ノーベル賞作家が暴く"聖女ジャンヌ・ダルク"の真実
『ピグマリオン』(『マイ・フェア・レディ』の原作)でも知られるイギリスの劇作家、ジョージ・バーナード・ショーが、ジャンヌ・ダルクを社会と葛藤するひとりの人間として描いた傑作『ジャンヌ』。
1924年にロンドンで初演され大ロングランとなった本作を、笹本玲奈さんを主演に迎え、今秋、東京・世田谷パブリックシアターでの上演が決定しました。
演出を手がけるのは斬新な企画力と発想で精力的に活動を続けている鵜山仁さん、キャストは笹本さんのほか村井國夫さん、伊礼彼方さん、馬場徹さんら多彩な顔ぶれが揃います。
15世紀、フランスに勝利をもたらした少女はなぜ異端の魔女として裁かれなければならなかったのか――。
バーナード・ショーならではのアイロニーをもって、このヒロインの強烈な生涯にせまります。
スリリングなセリフの応酬や奇想天外な展開がみどころとなる本作。
今秋の話題作のひとつになるのは間違いなさそうですね。
そこで、某日都内で行われたスチール撮影の現場を訪れ、鵜山さんと4人の出演者にお話を伺いました。
げきぴあでは、そのインタビューを連載形式でお届けします!
今回は連載3回目。
ご登場いただくのは馬場徹さんです。
馬場徹 インタビュー
――馬場さんが演じるジル・ド・レエは、童話『青髭』のモデルになった人物とも言われています。
「若いけれど裏を感じるような......。25歳でそんなこと考えられるのかな?というくらい知的なところを持っていたり。良心ではないのかもしれないけれど、いろんな面で呵責に苛まれる感じがする人物なので。表現するのが面白いキャラクターですかね」
――ジルはジャンヌ・ダルクと共に戦い数々の武勇伝を残す一方、複雑な内面を持っている人物なんですね。
「どういう人間なのか、謎として捉えられる部分は多々ありますね。それこそ表裏の面で互いに見えないところで渦を巻いているというか......。なんだか表現するのがすごく難しそうです。」
――役作りの上で心がけていることはありますか?
「奥深い作品なのでそれをじっくり探っていく必要があるのかなと。あと、単純にフランスに行ってみたいなと思いましたね」
――作品の持つ世界観を肌で感じたいから?
「現地に行って雰囲気をみることも必要なのかなって。歴史上、実在した人物を演じる場合は、その方のお墓に行ったりだとか、パワーをもらいに行くんです。墓前で"お名前をお借りしてやらせていただくので、力を貸してください"って言いに行ったりします。その方の名に恥じないようにというか、表現する責任感じゃないですけど、そういったものはあるかもしれないですね」
――神聖な気持ちになりそうですね。ところで、今回鵜山組に初参加となります。現在の心境をお聞かせください。
「初めて舞台に立ったのが18歳のときで、舞台でのお仕事はほんとにここ6年くらいなんです。自分が経験してきた短い時間ですけど、いままで経験したものを生かして表現できたらいいなって思います。僕は現場で吸収できるものはすべて吸収したいタイプなので、なるべくまっさらな気持ちで新しい現場に入っていきたいですね」
――現場で心がけていることなどはありますか?
「毎回、何かしらその現場で持って帰るって決めています。今回はこのスタッフさんに気に入られようとか、あの人に好きになってもらおうとか。公演が終わるまでにアレを食べられるようになろうとか......。ほんとにちっちゃいことなんですけど、必ずそうしています」
――最後に読者へのメッセージをお願いします。
「稽古はこれからですが、多分もの凄い量のセリフが飛び交う現場になると思います。それをお客さまにいかに飽きずに観ていただくか、歴史やジャンヌを知らなくても、楽しく観ていただけるよう僕たちも頑張っていきたいと思います。"観に来てください!"」
取材・文:金子珠美(ぴあ)
撮影:榎本靖史
■ストーリー
フランスの片田舎・ロレーヌ地方に生まれたジャンヌは、ある時突然"神の声"を聞く。その"声"に導かれるまま、彼女はフランス軍の先頭に立ってイギリス軍を破った。だが、"神"と直接話す力を持つジャンヌに人びとは恐れを抱き始める。やがて異端とみなされた彼女は、宗教裁判にかけられることに......。
公演は9月5日(木)から24日(火)まで東京・世田谷パブリックシアター、9月28日(土)・29日(日)まで兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールにて。
チケットは7月6日(土)より一般発売開始。
なお、チケットぴあでは東京公演のインターネットの無料会員向け抽選先行・プレリザーブを6月19日(水)11時まで受付中です。
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