●ヒラノの演劇徒然草●
1987年から上演を繰り返す、日本の『レ・ミゼラブル』。
今までの公演回数は2672回。
大作ミュージカルの代名詞でもあり、このミュージカルの舞台を踏んだ事からスターへとなっていった俳優も数多くいます。
日本ミュージカル史とともにある作品と言っても、過言ではありません。
初演から続いた【ロンドン・オリジナルバージョン】の演出も、非常に多くのファンに愛されていましたが、2013年の上演からは、ロンドン初演から25周年を機に登場した【新演出版】での上演となることが、注目を集めています。
そんな新生『レ・ミゼラブル』の製作発表が、10月15日、出演キャスト68名勢ぞろいで行われました。
ひと足先に、【チケットぴあニュース】でも配信していますのでこちらもどうぞ。
なお、オリジナル演出版最後の上演となった2011年公演は【げきぴあ】でも特集をしていました。
前回公演の様子が気になる方はこちらをクリック!
会見では、キャストがひと言ずつご挨拶。
主人公ジャン・バルジャン役は山口祐一郎とキム・ジュンヒョンのWキャスト。
山口さんは、「まず先輩の山口さんから」と言われ、「今、先輩と仰っていただいたんですが、先ほどキムさんとお話しておりましたら、先輩ではなくて父親だと言われ、あ、そうなんだなと(笑)。...つい最近まで私は黄泉の世界で、生きておりませんでしたので、いまお休みで少しずつ人間になっているところです」
山口さん、9月末まで『エリザベート』で黄泉の帝王を演じていらっしゃいました。
「スタンバイしているときに足が震えたんですが、本当にドキドキしながら、今度の新しい『レ・ミゼラブル』...まったく新しいものだと言われています。全力で頑張ります!」
今回の上演に向け、全キャスト、オーディションが行われたそうですが、オーディション応募総数は約15000人、だったとか。
1997年からバルジャンを演じる山口さんも、オーディションを受けたのかと訊かれ、
「ハイ!毎回『レ・ミゼラブル』はオーディションがあるのですが、しかも今度はまったく新しい演出なので、どうやればこの壁を乗り越えられるのかと...。オーディション当日は髭を剃った方がいいのか、(役柄にあわせて)剃らない方がいいのか、どんな格好で行ったらいいのか、部屋に入った時にいきなりにっこり笑って冗談を言った方がいいのか、それともずっとマジメな方がいいのか、皆さんに相談しました。そのくらいドキドキしながらオーディションを受けました」
というエピソードを話してくれました。
一方、キムさんは初参加。
劇団四季で『ジーザス・クライスト=スーパースター』のジーザス役や、『アイーダ』のラダメス、『エビータ』のペロン大統領など数々の大役を務めた後、現在は母国韓国で大活躍中。
『ジキル&ハイド』や『ゾロ ザ・ミュージカル』のタイトルロールなどを演じています。
そのキムさんは「日本の『レ・ミゼラブル』に参加できて本当に嬉しく思っております。難しい役だと思うので、みんなで力をあわせてお客さんに感動を与えられる作品を作るために頑張っていきます。よろしくお願いします」ときちんと日本語でご挨拶。
握手を交わす山口さんとキムさんです。
バルジャンを追い続ける刑事ジャベールは、吉原光夫と川口竜也。
吉原さんは、2011年公演では、史上最年少でバルジャンを演じていました。
今回は役を替えての参加です。
「まだ稽古が始まっていないのでなんとも言えないんですが、頑張りたい。ずっとバルジャンを追い続けて、とバルジャンに恐怖を与えられたらいいなと今は感じています。...また稽古に入ったら変わるかもしれませんが」と控えめにコメント。
...吉原さん、前回時より随分貫禄がついていらっしゃる気が。
川口さんは『レミゼ』初参加です。
「今こうしてこの場に立てていることがすごく夢のように、そして光栄に思っています。ずっと思い続けていた念願の役です。全身全霊をこめてやらせていただきたいと思います」と感動のご挨拶です。
愛する娘をバルジャンに預けて亡くなっていく女性・ファンテーヌ役は、知念里奈、和音美桜、里アンナのトリプルキャスト。
知念さん、和音さんは前回に続けてのファンテーヌ役です。
「新しく生まれ変わる『レ・ミゼラブル』に、大好きなこの作品に、また、尊敬するファンテーヌという役で参加できることを本当に嬉しく思っています。気持ちを新たに新しいカンパニーのみなさんといっしょに一丸となって良い作品になるよう務めていければ」と知念さん。
知念さんは2005年にコゼット、2007年にエポニーヌ、そしてファンテーヌとこの作品の中で3役を演じています。
3役を演じているプリンシパルは知念さんのみ、ということを指摘されて
「光栄に思っておりますが、目指すはテナルディエ夫人かな。いつかはそんな自分になれたら(笑)」と仰っていました。
