『風と共に去りぬ』会見こぼれ話

●ヒラノの演劇徒然草●

ニュースも配信しましたが、昨日4月18日、舞台『風と共に去りぬ』の製作発表会見が行われました。
この作品は、帝国劇場が現在の建物になった1966年、その新装ほやほやの帝劇で6か月ものロングランを果たした作品で、製作・脚本・演出の菊田一夫が「この作品のために帝劇を作った」と豪語したほどの大作です。
この帝劇での初演が、世界で初の舞台化でした。

その後、帝劇ではミュージカル版も作られヒットしましたが、今回は初演同様、ストレートプレイとしての上演です。
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この日の会見には、スカーレット役の米倉涼子をはじめ、キャストは扮装姿でご登場。
スカーレット役の女優は、制作チームでの投票で選ばれたそうですが、米倉さんは「こういう扮装でお芝居をしたことがなかったのに、(スカーレットのような)そういうイメージを持ってくださっていたということにすごく感激」と話していました。
いやー、ほんと、美貌と激しさと強さと、もうイメージどおりです!
ちなみに好きなシーンは「喪服でワルツを踊るところ。こういうドレスで演じるというのは難しいと思うのですが、音楽がかかるとどうしても身体をとめられなくなって思わず踊ってしまう、そういった彼女の抑えられない気持ちを身体を表現してしまうような、無邪気なスカーレットをいろんなシーンでやれたら」とのこと。
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そしてレット・バトラー役は寺脇康文
ご本人は「名だたるいい男、レット・バトラーということ(のプレッシャー)を置いても、米倉さんと共演できるというのが大きく、オファーを受けました」と少し謙虚におっしゃっていましたが、こちらもぴったりですよね?
「個人的にはバトラーというのは、とにかく自分のルールで生きてるという男。社会のルールからするとちょっと外れていても、自分の信念をもってる男で、そして卑怯なことが嫌いな男。まずこれは大きく自分の中においやっていきたい。あまりいい男とか色男とかの方面にいかず、自然体の男を目指せれば」とのこと。
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アシュレイと結婚し、スカーレットに嫉妬されながらも彼女を姉のように慕うメラニーには紫吹淳
元宝塚トップスターの紫吹さん、『風と共に去りぬ』は宝塚歌劇団でもしばしば上演される人気作ですが、意外なことにこの作品に関わるのは今回が初めてとのこと。
「わたしは今まで比較的、強い女性の役が多かったのですが、メラニーは動と静にたとえるなら静そのもの。そして台本には“天使のような”と表現されています。妖怪とか悪魔とかそういった役をやることが多いので(笑)、今回はいかに天使になれるかが私の課題」とご挨拶。
このコメントには演出の山田さんが大笑いでした。
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スカーレットが思いを寄せるアシュレイ役には岡田浩暉
「アシュレイは理想家。映画などでは、わりと繊細というか“弱っちい”イメージがあると思うのですが、あまりそちらにはいかず、豊かさがあったから彼は理想を描けたのかとか、戦争という体験を経たからああいう風にボロボロになってしまったとか、その辺を稽古の中で膨らませていきたいです。どうしても映画が不朽の名作といわれる素晴らしいものですので、プレッシャーも感じてしまうんですが、自分なりのアシュレイを頑張って、映画も舞台も『風と共に去りぬ』はすばらしいねとお客様に言っていただけるように頑張りたい」と岡田さん。
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ベル・ワトリングには高橋ひとみ
「大人で色っぽさも必要な役なのになんで私なんだろう!?と最初に思った」という高橋さんですが、紫とオレンジの華やかなドレス姿は大人の魅力そのものです。
「レットバトラーが泣きついてくるところというか、心のよりどころにしてくれている部分がある女性。この時代の中でもそこの場所だけは華やかで明るくてという部分と、彼女の懐の深さを出せたら。自分の気持ちをずっと抑えながらも女主人に徹するという、肝っ玉のある女性を演じられたらいいなと思っています」
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そして、『風と共に去りぬ』は、戦争に破れ荒廃した町で強く生きていくという背景が、戦争と震災と要因は違えども、現在の日本の状況とリンクする部分があるということで、皆さんの心にも特別な思いがあるようで、そのあたりの話題も。

「廃墟となったアトランタ、スカーレットたちの故郷であるタラという町、そこをどう再生していくのか、そしてそこからまた立ち上がっていくという強い信念をもった人たちのドラマ。そういったことが、ご覧になる今のこの国の皆さまの心に届いてひとりひとりのお客様を勇気づけることができればいいなと思っています」と演出の山田和也さん。

米倉さんも「生きることのすごさや勇気、人の笑顔や苦しみなどを話せば話すほど、今回のお芝居に気合が入る。私たちは舞台でお芝居することしかできないですが、気持ちをどこかリンクさせて、皆さまの気持ちにお届けできたら」と話し、寺脇さんも「東京と大阪の公演なので、被災した方に直接ご覧いただけることは難しいかもしれないけれど、僕らは役者として、目の前のことをいっしょうけんめい演じていい作品をつくって、エネルギーみたいなものがたちのぼっていって、目にみえない形で日本全土にかけめぐって大きなひとつの力になってほしい」、岡田さんも「今回の震災に関しては日本人がみんなで力をあわせていく状況。寺脇さんがおっしゃったように被災地の方は観られないかもしれませんが、元気のバトンリレーという形で、来ていただいた方にとにかくエネルギーをもらっていただいて、それが日本中にまわっていけば」と話していました。


さて最後に可愛らしい話を。
米倉さん個人としてはバトラーとアシュレイ、どちらがタイプ?という質問に、
「個人的には色んなことが楽しめるバトラーの方が、すごく刺激があって楽しいかな。でもやっぱり優しい人が良かったのかなって逆に気付くのかな? スカーレットとは好みが逆かもしれないですね。……あれ、そんなことないか?(スカーレットはアシュレイが好きで)思わずバトラーさんと遊んじゃったんだもんね?」と真剣に悩みだしてしまった米倉さん。
それをみて寺脇さんが「……うちで考えてきてもらえます?」とツッコミを。
そして米倉さん、ボソッと「男の人だったらどっちでもいいのかな」。
会見場が爆笑の中、寺脇さんが「そこをとられるよ、(ニュースに)そのコメントだけとられるよ!」と米倉さんをからかっていました。
110418_kakomi.JPG公演は6月3日(金)から12日(日)に大阪・梅田芸術劇場 メインホールにて上演された後、6月18日(土)から7月10日(日)まで、帝国劇場にて上演されます。
チケット情報はこちら

なお、『レ・ミゼラブル』に続き、本作も《「東日本大震災」チャリティー公演》として公演の売上げの一部を義援金として日本赤十字社を通して被災地に送るとのことです。
 

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