昨年は3月に日本版『エリザベート』の稽古のために来日、5月~9月の4大都市ツアーで5ヵ月間トート役を演じ、10月には『ウィーン版ミュージカル エリザベート20周年記念コンサート』で再来日。さらに12月~翌1月にも『シアタークリエ 5th Anniversary ONE-HEART MUSICAL FESTIVAL』で日本のステージに立ったマテ・カマラス。
以前より、インタビューの場などで<日本好き>を宣言していたマテさんですが、昨年は本当に、日本にどっぷり浸かっていたようです。
今年も、5月9日(木)には自身のソロライブを開催、また12月には新たな舞台『CHESS in Concert』への出演も発表になっていて、しばらく日本での挑戦は続くようで......。
彼が昨年1年間日本で感じたこと、そして次に見据えるものは何かを伺ってきました。
マテ・カマラス interview
――去年は1年のうち大半を日本で過ごしていましたが、いかがでしたか?
「長期間、日本に住むことは夢でしたし、自分の望みでした。だから、幸せでした。僕、5年前に初来日した時、『日本で日本語で歌いたい』と言ったら、皆さんから『なんで!?』って言われたんです。でも、ここまで到達しました!(笑)」
――一昨年も『MITSUKO~愛は国境を越えて~』で日本語で日本の舞台に立っていますが、昨年はその比ではないくらいに日本にどっぷりでしたね
「はい、自分でもどんどん日本語も上手くなっていると思います! 『MITSUKO』の時よりトートは良くなっていたし、12月の(シアタークリエの)コンサートの時はさらに良くなっていたと思います。今年は4月に春野寿美礼さんのコンサートにも出演しましたが、この時は舞台で日本語でのフリートークに、初めて挑戦しました。いつも、ステップアップしてるでしょ?」
――はい(笑)。ご自身でも楽しめました?
「とても楽しかった! 12月には『CHESS in Concert』に出演します。これも多分、新しい挑戦になります。僕の夢は日本語がペラペラになること。ドイツ語も英語も私の母国語ではありませんが、話せます。でも比較すると、日本語はまだ全然弱い。今もコミュニケーションはできますが、もっと上手くなるには、まだ長い道のりですね」
――『CHESS』の前、5月にはソロライブがありますね。今回は選曲も演出もマテさん自身がやると伺いましたが
「はい。過去に演じた中から自分が気に入っているものを選び出して構成したいと思っています。今までに色々やっていますので。恋に生きる人、殺人者、ドラァグ・クィーン......。それらをちょっとずつお見せしたい。ふり幅が広い、まったく違う役どころですが、その中にロック色を付け足すことで、自分らしい統一感を出せるのではないかと思っています。全体的にエンターテインメントにしたいですので、芝居要素も取り入れ、色々なコスチュームも着る予定です。日本ではお見せしたことのない役もやりますよ」
――会場はライブハウスですし、盛り上がりそうですね
「必ずしもミュージカルコンサートをやる会場ではないかもしれませんが、今回はミュージカルの楽曲を主にやります。以前もロック!という感じのショーを日本でもやっていますが、やはり日本の皆さんには、舞台俳優の自分をよく知っていただいているので、今回はそういう要素を取り入れて構成する予定です。来てくださったファンのみなさんには楽しかったと満足いただけるようにしたいです」
――ほかにも絵画展もありそうだとか?
「あるかもしれません!ずっと描きためたものがありますので、どこかのタイミングで日本でも開催したいと思っています」
――今年もまた、いろんなマテさんの顔を見ることができますね。日本でほかに挑戦してみたいことは?
「色々あります。『モーツァルト!』のコロレド大司教などもやってみたいですし、(いのうえひでのり演出の)『ロッキー・ホラー・ショー』を観て、劇団☆新感線をすごく気に入ってしまって! いつか出演できたら面白いですよね。新感線は何作品も観ていますよ。あと、『レ・ミゼラブル』のジャベールなども興味があります。日本の観客のみなさんにも、日本人キャストだけじゃなくそこに外国人がまざっているという雰囲気を楽しんでもらえると嬉しいのですけれど。オーストリアでは海外のキャストを受け入れるのはオープンです。たとえば(『エリザベート』の)マヤ・ハクフォートはオランダ人ですし、僕はハンガリー人。いろんな国籍の人がいます。でも日本の舞台でヨーロッパの俳優は僕だけ。(日本での仕事は)とても努力が必要です」
――マテさんはどうしてそんなに日本が気に入ってしまったんですか?
「日本にはヨーロッパとまったく違うカルチャーがある。その違いに惹かれます。もちろん食べ物も好きだし、日本人の精神性にも魅力を感じています。こっちにいるとインスピレーションを感じるんですよ。それに、日本で何か成功したとき、成し遂げたとき、特別な気持ちになれる。すごく楽しい。それがたまらなくなってしまう。世の中、冒険を望む人間がいますが、自分はそういうタイプなんだと思いますね。僕の人生の運命(さだめ)はここにある。今はこのゴールに向かって進みたいんです。夢は、日本に拠点を置くこと。ハンガリーからウィーンへ最初に行った時もそういう思いで、結局ウィーンには13年間いました。人生一回きりなので、夢を追わないと!」
撮影:源賀津己
ソロライブは5月9日(木)、新宿BLAZEにて行われます。
チケットは現在発売中。