前回からファンテーヌ役で出演している和音さんは「新演出になって、またこのファンテーヌという役に挑戦できることを本当に光栄に思っています。新しいカンパニー、新しいメンバーと作る『レ・ミゼラブル』を心から楽しめるように頑張りたいと思います」。
なおこの日、知念さんは東京で昼公演が、そして和音さんは前夜も当日夜も大阪で本番がある...ということで、忙しいミュージカル俳優さん68名全員参加のこの日の会見は、綱渡りのご苦労があって実現したようです。
そして、"奄美の歌姫"と紹介された、初参加の里アンナさん。
「ミュージカルというものに初めて参加させていただきますが、それが『レ・ミゼラブル』という歴史のあるミュージカルで、そしてファンテーヌという役をさせていただくことをとっても光栄に思っています。期待を裏切らないように頑張っていきたいと思います」と少し緊張気味にご挨拶。
エポニーヌ役も、トリプルキャストです。
笹本玲奈、昆夏美、平野綾の3名。
2003年からエポニーヌを演じている笹本さんは、「来年の出演でわたしは10年目になるので、先輩のほうなのかな...と思うとそういった意味でも緊張しています。今『ミス・サイゴン』に出演中なのですが、サイゴンも新しく生まれ変わりました。そのサイゴンの演出家が今回も担当されるということで、また新しいエポニーヌに出会えるんじゃないかなと期待しています」。
昨年の『ロミオ&ジュリエット』のジュリエット役で華々しくデビューした昆さんは、『レミゼ』初参加。
「『レ・ミゼラブル』は、私が小さいときからずっと夢見ていた作品で、そしてエポニーヌは本当にやりたかった役で、このふたつを今回実現できるのが本当に光栄です。新演出ということで、イチから創り上げる楽しみを感じつつも精一杯頑張りたいと思います」
人気声優の平野綾さんも初参加。
「この場に立てる喜びと緊張で今も泣いてしまいそうなんですが...。私はまだミュージカル2作目、圧倒的に経験値が足りないので、まわりのみなさんにくらいついていきたいなと思います」とご挨拶。
革命を目指す学生たちのリーダー、アンジョルラス役は上原理生と野島直人。
上原さんは前回2011年にこのアンジョルラス役で鮮烈にミュージカル・デビューしたのも記憶に新しいです。
「この作品に、この役に、帝国劇場の舞台に再び戻ることができることを嬉しく誇らしく光栄に思っています。僕も今『ミス・サイゴン』に出演させていただいて、同じ演出家の手で『レ・ミゼラブル』もまた新しく生まれ変わりますので、一体どんな風にどんな作品になっていくのかと今、とても楽しみにしています。楽しみながらいいものを作っていきたいと思います」。
野島さんは前回はマリウス役で出演。
今回は役を替えての参加です。
「今この時代に、こういう志を持ったリーダーがいたらいいなと思っていただけるような役に仕上げていきたいと思います。よろしくお願いします!」と挨拶。
コゼット役は青山郁代、磯貝レイナ、若井久美子。
3名、全員初参加というフレッシュな顔ぶれです。
「このコゼットという役は、常に私の夢として胸の中にありました。私は『レ・ミゼラブル』初参加です。25年間続いてきた、みなさまにずっと愛され続けてきたこの作品に携わらせていただくこと、すごく責任を感じ緊張しております。カンパニーの皆さまに、お客さまに支えられながら誠心誠意、作品に向かっていきたいと思います」と青山さん。
磯貝さんは
「コゼットをやらせていただきます。やっと出会えたなという感じで、本当に胸がいっぱいです。たくさんの方々に支えていただいて、この場に立てていることを心から感謝しています。これから始まっていく稽古の中でコゼットという女性をもっともっと深めて、一から彼女と向き合って、私なりのコゼットを作っていきたいなと思います。未熟な私なので、みなさんの足をひっぱらないで、そして同じコゼット役のふたりとも刺激しあいながらコゼットを、そして新しい『レ・ミゼラブル』をしっかりと皆さまにお届けできるように一生懸命頑張ります」と意気込みを。
若井さんは
「私は学生の時に初めて『レ・ミゼラブル』を、そしてミュージカルというものを初めて観て、衝撃をうけました。そしてこの作品に出るために私はミュージカル界を目指しました。そんな夢のミュージカルにコゼット役で出させていただけることを本当に嬉しく思っていますし、感謝しています。全身全霊をかけてコゼットとして生きたいと思います」とご挨拶。
マリウスも3名です。
山崎育三郎、原田優一、田村良太。
なお、マリウスの3名を紹介する際に、テナルディエのお三方、さらに森さんも一緒に立ち上がる、というお茶目な一幕もありました(笑)。
2007年からマリウス役で出演している山崎さんは
