●ヒラノの演劇徒然草●
先日、「化粧 二幕」を拝見してきました。
渡辺美佐子さんが1982年から28年もの長きにわたり演じ続けている、ひとり芝居です。
渡辺美佐子といえば「化粧」、と連想ゲームのように出てくる彼女の代表作ですが、彼女がこれを演じるのは今回が最後。演じ納め、ということで注目が集まっている中、さらに公演直前に飛び込んできた作者・井上ひさしさんの訃報。
ロビーには、井上さんのお写真や、井上さんから渡辺美佐子さんに贈られた色紙も飾られていて......。
劇場はなんとも形容しがたい、非常に濃密な熱気に溢れていました。
主人公は大衆演劇の女座長、五月洋子。
古びた芝居小屋の楽屋で劇団員たちと会話をしながら化粧をし、顔を作っていく彼女。
そこへ訪れてきたテレビ局のスタッフから彼女は、生き別れになった息子が会いたがっているという話を訊く......。
洋子の口から物語が語られていくので、舞台上で流れる時間と上演時間、ほとんど差がありません。
でもその2時間弱が、ものすごく、山あり谷あり。
母子の絆から、最後に判明する狂気まで。
本当にすごい物語です。
観る側も、笑ったり泣いたり驚いたり。一本の芝居でここまで様々な感情を体感できることって、そんなにないんじゃないでしょうか。
そしてもちろん、渡辺美佐子さん。すごいです。
チャーミングで、凛々しくて、温かくて、切ない。
これでファイナルはもったいない、と心底思いますが、その潔さもこの作品には似合っている、のかもしれませんね......。
それはそうと、「げきぴあ」、各劇団の皆様が盛り上げてくださっていて
なんとも申し訳ございません......。
Teamげきぴあの一員として、もうちょっと頑張ろうと思ってます......。