『モリー・スウィーニー』 vol.06 谷賢一

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こんにちは。モリー・スウィーニー演出の谷賢一(牡牛座)です。
毎日毎日の帰り道、路傍に捨てられた子猫を拾うことを夢見て生きています。
猫を拾ったらオフィーリアと名前をつけて、発狂するまで可愛がってやりたいです。

と、くだらねぇお茶を濁すような枕を書いて、
「今日も有意義な稽古でした。みんな観に来てね☆」
みたいな個性のないブログを書くことにも飽き飽きしてきたので、
今日は本音を書こうと思います。

モリー・スウィーニー、稽古は順調です。これ本音。
明日にでも幕を開けろ、って言われたら、多分やれます。これも本音。
で、昨日あたりから、「いや、でもこのままじゃ嘘なんじゃないか」
「このままじゃ本当に面白くはならないんじゃないか」と、試行錯誤を始めてます。これも本音。

きっかけは通し稽古でした。
台詞も段取りも血肉になりつつあり、危うげなく通しができるようになってきた昨今。
当然、俳優の演技にも熱が入り、どんどん芝居の空間が立ち上がりつつあります。
が、「芝居の空間を生んじゃいけないんじゃないか?」という疑問が生まれつつあるのです。

モリー・スウィーニーは、登場人物が回想としての吐露・独白をしていく、というのが主な構成です。
聞き手は台本には明示されていませんが、客席に向けてダイレクトに語っている、ということが端々から読み取れます。
ということは、登場人物は客席の目の前に存在し、客席に打ち明け話をしているわけで、
演技に熱が入り、芝居の空間・時間が生まれ、
どんどん自分の世界に入っていったら、おかしなことになるんじゃないか。
現に今、なりつつあるぞ、と。

稽古場で一時間近くかけて話したややこしい話なのでこれ以上説明しませんが、
出演者たちは今、そのことをよく理解してくれており、新しいアプローチが成立しつつあります。
ただしブレヒトではない。我々は異化効果を狙っているのではなく、共感の演劇を目指している。
しかもチェルフィッチュでもない。我々はアイルランドに実在したかもしれない人物への転生を目指している。
その上ドキュメンタリーでもない。我々はあくまでドラマの力を信じている。
よく構成されたドラマは、ドキュメンタリー以上に真実を伝え得るということを信じている。

ふー、何とか初日に間に合ったよ、というエピソードを武勇伝のように語る馬鹿がこの業界にもあちこちにいますが、
そんなもん「頑張ったから気持ちいい」というオナニーでしかなく、唾棄すべきものだ。
本番二週間前に通しをやれるくらいきちんきちんと進めたからこそ、
今、すべての枠を取っ払い、ゼロからこの戯曲とは何なのか、考える段階に辿り着いています。

今やってることは、ある意味では損をすることなのかもしれません。これ本音。
もっと賑やかに、もっと楽しく、もっと誇張してやる方がいいのかもしれない。これも本音。
でも、そうじゃない可能性を見てしまった以上、やらずにはいられない。これも本音です。

初日まであと8日かな?
まだまだ時間はあるので、この贅沢な試行錯誤をギリギリまで楽しみ、悩み、そして苦しみたいと思います。

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