れ替わるなどユニークな演出も魅力のひとつ。
2008年には、同年度の読売演劇大賞でサイモン・マクバーニーが最優秀演出家賞を受賞、深津も優秀女優賞、優秀作品賞など数々の演劇賞を受賞し、その後2009年、2010年には、ロンドン、パリ、台北でも上演を行い、海外の観客からも高い評価を得てきた。
そして今年、ニューヨーク最大の舞台芸術の祭典であるリンカーンセンター・フェスティバルより正式に招待を受け、最後の世界ツアーの中で、念願のリンカーンセンター・フェスティバルでのニューヨーク公演を叶えた。
『春琴』のニューヨーク公演概要は以下のとおり
【日程】2013年7月9日(火)、10日(水)、11日(木)、12日(金)19:30開演、 13(土)14:00/19:30開演 [全6回公演]
【会場】ニューヨーク リンカンセンター内 ローズシアター
("Lincoln Center" / Broadway at 60th Street New York /
[URL] http://www.lincolncenterfestival.org/current-season/shun-kin )
(宣材写真 撮影:久家靖秀)
ニューヨーク公演後は、7月27日(土)より兵庫県立芸術文化センター KOBELCO 大ホール、8月1日(木)~10日(土)まで、東京・世田谷パブリックシアターにて上演。
秋には北米2都市での公演も予定されている。
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【公演概要】
世田谷パブリックシアター+コンプリシテ共同制作
『春琴 Shun-kin』 ― 谷崎潤一郎『春琴抄』『陰翳礼讃』より
演出:サイモン・マクバーニー
出演:深津絵里 成河 笈田ヨシ
立石涼子 内田淳子 麻生花帆 望月康代 瑞木健太郎 高田恵篤
本條秀太郞(三味線)