初演から四半世紀、色褪せぬ『マーマン』の魅力! 宮本亜門のデビュー作、上演中
ミュージカル『アイ・ガット・マーマン』が現在、東京・シアタークリエにて上演中だ。この作品は今やブロードウェイにウェストエンドにと、世界を舞台に活躍する宮本亜門の演出家デビュー作。1987年の初演から25年という節目の年を迎えたこの新春に、諏訪マリー、田中利花、中島啓江というオリジナルキャストの3人がエネルギッシュに舞台上で弾けている。
マーマンとはブロードウェイ黄金時代の大スター、エセル・マーマンのこと。本作は『エニシング・ゴーズ』『アニーよ銃を取れ』などの数々のヒット作に主演する一方で、5度の結婚を繰り返すなどドラマチックな私生活を送った彼女の生涯を、彼女自身がヒットさせた名曲群で綴っていく作品だ。3人の女優たちが2台のピアノ伴奏をバックに時にマーマンになり、時にマーマンを語るクラブ・ショーのようなスタイルは、舞台転換もなくシンプルだけれども何故かゴージャス。それは3人の女優たちの存在感が醸し出すものだろう。諏訪の華やかさ、田中のファンキーさ、中島のド迫力。そして3人に共通して、マーマンの代名詞でもあった"大声量"。ソロから三重唱までどこを切り取ってもパワフルだ。ナンバーも幕開けから「アイ・ガット・リズム」「ショウほど素敵な商売はない」と名曲のオンパレードで、一気に心が沸き立つ。コメディかはたまたおしゃべりか、3人の息の合った掛け合いも、楽しい。
今回の公演は3チームのキャストが出演するが、この作品の歴史とともにあるオリジナルキャスト版は「Tribute to Merman」と銘打ち、初演時の映像とともに3人が当時を振り返るシーンも加えられた。「あの頃はスリムだったわねぇ」「私は変わってないわ!」など目を細めて懐かしさを語りつつも、今の自分にも自信を見せる3人が可愛らしくも頼もしい。25年という歴史の重みと、『アイ・ガット・マーマン』という作品への愛が入り混じり、なんともハッピーな劇場空間になっていた。そして2011年の最新ヒット曲も織り込んだりとさらに進化する『マーマン』を見せつけてもいた。
初演は4日間だけの公演だった。25年後も同じ作品に出ているとは「針の先ほども想像しませんでした」と諏訪。田中も「ずっと『マーマン』をできたらいいなぁ、と思ってはいましたが、それが実現するとは」と今の喜びを噛みしめる。そして、「まるでタイプの違う3人の出演者それぞれの個性が絡まりあって、ひとりの女性"マーマン"を演じてゆく。これは、たまらないですよね」(諏訪)、「人生、十人十色でも、それぞれのどこかに重ね合わされるドラマがある。マーマンを知らない人でもきっと大笑いし、泣き、ため息をつく!」(中島)とこの作品が愛され続ける理由をそれぞれ語った。3人が賑やかに歌い、底抜けの笑顔を振りまく姿を観るだけでも、身体の底からムクムクとパワーが湧き出てくるこの舞台、公演は1月19日(木)までシアタークリエにて。なお1月10日(火)からは浦嶋りんこ、シルビア・グラブ、エリアンナの"ファビュラスキャスト"、樹里咲穂、西国原礼子(SDN48)、Mizの"ニューキャスト"が出演する。その後大阪・金沢・栃木でも公演あり。
ニュースにて配信しましたこちらの記事、げきぴあではオリジナルキャスト3名のコメント全文を掲載いたします。
諏訪マリー
●10年ぶりの「マーマン」の舞台に立って今、率直に、どんなお気持ちでしょうか?
改めてこの作品自体が持っているエネルギーを感じます。
●初演時を振り返って、印象的なエピソードなどがありましたら教えてください。
客席に私の靴が飛んでいっちゃったんですけど、スポーツシーンのウェーブのように後ろから前へとお客さまが温かく運んでくださいました。
●初演当時、25年後もこの作品に携わっているだろうという予感のようなものはありましたか?
プレビューも入れて初演は4日間だけの公演。
もちろん針の先ほども想像しませんでした。
●25年も愛されている「マーマン」の最大の魅力はどこにあるとお考えでしょうか?
曲の持っている力。
そしてまるでタイプの違う3人の出演者それぞれの個性が絡まりあって、ひとりの女性"マーマン"を演じてゆく。これは、たまらないですよね。
田中利花
●10年ぶりの「マーマン」の舞台に立って今、率直に、どんなお気持ちでしょうか?
天にも昇る心地です。
私の年齢...?になってこんなに楽しい仕事ができるなんて本当に幸せ!頑張ります!!
●初演時を振り返って、印象的なエピソードなどがありましたら教えてください。
振り返ってみても、思い出せるのは楽しかった、ということばかり。
●初演当時、25年後もこの作品に携わっているだろうという予感のようなものはありましたか?
ずっと「マーマンできたらいいなぁ」と思ってはいましたが、それが実現するとは。う~ん、正直思えなかったなぁ。
●25年も愛されている「マーマン」の最大の魅力はどこにあるとお考えでしょうか?
(エセル・マーマンの歌ってきた曲の素晴らしさ + 亜門の素敵な本)×マリーさん、啓江ちゃんとスタッフの愛 = アイガットマーマン
中島啓江
●10年ぶりの「マーマン」の舞台に立って今、率直に、どんなお気持ちでしょうか?
体の方がコンサート歌手用になっていたため、舞台に立つのが恐かったです。今、フォローしてくださる共演者と亜門、スタッフの皆さまに、感謝、という気持ちでいっぱいです。
●初演時を振り返って、印象的なエピソードなどがありましたら教えてください。
お客様の中で、私と結婚式に出た人、100人以上。その中でたったひとり、再演の時に花束をくださった。(編集注:劇中で、中島さんは結婚式のシーンがあるのです)
●初演当時、25年後もこの作品に携わっているだろうという予感のようなものはありましたか?
再演するのは、オリジナルでなくともあたりまえのように思っていましたが、あと5年待っていてほしかったデス。
30年祭はあるだろうと......
●25年も愛されている「マーマン」の最大の魅力はどこにあるとお考えでしょうか?
人生、十人十色でも、それぞれのどこかに重ね合わされるドラマがあるから。
マーマンを知らない人でも、きっと大笑し!泣き!ため息をつく!
それでいてうなずいたり!マーマンと出会えて感謝。