劇団「柿喰う客」の中屋敷法仁が作演出を手がける舞台『露出狂』が、8月29日、大阪・森の宮ピロティホールにて上演される。本作は、高校男子サッカー部を舞台に、これまでにない斬新な切り口から展開される青春ドラマ。2010年、同劇団にてオール女性キャストで初演され、今回はオール男性キャストによる再演となる。
高天原高校サッカー部に、1年の佐反町(サソリマチ)、白峰(シラミネ)、比留(ヒル)が入部してくる。彼らは、自分たちよりも下手な2、3年がスタメンであることに反発。同じく1年の御器(ゴキ)を加えた4人だけで2、3年と勝負し、あっさり勝利してしまう。というのもこの4人には、結束力を強めるための秘密の練習があり......。
幕開け早々、独特のテンポ感に劇場は包まれる。まるで巧みなサッカーチームのような素早いパス回しで続く、キャストからキャストへの怒涛のセリフの応酬。ここで早くも観客は、"小劇場界の風雲児"と言われる、中屋敷ワールドにどっぷりと足を踏み入れることになるのである。
誰もが過ごしてきたであろう、きらめくような青春時代。だがここで描かれるのは、ありきたりの友情物語ではない。部活という閉塞された空間で起こる、ねじ曲がった友情のかたち。体と体で結びついた部員たちは、心と心で結びついた普通のサッカー球児よりも、固い結束力とチームとしての強さを発揮していく――そこで生まれる嫉妬は、逆に弱さを露呈していくことにもなるのだが......。そしてそれが中屋敷独自のテンポ感、コメディセンスにより、ある種のファンタジーを見るようなおもしろさ、高揚感へと繋がっていくのである。
そんな中屋敷の意図をしっかりと汲み取り、新たなる『露出狂』を完成させたキャスト陣。キャプテン・御器役の柄本時生は、本作でも唯一無二の空気感を醸し出す。兄貴的な存在感で作品を、そしてこのカンパニーを牽引するのは、本作が初舞台となる遠藤要。声優、歌手としても活躍する入野自由は、部員の中でも最も繊細かつ、面倒くさいという役どころ。時に狂気をはらんだその芝居は、観客に強い印象を残した。ほかにもピン芸人の畑中しんじろう、「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」でグランプリを受賞した稲葉友、NTTドコモのCMで注目を集める森崎ウィンなど、若手イケメン14人が集結。その個性を存分に爆発させた。
今後のエンタメ界を担う若き才能たち。彼らのほとばしる情熱を、ぜひ生で体感して欲しい。
取材・文:野上瑠美子
公演は8月27日(月)日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール(愛知)、8月29日(水)森ノ宮ピロティホール(大阪)にて上演。チケットは愛知公演=8月23日(木) 23:59、大阪公演=8月26日(日) 23:59まで発売!