「僕はこのマリウスという役でデビューさせていただきました。またマリウスとして戻ってくることができて本当に嬉しく思います。また、今までやってきたマリウスと違う気持ちが今すでに生まれているので、また新しいマリウスに会える事を楽しみにしています。僕も今『ミス・サイゴン』に出ていて、この新しい『レ・ミゼラブル』を作る演出家、スタッフのみなさんとやってきてますが、本当に信頼のおけるチームなので、『レ・ミゼラブル』もきっとまた素晴らしく生まれ変わると思っています。ぜひ劇場にお越しください」とご挨拶です。
原田さんも2007年から『レミゼ』参加、この時はアンジョルラス役で、前回2011年からマリウス役を演じています。
そしてその前、1994年の子役時代にガブローシュ少年役でも出演していました。
「製作発表が行われると、また新たな『レ・ミゼラブル』が始まるなと、身の引き締まる思いになります。この『レ・ミゼラブル』に出会わなければ私は役者を続けていなかったと思いますし、ミュージカルというものに対して全然知らずに終わったと思います。このミュージカルが私の人生を変えました。また新たにマリウス役をやらせていただくこと、そして来年長丁場ですから、みなさんと力を合わせて乗り切りたいと思います」。
そして初参加の田村さんは
「新人らしくがむしゃらに一生懸命やらせていただきます。よろしくお願いいたします」と簡潔に意気込みを話していました。
テナルディエ役は駒田一、KENTARO、萬谷法英という個性的な3名。
駒田さんも、2003年からずっと出演しています。
「ちょうど来年で(自分が参加してから)10年、演出もかわりますし、新人の気持ちで新たな気持ちで一からやりなおして、素敵な『レ・ミゼラブル』を作っていきたいと思います。どうぞお楽しみに」。
駒田さん、主演ミュージカル『サ・ビ・タ』が開幕しました!
KENTAROさんは、前回はジャベールとして出演していました。
ジャベールからテナルディエ役へ転身する方は、初だそうです。
「テナルディエ役で今回この新しいカンパニーに加われたことを誇りに思いながら、みなさんと楽しい作品作りを一生懸命やっていきたいと思います。必ず皆さんが楽しめる作品になるように努力しますので、ぜひ楽しみにしてください」。
萬谷さんは、2003年からプルベール役で出演していました。久々にレミゼに帰ってきます。
「新演出でテナルディエというすごくいい役で出せていただいて、とてもありがたく思っています。色の濃い先輩方と色の濃い奥様方...(笑)、に囲まれて、負けないように頑張っていきたいと思います」。
マダム・テナルディエ役も3名。
森公美子、浦嶋りんこ、谷口ゆうな。
森さん曰く「何かが被っている3人」です(笑)。
森さんは「この役をさせていただきまして約15年になりますが、新しい演出ということで、私も山口さん同様にオーディションを受けさせていただきました。その際にファンテーヌで受けたいと言ったのですが(笑)、それが通らず、リトル・コゼットならいいよと言われて、一応歌いました。しかしこの役で収まりました」。
会場、爆笑です。
「...そしてこの3名ですが、何か被っているような気がいたします(笑)。どうなってこうなったのかはわかりませんが、それぞれに個性が強いので、3人観ていただかないと困ります。マダム・テナルディエは重量級でまいります。よろしくお願いいたします」
舞台でも愛嬌いっぱいのマダムに扮する森さん。
ご挨拶も笑いいっぱいです。
浦嶋さんは初参加。
「この作品に参加させて頂いて嬉しいです。先輩の胸を借りて立派なテナルディエ夫人ができるように頑張ります!」
谷口さんも初参加です。
「新しい演出版の『レ・ミゼラブル』に出させていただくことを本当に心から幸せに思います。今日もたくさんのオーディエンスの方が、抽選を潜り抜けていらっしゃったということで、たくさんの方に注目していただいているんだなと思うと身が引き締まり...ます」
と言ったところで森さんから「らない!」というツッコミが。
「らない...ですか...引き締まってるんですが。見えないところで(笑)。一生懸命頑張りたいと思います」
とのご挨拶でした。
こちらはアンサンブルの皆さんです。
そして会見では、楽曲披露もありました。
昆夏美さんの「オン・マイ・オウン」
キム・ジュンヒョンさんによる「独白」
出演者全員による「民衆の歌」
このメンバーで、2013年の新生『レ・ミゼラブル』始動です。
公演は5月3日(金・祝)から7月10日(水)まで東京・帝国劇場(4月23日(火)よりプレビュー公演あり)、8月3日(土)から31日(土)まで福岡・博多座、9月7日(土)から23日(月・祝)まで大阪・フェスティバルホール、10月1日(火)から20日(日)まで愛知・中日劇場にて。
東京公演のチケットは4・5月分が2月9日(土)、6・7月分が3月16日(土)に一般発売を開始です。
最後に笑顔の山口さんをどうぞ♪