『エリザベート』製作発表会見こぼれ話

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■『エリザベート』への道 2012 第1回■

『エリザベート』ファンの皆さま、ミュージカルファンの皆さま、演劇ファンの皆さまこんにちは。
2010年公演時にこの「げきぴあ」で連載しました『エリザベートへの道』、今年もやります!

第1弾は先日行われました製作発表のレポートです。
※ひと足先に配信しましたニュースはコチラ
※2010年公演時の連載『エリザベートへの道』はコチラ

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まずは簡単におさらいを。
『エリザベート』は1992年にウィーンで初演されたミュージカル。
ハプスブルク帝国最後の皇妃・エリザベートの激動の生涯を、架空の存在である"死"=トートとの愛憎を絡めて描き出した物語です。
産みの親はミヒャエル・クンツェ(脚本・歌詞)&シルヴェスター・リーヴァイ(作曲)。その後『モーツァルト!』『レベッカ』などヒット作を連発するゴールデン・コンビで、この作品の大ヒットが、現在日本でブロードウェイ・ミュージカルに並ぶ人気となった"ウィーン・ミュージカル"というジャンルを確立させたと言っても過言ではありません。
日本では1996年に宝塚歌劇団が初演。
2000年からは、男優・女優混合のミュージカルとしての"東宝製作版"も上演されています。

会見では、最初に演出の小池修一郎が今回の上演中に1000回を迎えることを話し、
「今の日本は、昨年の震災、原発の問題、政局も含め、不安定といいますか、動乱の時代なのだと思います。1992年にウィーンで『エリザベート』が開幕したときに、クンツェさんがパンフレットにお書きになったこと、打ち合わせで何度も仰ったのは、"この『エリザベート』というのは、動乱の時代、変革が起きることのシンボルなんだ"ということだったんです。単純に言うとオーストリアを除いてハプスブルク帝国だった国々がほとんど共産圏、社会主義国だった。それがベルリンの壁が落ちてチェコや、東ドイツ、ハンガリー経由でオーストリアに流れてきた。崩壊したハプスブルク帝国の国々がもういちど手を携えて再生に向かうんだということへの願いみたいなものを込めておつくりになったんだと思います。と同時に独特のちょっとシニカルな視点で、国というのはどういうふうに分裂されていったかということも描かれている。
この物語が今、日本で14年、帝劇で11年やってきて、逆にものすごく私たちにとってリアルな物語になっているなと思います。エリザベートの生き方、国のいろいろな運命といったもの、その行く末というものがちょっと見えない中で生きていくというところが、私たちの今の日本の環境にもかぶるところがある。なんて深みのある作品なんだろう、そしてやはり時代を超えて生きのびていく作品なんだということを改めて痛感しております」と昨今の状況を絡めて今上演されることの理由を改めて分析、さらにこの作品が日本で長く愛されている理由も語りました。
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さて、2012年の公演、ヒロイン・エリザベートは春野寿美礼瀬奈じゅんのWキャスト。
春野さんは東宝版には初出演、瀬奈さんは2010年公演に続いての出演です。

春野さんは
「このたび新たにエリザベート役として出演させていただきます。皆さんの背中を一生懸命追いかけながら、自分なりに務めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします」
と少し緊張気味にご挨拶。
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瀬奈さんは
「新しいキャストの皆さんと一緒に、新しい『エリザベート』を作っていきたいと思います」
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春野さんは2002年の宝塚花組公演でトートを演じており(トップお披露目公演でした)、瀬奈さんは宝塚時代にルキーニ、エリザベート、トートの3役を演じていることから、「同じ作品で複数の役を演じることの面白さ、難しさは?」という質問も。

これには、春野さんは「わたしまだ(2役目を)演じてはいないので、その部分もどうなるかなと思ってるんですが」 と前置きし、 「瀬奈さんが、また違う視点から作品をみることがすごく面白いよと言ってくれたので、そういう部もすごく楽しみにしています」

瀬奈さんは「『エリザベート』で一番最初に演じたルイジ・ルキーニ役の時は、なんだか美術館で観光客をつれて、額縁に入った絵を一枚一枚見せていく感覚でした。そのあとエリザベート、トートをやらせていただいたときにはその絵の中に入って紹介されている、その人生を生きている感覚。さまざまな角度で非常にたくさんの作品をみている気にさせられすごく楽しかったです。また一番最初のときは私はルキーニとして、春野さん扮するトートからエリザベートを刺すためのナイフを受け取っておりましたので(笑)...。今回はふたりでそのナイフに刺されたいと思っています」

