先日、製作発表のニュースを配信しました舞台『幻蝶』。
内野聖陽、田中圭の初共演で話題の作品です。
こちらの作品の稽古場に2月某日、伺ってきました。
作品は、『ALWAYS 三丁目の夕日』『キサラギ』など話題作を数多く手がけている脚本家・古沢良太が10年以上温めていたモチーフを戯曲化するもの。
内野さんが主演したドラマ『ゴンゾウ 伝説の刑事』も古沢作品です。
この日から立ち稽古がスタートするタイミング、と伺っていたのですが、古沢さんから第6稿があがってきた、ということで急遽本読みからスタート。
まずは演出の白井晃さんから、変更点が説明されます。
「よりヤヤコシイ蝶々の名前がいっぱい出てきます(笑)。僕も先ほど新しい台本を頂いたばかりで、調べきれていません」と白井さん。
...物語は、幻の蝶を追いかける"蝶オタク"ふたりを主人公にしたものなんですね。
その言葉どおり、内野さん扮する戸塚は、難解な蝶の名前を怒涛のように口にします。
舌がつりそうそうな音のオンパレードです...。ちなみに稽古場内をみわたすと、こんなものも。
文化祭とか研究発表会とかみたい!
さて、本読みと言えども内野さん、さすがに大迫力。身振り手振りも自然と出てしまうようで。声もよく響きます。
一方の田中さんは、うつむきがちだったり、時に内野さん扮する戸塚の言葉を耳を塞いでみたり、とこちらもひきこもり系の青年・真一らしい仕草で本読み。
...なのですが、豪胆・強引な戸塚のセリフに笑ってしまう素顔も!
そして印象的だったのは大谷亮介さん。
蝶のブローカー・吉永役で、どうやら戸塚とは古い馴染みのようです。
戸塚と吉永が思い出話をするシーンでは「ここはふたりで話しているようで、実は真一に聞かせている自慢話でしょう。吉永ではなく戸塚から話し出した方がいいのでは」ということを白井さんに熱弁。
この日届いた脚本から変更になったようで、白井さんも少し思案し「両方やってみて決めましょう」。
こちらは、その大谷さんと、細見大輔さん。
七瀬なつみさんと、中別府葵さん。
出演者は以上の6名のみです。
1時間ほどで本読みを終え、休憩を挟んだのち、模型を使って舞台の説明がありました。
細かくは記しませんが、舞台全体が巨大な標本箱にも見えるような仕組みになっているようですよ。
その後はいよいよ立ち稽古に突入。
「ざっくり通しましょう」「見せ方は今は考えないで。劇場だということも忘れていいから、ふたり(戸塚と真一)の関係性を出して」と白井さん。
冒頭は、戸塚と真一が"幻の蝶"を探しているシーンです。
ふたりとも、採り網に単眼鏡。
声も大きく無遠慮な雰囲気が体全体から立ち上ってるような戸塚。
戸塚のうっとおしいオヤジっぷりを醸す内野さんもさすがですが、そんな戸塚に言いたいことがあるのに口に出せないような、不満気な表情の田中さんも上手いですねえ。
蝶を見つけたかと思いきや、とんでもないものを凝視していた戸塚......というやり取りが軽妙です。
↑これは、戸塚=内野さんの胡散臭さ全開の笑顔と、
戸塚に「笑え!」と言われて無理やり笑おうとしている真一=田中さん。というシーン。
そしてこちらは七瀬なつみさん。戸塚と真一が蝶収集のためいついている廃屋の、土地管理会社の社員のようなのですが...。
会見では「稽古好き」「どんだけ稽古が好きなんだ...!」と内野さん、田中さんにバラされていた白井さんですが。
その言葉どおり、同じシーンを幾度となく繰り返していきます。
「ざっくり」と仰っていたはずなのに、かなり細かいです白井演出。
でも何度も繰り返していくうちに、「まわりも(同時に)見なきゃいけないから、(双眼鏡ではなく)単眼鏡なんですねえ」なんて気付いたりと、少しずつ"蝶オタク"を身体になじませていくふたりが印象的でした。
公演は3月12日(月)から4月4日(水)まで東京・シアタークリエにて。
その後4月12日(木)から15日(日)の兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールをはじめ、広島・新潟・福岡・仙台・長野でも上演されます。