演劇ファンに愛された中島らもの中華アクションが待望の再演

【演劇ニュース】

「しょうもない」けれどどこか憎めない人々を描いた小説や軽妙なコラム、さらには笑殺軍団リリパットアーミーなど舞台活動でも圧倒的な人気を集めていた作家・中島らも。2004年の急逝後も彼を愛してやまないファンは多いが、その中華芝居シリーズの中から今回ついに『桃天紅』が復活! しかも中島が彼のために書き下ろしたという山内圭哉が当時と同じく主演を務めるほか、演出も担当。関西出身の中島の盟友、松尾貴史や福田転球らも出演する演劇ファンにはたまらない舞台となっている。初日の幕が開いた4月15日、東京・本多劇場には大勢の観客が詰めかけていた。

舞台は中国の奥地。賞金稼ぎの流爾丹(山内)は、祖父の爺爺(福田)を連れて幻の薬「桃天紅」を探す旅を続けていた。ある日、爾丹は金持ちの娘・周仙々(黒川芽以)を山賊(コング桑田、松村武、中山祐一朗)から助けたことで、その父親・周薛崑(川下大洋)から意外な事実を明かされる。いわく「この家には蛇の呪いがかかっており、仙々も段々ウロコが生えて蛇になってきている」と。それを止めるためにも"桃天紅"を取って来てほしいと頼まれた爾丹は、途中で出会った僧・抜天坊(兼崎健太郎)と連れ立ち、秘薬を守る桃仙(松尾)が待つ山奥へと向かう。それを聞いた呪いの主・白蛇妃(椿鬼奴)と山賊たちも爾丹を追うが...。

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チープでくだらなくて、でも最高に面白い。そんなB級中華アクションムービーを真似た中華芝居シリーズだけに、ストーリーはいたってシンプル。その分、笑いやアクション、時折出る関西弁などで煮詰められた独特の"匂い"はここにしかないものだ。17年ぶりの再演だけに、作家・中島さなえ(らもの娘)と山内で台本に手を加えたというが、メジャーなものに対する皮肉や、敏感すぎる言葉狩りを揶揄する場面などは健在。ユルさの中に、低い目線から笑いという武器で対抗する中島の気骨を改めて感じた。

今回その"匂い"の大部分を担う役者陣は、出てくるだけで場をさらう福田に手錬の松尾、そのふたりに逐一ツッコんでゆく山内と、さすがの達者ぶり。その他、普段の芸風を垣間見せる椿と手下のぼくもとさきこのズレたやりとりや、キャスト中唯一のイケメン兼崎をサワヤカ弄りする山内など、笑っているうちにあっという間の1時間半。終演後のお約束"ちくわ投げ"(中島が長年カネテツデリカフーズの宣伝コラムを書いていたことから、袋入りのちくわを客席に投げるのが恒例だった)も復活。ぜひ他作品の上演もと願いながら劇場を後にした。

公演は4月24日(日)まで、東京・本多劇場にて上演。4月30日(土)・5月1日(日)に大阪・イオン化粧品 シアターBRAVA!でも公演。

取材・文:佐藤さくら

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