オイディプス王に沢山のご来場、本当にありがとうございました。
初四畳半を無事(?)終えました、谷口です。
台風が近づいてますね。
私は昔から、台風がくるとわくわくする子供でした。
危険が迫っている、という緊張感に胸が躍ります。
ただ、お客様の足を煩わせる天気になってしまうのがいささか心配ではあります。
でも皆さん、恐れることはありません。
そんな嵐すら、「タイタス・アンドロニカス」観劇のスパイスとなること間違いなしです!
ひとまず「オイディプス王」を終えて、今回は本当に色んな感想を頂きました。
「今まで観た山の手作品の中で、一番おもしろかった!」
「古典はやっぱり難しいね、よくわからなかった。」
「山の手の芝居は、答えを自分で自由に考えられるから、おもしろいよね!」
「仲間うちで『運命』歩行が流行ってるよ!」
「グレープフルーツが衝撃だった!グサッときた。」
「あのビニールは疫病を表してるんでしょ!そうでしょ!」
観る人によって、本当に受け取り方、楽しみ方が千差万別でございます。
でもそれでよいのです。
「四畳半がよくわからない」
と、おそれることはありません。
自由に楽しんでいただくのが一番です。
芝居に決まった答えはありません。
またそれは、私が初めて四畳半を経験して、改めて感じたことでもあります。
四畳半の動きは役者が自分で考えています。別に振り付けがあるわけではありません。
その役の感情に繋がる身体を自分で探していくのです。
私が演じたのはコロス。テーバイの国民です。
もし私だったらどう感じるだろう、という所から出発し、
2500年以上昔のテーバイ人は何を感じていたのだろう、と探っていきました。
自分の中にある感情の記憶や経験を探り、中身と身体を繋げる作業を稽古します。
テーバイという国に行った事もないし、疫病の流行に直接見舞われたこともありません。
王様という立場の人に会ったこともないけれど、コロスは王様と会話もします。
大昔のテーバイ国民に、現代の日本人の私が変化する、その手段として四畳半を使います。
そこで気付いたことは、自分の中身の貧しさです。
うわ、引き出し少なすぎない、私?って感じです。
自分の周りには物が溢れていて、生活するのに、まぁ一応苦労はしていません。
食べる物も、着る物も、寝る場所もあります。
疫病が流行ったテーバイよりも豊かな環境で暮らしているはずなのに、
中身が貧しいのは何故だ、私っ!!
RPGで言えば、2、3匹雑魚を倒してやっとLv2くらい?
かしこさ、すばやさ、攻撃、防御、すべての経験値が低いぞっ!
そんな自分を嘆きつつ、今の自分にあるものを搾り出し搾り出して、
テーバイの国民 谷口風味 四畳半和え
がひとまず出来上がりました。
でも完成じゃぁないんですよね。
これが正解、といった決まった答えはないんです。
もし答えがあるとすれば、それは自分の中にあり、自分と共に常に変化していくものだと思います。
先輩たちの四畳半も日々変化、進化しております。
初日と楽日では、また違った味わいとなっております。
観る側も自由。
演じる側も自由。
役者、照明、音響、衣装、舞台、そして観客。
全てが折り重なり、せめぎあう空間。
劇場の中は常に嵐がおこっています。
台風なんて大したことはありません。('-^*)b
山の手嵐、第2弾、
「タイタス・アンドロニカス」
皆様のご来場、心よりお待ちしております。
(四畳半とは、山の手の演技スタイルで、一定のルールに沿って動いたりセリフを言う動きの型です)
『タイタス・アンドロニカス』
ルーマニア公演ダイジェスト版
YouTubeにアップしました。