●ヒラノの演劇徒然草●
12月21日から、映画『レ・ミゼラブル』が全国で公開になります。
この作品、ほとんどの方がご存知かとは思いますが、世界的に名高いミュージカルを映画化したもの。
舞台は、ヴィクトル・ユゴーの大河小説をもとに、1985年に初演されました。
日本でも1987年以降、25年の長きにわたりコンスタントに上演され続け、来年2013年には<新演出版>としての上演が決定しています。
2013年版の制作発表の模様はコチラ
「ミュージカルの金字塔」と称され、名曲揃いのこの作品。
キャストはジャン・バルジャンにヒュー・ジャックマン、ジャベールにラッセル・クロウ、ファンテーヌにアン・ハサウェイ、コゼットにアマンダ・セイフライド...etc、豪華な顔ぶれ!
ほかにも、エポニーヌ役にロンドンで同役を演じ、25周年記念コンサート(映画館上演もありましたね!)でも同役を演じていたサマンサ・バークス、アンジョルラスにブロードウェイの『ネクスト・トゥ・ノーマル』にオリジナルキャストとして参加していたアーロン・トヴェイトなど、気になるキャストがいっぱい!
監督は『英国王のスピーチ』のトム・フーパー、
製作は『レ・ミゼ』の舞台版ほか、『キャッツ』『オペラ座の怪人』など大ヒット作を次々と手がけた偉大なプロデューサー、キャメロン・マッキントッシュ。
磐石の布陣です。
そしてミュージカルの楽曲はそのままに、さらに映画版には新曲「Suddenly」が加わっています。
新曲は、コゼットを引き取ったバルジャンが、パリに向かう馬車の中、安心して眠りにつくコゼットを眺めながら歌う曲、だそうです。
映画ファンのみならず、ミュージカルファン必見!!の作品です。
去る11月28日、この映画『レ・ミゼラブル』キャスト来日イベントが行われました。登壇者は、トム・フーパー監督、ヒュー・ジャックマン、アン・ハサウェイ、アマンダ・セイフライド、そしてキャメロン・マッキントッシュ プロデューサー。
公開を待ちわびる2500人のファンが東京国際フォーラムホールAの大きな空間を埋め尽くしました。
イベントはまず、来年の日本での舞台版のキャストによる歌唱披露からスタート。
「AT THE END OF THE DAY(一日の終わりに)」
新ジャベール役、川口竜也さんによる「STARS(星よ)」こちらも新キャスティング、エポニーヌ役昆夏美さんによる「ON MY OWN(オン・マイ・オウン)」ラストは全員で「ONE DAY MORE(ワン・デイ・モア)」。バルジャン役は山口祐一郎さん。コゼットは、こちらも新キャスト、若井久美子さん。マリウス役は山崎育三郎さん。
恋人たち、見つめあってます。テナルディエ&マダム・テナルディエは、おなじみ駒田一さんと森公美子さん。アンジョルラスは、昨年この役でのデビューながら、すでに「アンジョルラスといえばこの人!」といったしっくり感があります。上原理生さん。山口さん、めずらしくおひげですね~「私は戦おう」と決意する山崎マリウスを見つめる、上原アンジョルラス。通常の公演の倍近い大編成のオーケストラをバックに、ゴージャスで迫力ある歌唱披露でした!
その後、映画キャスト&スタッフが登場!「アリガトウ!コンバンハ!ワタシは日本にこれてホントウにウレシイです」と日本語でスピーチするヒュー。
もちろん場内、大きな拍手です。
そして「日本は本当に大好きです。これで10回目くらいの来日ですが、『レ・ミゼラブル』という作品を携えての来日は本当に特別なものです。この映画を可能にしてくれた監督、キャメロン・マッキントッシュ、そして観客の皆さん、ありがとうございます」とご挨拶。
また「私にとってジャン・バルジャンという役は本当にまれな役だと思っています。マッキントッシュが27年かけて映画化してくださったことに感謝しています。そうでなければ、この作品が生まれたとき、私はまだ3歳だった...いや、サバ読みすぎましたね(笑)。実際は18歳ぐらいでした。今、この作品を作ってくださってありがとうございます」とも話していました。
アンは「来日してから大変温かい歓迎をしていただきました。ありがとうございます。また今、大変素敵なパフォーマンスを見せてくれた日本版舞台キャストのみなさんも本当にありがとうという言葉を伝えたい」と挨拶。
アマンダは「ヒューみたいに日本語が話せない...」とちょっと残念そうに。そして「今、本当に人生でいちばんエキサイティングな瞬間を迎えています。素晴らしいキャスト・スタッフとともにこの傑作を皆様にお披露目できるからです。たくさんの方にこの作品を観て頂きたいです。クールな日本にも来られて本当にうれしい」と笑顔で話していました。