宝塚花組時代はトップと二番手の関係で名コンビと言われたふたり、コメントの時も顔を見合わせたりして仲良し具合が伝わってきます。
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トート役は山口祐一郎石丸幹二マテ・カマラスのトリプルキャスト。

山口さんは「小池さんの話を聞いて、こんなすごい作品に僕は参加できるんだろうかと思ってたんですが、役者の紹介を聞きながら、こういう元気な息子たち、そして美しいお嬢さんたちと一緒にやるんだったらこのすごい作品も乗り切れるのかなとドキドキしてきました。こういうファミリーがいるんだから、今年はとっても素敵な夢を見ることができるなと今から期待しています」とご挨拶。
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前回公演に引き続き出演する石丸さんは「こうやって見渡しますと、トートを経験していらっしゃる方がここに5人......」。春野さんも瀬奈さんも宝塚時代に演じてますもんね。
「その中で私が一番新米ですね。みなさんそれぞれの経験から私もいろんなことを学び、また初心に帰って精進していきたいと思います!」
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3人目はマテ・カマラスさん。自国ハンガリー、そして本場ウィーンでもトートを演じています。
2007年のウィーン版来日公演でもトートを演じていたので、日本の『エリザベート』ファンにもおなじみ。昨年は小池演出の『MITSUKO ~愛は国境を越えて』でも来日、日本語で演じていらっしゃいました。
彼については小池先生から「(『MITSUKO』で)無謀と思いつつも日本語で全部やってもらいました。日常会話はかなりできるんですが、やはりセリフというのは日本人がやっても難しい。それを一生懸命やってくれました」と前置きがあったのですが...
「大好きな日本で、帝劇の舞台に立つことができて、幸せです。ウィーンとは違った日本のエリザベートに挑戦することができて、興奮しています。頑張りますのでよろしくお願いいたします」
ご挨拶はメモも見ずに綺麗な日本語でした!
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マテさんはその『MITSUKO』の時に(昨年5月の公演でした)、日本にいるオーストリア人は退去命令が出た中で逆に、来日してくれたそうです。ご家族や友人に止められながらも。「日本に対する思いとか、仕事に対する責任感に、私は非常に感動いたしました」とは小池先生。
とはいえ「彼が知っている歌の流れと日本語にのったときの違いがあります。私が解釈して付け加えたところもあります、クンツェさんが日本用に書き足してくださった部分もある、演出も違います、ダンスもあります。マテにしてみますとウィーンでやっていないことばかり」と同じ作品でも全く違う部分も多いと語り、「でもそれに挑戦してみたいということなので、ぜひその彼の日本への思いに応えたい」と期待を話していました。


ルキーニ役は初演から903回、すべてひとりで演じているこの人、高嶋政宏
「そんなにやっているとは思っていませんでした...」と高嶋さん。そして「先日、うちの甥っ子が子ルドルフのオーディションを受けたんですが落ちました!残念!!」というエピソードを。
甥っ子さん、奥様のシルビアさんの、お姉さんの子どもだそうです。
「スイスジャパニーズとアメリカンジャパニーズの...クォーター?」...なんかカッコいい...。
「ヤダって言われたんですが、僕が"一緒に日本全国まわろうよ!いっしょにいろんなおいしいもの食べようよ!"って無理やり誘って、かわいそうなことをしました(笑)」とは後ほどの囲み取材での談。
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エリザベートの息子、皇太子ルドルフ役は全員ニューフェイス。
大野拓朗平方元基古川雄大のトリプルキャストです。

「最近、この『エリザベート』という作品に出させていただくのが本当にすごいことなんだなと実感しています。街中とか舞台を観に行ったときとか、エリザベートファンのみなさんにルドルフ頑張ってねと声をかけられることが多いんです。芯の強い部分はあるんだけど、守ってあげたいと思ってもらえるような(笑)...いい魅力のあるルドルフを演じられたらと思います」(大野)
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「ルドルフという役はミュージカル界の新人の登竜門と聞いています。この作品、この役を通して一回り、ふたまわりも成長していきたいと思っています」(平方)
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「たくさんの方に愛されている作品ですし、素晴らしい先輩たちとともにひとつの作品を作れるということ、本当に幸せに思っています。日々勉強という気持ちで頑張っていきます」(古川)
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とそれぞれご挨拶。

