『エリザベート』トート役 マテ・カマラスさんインタビュー

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■『エリザベート』への道 2012 第11回■

2012年版『エリザベート』キャスティングで一番の衝撃はこの方の登板じゃないでしょうか。
マテ・カマラスさん
母国ハンガリーのみならず、本場ウィーンでもトート役を演じています。
いわばオリジナル・バージョンのトート。
その人が、日本版の『エリザベート』に、しかも日本語で出演!
これ、結構、すごいことです。

そんな新(?)トート、マテ・カマラスさんに桜満開の4月某日にインタビューしてきました。
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【@ぴあニュース インタビュー】

本場ウィーンから日本版『エリザベート』に参戦。マテ・カマラス インタビュー

ウィーン初演から20年、日本でも上演を繰り返す人気ミュージカル『エリザベート』。19世紀末に生きたオーストリア皇后エリザベートの波乱の生涯を、架空の存在である"トート(死)"との愛憎を軸に描き出す物語だ。"東宝版"と呼ばれるバージョンは今年で8度目の上演となるが、今回、最も新鮮味と衝撃をもたらしたキャスティングは、この人の登板だろう。マテ・カマラス。出身国であるハンガリー、そして本場ウィーンでもトートを演じている。

『エリザベート』との出会いは1996年だという。「ハンガリーの初演を観て、すごく感動しました。トートは僕の役だ! やりたい! いつかきっとやってみせる! って思ったんです。その願いを神様が聞いてくださったんじゃないかな。3つもの言語でトート役をやれるなんて」と嬉しそうに笑う。日本版への出演オファーは「ただただ、幸せでした」とのこと。「日本での『エリザベート』が大きな成功を収めていることを知っていましたし、初来日(2006年)の時から日本が好きです。僕、初めて日本に来た時に"日本で日本語の役をやりたい"って公言したんですよ! 当時は誰も真面目に聞いてくれなかった(笑)」。

mategekipia2.JPGすでに彼は昨年『MITSUKO~愛は国境を越えて~』で日本語での舞台を経験しているものの、やはり言語の壁を超えるのは並大抵の努力ではできないだろう。だがこのインタビューに先立ち3月中旬、マテの歌稽古を取材した時、稽古初日にもかかわらず彼はすべての日本語の歌詞を頭に入れて臨んでいた。すごいですね、と言ったところ「日本に行く前に全部覚えたいと思っていました。稽古が始まったら他のことに時間を使わなくてはならないですから。外国人だから特別、というわけにはいかない」。さらりと答えたストイックな返事に、仕事に対する彼の責任感がにじみ出る。

ほかにも課題は多い。演出が各カンパニーに委ねられる『エリザベート』では、同じトート役とはいえ各国ごとに歌うナンバーも登場シーンも異なる。「日本のトートが一番出番が長いんです」と苦労を語るが、「山は高ければ高いほど、登り切った時の喜びは大きいので」と意欲満々だ。「多分、僕の運命は『エリザベート』と結びついているんじゃないかな。トート役は僕にとって今までの中で一番大きな成功でしたし、オーストリアのミュージカル界で僕は旧共産圏からきて初めて成功した人間。だから、日本でもやっていけるという自負はあります」と自信もチラリ。「『MITSUKO』の時は日本語で演じるというのがひとつの戦いでしたが、今回は日本語で歌うのがひとつの楽しみになるレベルまできています」と語る彼は、インタビューでも時おり日本語を織り交ぜて答えていた。ウィーン版でもそれまでのトート像とはひと味違うパワフルなトートを造形し、喝采を浴びたマテ。その彼が「言葉は違っても、気持ちは同じ」と意欲を燃やし新たに日本の地で挑む、日本版トートの誕生を期待して待ちたい。

公演は5月9日(水)から6月27日(水)まで東京・帝国劇場にて。チケットは発売中。その後福岡、愛知、大阪でも上演される。なおトート役は山口祐一郎、石丸幹二とのトリプルキャスト。



「日本の『エリザベート』はとても素晴らしいし、キャストの皆さんが『エリザベート』に出演することがとても嬉しいって思ってるのが感じられる。稽古場でふと、その皆さんがお稽古している中に自分もいるってことは、僕はなんて幸せな人間なんだって思うんです」と日本版への愛を語ってくれたマテさん。

ちなみに好きなシーンを伺うと「どのシーンもとてもいい」とあれもこれもとナンバーを挙げ、「強いていえば今回の演出だと"オイシャのシーン"(マテさんの発言のママ。ドクトル・ゼーブルガーのシーンですね)がいいですね、エリザベートを誘惑する感じ」と、ちょっと意外なお答えでした。
日本版にインターナショナルな風を吹き込むマテ・トート、楽しみです!

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mategekipia3.JPG撮影:星野洋介

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