●ヒラノの演劇徒然草●
歌舞伎の舞台公演をスクリーンで楽しめる「シネマ歌舞伎」。
明日・16日(土)からは『大江戸りびんぐでっど』が公開になります。
すでに15作品が登場している「シネマ歌舞伎」。
16作目である今回は、今までの中で一番ファンキーだと断言します!
なにせ、あの宮藤官九郎が手がけた新作歌舞伎です(2009年12月歌舞伎座公演)。
ゾンビが踊ります!
物語は、くさや汁を浴びた死人が"ぞんび"となって生き返って、江戸の町に溢れかえる......というもの。
そんなわやわやな状況を背に、ぞんびを働かせる人材派遣会社を起業する半助(染五郎)、彼が思いを寄せるお葉(七之助)らの物語が語られていきます。
意外な"かぶりモノ"で登場する染五郎さん、ノリノリでポーズ(見得ではない...と思う)を決める三津五郎さん、ハジケまくって笑いを誘う扇雀さんら、普段の歌舞伎公演では絶対にありえない世界です。
さらに映画のパロディやら細かいネタが随所に入れ込まれ、これぞクドカン・ワールドな展開。
何より、歌舞伎らしからぬリアルな描かれ方をされたぞんびに扮する俳優さんたちの、イキイキしていること!(特に亀蔵さんとか...)
でも油断していると、最後はなかなかストレートにうるっとさせられてしまうんです...。
で、「シネマ歌舞伎」、劇場ではまず見えない俳優さんのどアップ、細かい表情はもちろんのこと(染五郎さんの切ない表情、胸をつかれます...)、揚幕のチャリンがちゃんと左後ろから聴こえたりと、すごいことになっています。
クドカン・ワールドを楽しむもよし、全力ではっちゃける歌舞伎俳優さんの意外な顔を楽しむもよし、今はなき前・歌舞伎座の空気を味わいにいくもよし。
スクリーンで歌舞伎、いかがでしょう。