3人については、小池先生は
「平方君は大変な美丈夫。宝塚の男役の人が一生懸命補正して作るボディラインを持っていて宝塚の衣裳を着たらそのまま一発だというかんじ。
そして古川君は、とても面白い個性的なロックっぽいヴォーカルなので、そういうルドルフもいたら楽しみだろうと今回は期待します。
大野君はまだ一番若いです。ミュージカルは初めてというところがドキっとするところですが、本人も私たちも、そしてお客さまもみんなでその"ドキっ"を共有しようと思います(場内笑)。そしてすでにTV、映画に活動している将来を嘱望されている若手スターの人が、こういうミュージカルに挑戦してくれる。元四季の方、元宝塚の方、それに映像のスターなど色々な人が加わって、日本のミュージカル界は活性化してほしいと常に願っておりますので、輝ける成果となってほしい」とコメントしていました。


この日の会見では、春野さんが「私だけに」、マテさんが「愛と死の輪舞」(日本語)をそれぞれ披露。
ニューキャストのおふたりですが、すばらしい歌唱で一気に会場を『エリザベート』の世界へ連れていってくれました。
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会見後には、TVカメラ用の囲み取材も。
エリザベート&ルドルフの母子チームはこんなかんじ。
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初参加の春野さんは「エリザベートという役をさせていただく、それだけでも光栄なことですが、今回20周年という節目の年。そのような年にこうしてみなさんとご一緒できるのは本当にいい経験になりますし大切な公演にしたい」と意気込みを。
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瀬奈さんは「こんなに愛され続けているミュージカルに出させていただくプレッシャー...心地よいプレッシャーを感じながら、皆さんと楽しく、いいものを作りたいと思っております」
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3人のルドルフには「お互いを意識するか」という質問。
「今はまず距離感をうかがってるところです(笑)。どこまで踏み入っていいのかなという段階ですね...今度3人でごはんにいきたいと思います」と古川さん。

また同様の質問を、宝塚の先輩・後輩でもあるふたりのエリザベートは
春野「先輩後輩という形ですが、あまり意識してない...」
瀬奈「私が図々しいんだと思います、後輩なんですけど(笑)」
春野「いちおう先輩なんですけど(笑)。...でもそういうことじゃなくて、ふたりでいつも話しているとなんとなくお互い通じ合うものがたくさんあるので、あまり意識したことない。でもちゃんとたててくれたりはするので」
瀬奈「一応って!」
とまあ、仲が良さそうにじゃれあっているおふたりでした。
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そして後半、トート&ルキーニチームはこんなかんじ。
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「20年という長きにわたっていることを喜んでいますし、日本でも非常に大成功な公演。素晴らしい演出家、すばらしいキャストのおかげだと思っています。私としてもベストをつくしてさらに貢献していきたい」とマテさん。
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石丸さんは「何年もかけて作品が成長していると思っていますが、なおもっともっと長く続けていける作品じゃないかと思いますので、僕もその中でのびのびとトートを演じていきたい」
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高嶋さんは「初演のとき舞台上ではじめて足がつって、目の前真っ暗になって本当に吐くかと思いました(苦笑)。初演の3ヵ月で、もう俺は二度とこの役をやることはないと思ったらこんなに長くやってしまった...人間って不思議だなと思いました」としみじみ?

そんな高嶋さんに山口さんは「僕はラッキーなことに、今回もトリプルキャストなんですが、ルキーニは毎回1人で...今回の公演中1300回くらい行くのかな? 2000回の時は僕たちトートチームで花束もっていきますね。それまで頑張ってください!...大丈夫ですよ、何があっても皆でプロテクトします」と言っていました。
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公演は、5月9日(水)から6月27日(水)まで東京・帝国劇場にて。その後7月に福岡・博多座、8月に愛知・中日劇場、9月に大阪・梅田芸術劇場 メインホールでも上演されます。

【チケット情報】

★プレイガイド最速!★
最速先行「いち早プレリザーブ」:2月17日(金)11:00~21日(火)11:00

先行抽選「プレリザーブ」:2月21日(火)11:00~26日(日)11:00

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