「実はこの映画の完成は先週の木曜日なんです。最初にこの作品を携えて訪れた国が日本で大変うれしく思っております」
とトム・フーパー監督。
キャメロンは「この中で一人だけ歳とっています(笑)ので、25年前の日本の初演舞台を観たのですが、その時に日本の観客の方がこのミュージカルを受け入れてくださったのを覚えています。でもまさか、来年新演出で日本版の『レ・ミゼラブル』が上演される、そのくらい長きにわたって、この作品が日本で上演されるとは夢にも思っていませんでした。さらにまさか、こんなに素晴らしい映画版をたずさえてこの場にたてるなんて夢に思っていませんでしたので、プロデューサー冥利に尽きます」と少ししみじみと(?)話していました。
こちらは、日本版キャストからの花束贈呈の模様です。平野綾さんも新キャスト。2013年公演で、エポニーヌを演じます。握手をかわす、Wバルジャン。
ちなみにこの映画、一番の見どころは、「キャストが実際に、リアルタイムで演技をしながら歌っている」ということ。
ミュージカル映画は、最近では演じる俳優自身が歌っているものも増えてきましたが、歌を演者とは別の歌手が吹替えることもめずらしくないもの。
また俳優本人が歌っていても、歌は先にスタジオで撮り、撮影時はその音にあわせて演技をし、音と映像をあとで合わせる、のが普通です。
それを、『レ・ミゼラブル』では、撮影と同時に生の歌声を収録しているのです。
なので、演技がリアル。息遣いなどが嘘偽りなく入ってきます。
これ、本当にスゴイ。
監督曰く「ライブで歌う、それをやりたい、という夢をかなえてくれたのは、ここにいるキャストの方なんです。この高いレベルで、何の嘘もなく歌ってくださって、かつ演技をして、クローズアップできる、ミュージカルの体験そのままを演じ切ってくださった、3人とも素晴らしい才能がなくてはできないことです」とのこと。
ヒューは「生で歌うというのは、言ってみれば毎日生の舞台に立ってオープニングナイト(初日)を迎えているような気分。この歌を歌うことは二度とないんだろうという特別な思いで毎日いて、それは初日であり、千秋楽でもあった」とも話していました。
ちなみに皆さん、「ハリウッド俳優って、こんなに歌が上手いの!?」と驚くほどの歌唱力なのですが、
ヒューはオーストラリアで、ミュージカル『美女と野獣』のガストン役などに出演するなど、ミュージカル俳優としての経験も豊富。
またアンは、「美しい声を持った母のおかげ」だそうで、お母様はなんとアメリカの最初のナショナルツアーで、アンダースタディでファンテーヌを演じていたそうです!
そして『マンマ・ミーア!』ソフィでも美しい歌声を響かせていたアマンダは『アニー』のオーディションを受けるために歌の勉強をはじめたとのことで、「『レ・ミゼラブル』は11歳のときからずーっと大好きで、ずっと心に囚われていたくらいに大ファンでした」と、レミゼ愛も語っていました。
会見では、特にアンのはつらつとした魅力が印象的でした。
ヒューの言葉に大きな口をあけて笑ったり、
監督がキャスティングの理由で、「コゼット役は世界一美しい映画スターを探したいと思っていました。それが、いまここに座っている方です」とアマンダを褒めたところ「What!?」と聞き返し、その後「監督のことを褒めちぎろうと思ったのですが、先ほどアマンダのことを世界一美しいと言ったので、もう知りません。この人は他人です...」とすねてみたり。
可愛かったです~。
また、イベントでは映画版の一部の上映もありましたが、キャストの歌唱力の素晴らしさなどはもちろんのこと。
字幕もイイです!
「ファンティーヌ」じゃなくて「ファンテーヌ」だし、「トゥーロン」じゃなくて「ツーロン」だったり。
日本の舞台版の訳を生かしてあって、日本の『レ・ミゼラブル』を愛しているファンの気持ちがわかってる!と、一レミゼファンとして嬉しく思いました。
そして最後には、観客が「民衆の歌」を大合唱してキャストにプレゼント。
劇場いっぱいに希望の歌が鳴り響きました。
会見後、客席の間の通路をキャストが通るサプライズも!映画は12月21日よりロードショー。
舞台は5月3日(金・祝)から7月10日(水)まで東京・帝国劇場(4月23日(火)よりプレビュー公演あり)、8月3日(土)から31日(土)まで福岡・博多座、9月7日(土)から23日(月・祝)まで大阪・フェスティバルホール、10月1日(火)から20日(日)まで愛知・中日劇場にて。
東京公演のチケットは4・5月分が2月9日(土)、6・7月分が3月16日(土)に一般発売を開始です。
ふたつの『レ・ミゼラブル』をお楽しみに!