2020年8月アーカイブ

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生駒里奈さんが主演を務める『かがみの孤城』の通し稽古が、開幕初日を約10日後に控えたタイミングで報道陣に公開されました。げきぴあ編集部はこれまで、主人公・安西こころを演じる生駒さんにインタビュー。作品や役柄のイメージを膨らませる稽古前の心境に耳を傾けました。

【ぴあニュース】生駒里奈、役に自分重ね「いじめの経験あるからこそ発信したい」

作家の辻村深月さんが2017年に刊行し、翌年の本屋大賞を獲得した本作。同級生の悪意に傷つき、家に閉じこもる中学1年生のこころはある日、自室の鏡を通じて見知らぬ城がそびえ立つ異世界へ引き込まれてしまう。そこで出会った6人の仲間と望みが何でも叶う"願いの鍵"を見つけようと奔走するうちに、彼らは自分たちが城に集められた理由を目の当たりにして──。

脚本・演出は、同じく辻村さんの『スロウハイツの神様』(2017年初演)を舞台化した成井豊さん。キャストは他に溝口琢矢さん、野田裕貴さん(梅棒)、前田航基さん、原田樹里さん、河内美里さん、渡邊安理さん、多田直人さん、木村玲衣さん、石森美咲さん、稲田ひかるさん、澤田美紀さんが名を連ねています。

*     *     *

稽古スタートから21日目を迎えたこの日、通し稽古が行われるのは2度目。前日の"初通し"を終えた仲村和生プロデューサーのツイートには「演出家からは1回目の通しとしてはとてもよい、と高評価」とあって、いやがおうにも期待が高まります!

新型コロナウイルス感染症の影響もあって、稽古場は常にソーシャルディスタンス仕様。キャストは全員、マスクの上から透明のマウスシールドを装着し、飛沫防止策を徹底していました。セリフをそらんじるキャスト、段取りを確認しあうスタッフの中で、生駒さんは通し稽古前のわずかな時間を使って黙々とダンスシーンの振付をさらうなど準備万端です!

通し稽古は、こころが"かがみの孤城"で過ごした記憶をたどるモノローグで開幕。同級生からの執拗ないじめを機に心身に不調をきたし、こころが部屋から出られなくなった瞬間、For Tracy Hyde「繋ぐ日の青」のイントロが流れ、オープニングのダンスシーンへ突入します。人がくぐり抜けられるサイズの大きな姿見を効果的に用い、こころと城で出会う6人が揃い踏みするステージング。これから始まる物語の世界観を伝える、印象的な幕開けでした。

生駒ソロ.jpg

インタビューで「いじめられた経験がある自分だからこそ、役に説得力が出る」「同じ悩みを抱えている全ての方に向けて発信したい」と述べていた生駒さん。周囲へ心を閉ざし、不登校になったこころの"戸惑い"を、マスクをしていてもわかる視線越しの繊細な表情で立ち上げます。孤城の仲間と出会い、母(渡邊安理)やフリースクールの喜多嶋先生(原田樹里)の理解を経て"成長"していく様子も必見です。

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城に集められた他の中学生と境遇は異なるものの、「学校へ通いたかった」気持ちが人一倍強いリオン。演じる溝口さんは、通し稽古後に行われたダンスシーンの確認でリーダーシップを発揮していました。一緒に踊るキャストを代表して段取りを質問すると、振付を手がける川崎悦子さんから「呑み込みが早くて助かるわー!」の声が。潤滑油として稽古場に貢献する舞台裏を覗かせてくれました。

野田ソロ.jpg

野田さんは、公演パンフレットの座談会インタビューで見せたご自身の温厚な人柄を役に投影。東京に転校してから学校へ行けなくなってしまったものの、6人をなだめる大らかなスバルとして存在感を示していました。梅棒のメンバーだけあって、ダンスシーンをリードする姿にも注目です。

前田ソロ.jpg

前田さんは、ご本人いわく「優しい両親から甘やかされて育ったであろう」ウレシノ役。惚れっぽい性格で、孤城で出会う女性陣の中で恋愛対象をどんどん変えていく節操のなさをチャーミングに造形しました。中学生キャスト最年少だけあって、学ラン姿が誰よりも似合っていたことを伝えておきます(笑)。

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ウレシノから強すぎる気持ちをぶつけられ、困惑するフウカを演じる河内さん。母親の「娘をピアニストに」というプレッシャーに押しつぶされそうになる役どころです。メガネ姿でおとなしそうなフウカが、孤城の仲間に出会って自分らしく青春の日々を取り戻していく様子には心が温かくなりました。

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稲田さんが扮するのは、家庭環境に問題を抱えるアキ。ご本人が「強がったり本心を隠したり、偽りの自分を演じているようにも見える」と分析するように、朗らかなキャラクターながらもアンバランスな一面を覗かせます。それが結実する回想シーンの激情は見どころ。感情を爆発させ、現実に立ち向かう姿には思わず手に汗を握ってしまいました。

それぞれ複雑な事情を抱えつつも、やっぱり学校へ行きたい──。7人の切実な思いが丁寧に描かれるからこそ、彼らが城へ集められ、出会った必然性が浮かび上がります。救いのラストに向けて加速する展開はもちろん、原作を尊重しながら舞台化する成井さんのクリエーションも健在。ところどころに挟まれるFor Tracy Hydeの涼しげな女性ボーカルも、登場人物の心象風景を効果的に彩っていました。

通し稽古の初期段階から高い完成度を見せ、関係者を魅了した『かがみの孤城』カンパニー。音楽・美術・照明・振付・衣裳といったスタッフワークも加わった本番では、どのようなステージを見せてくれるのでしょうか。開幕が非常に待ち遠しくなりました!

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公演は、8月28日(金)~9月6日(日)に東京・サンシャイン劇場にて。その後、18日(金)~20日(日)に大阪・サンケイホールブリーゼ、22日(火・祝)に愛知・刈谷市総合文化センター 大ホールと巡演する。

また本作はPIA LIVE STREAMを通じて、収録映像を後日視聴できる「ディレイ配信」と9月6日(日)に行われる東京千秋楽公演の「生配信」が実施されます。


ディレイ配信

[配信公演]2020829日(土)18:00開演回

[視聴期間]202091日(火) 19:3026:30

生配信

[配信公演]202096日(日)13:00 東京千秋楽公演

[視聴期間]202096日(日)13:0023:59

※いずれも開始30分前から配信ページに入場可能となります

2学期が憂鬱な学生さんをはじめ、コロナ禍や猛暑に疲れた大人の皆さんも、劇場での鑑賞と配信サービスで"クールダウン"してみては。

取材・文:岡山朋代

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NAPPOS PRODUCE 舞台「かがみの孤城」

2020828日(金)~96日(日)

東京・サンシャイン劇場

2020918日(金)~20日(日)

大阪・サンケイホールブリーゼ

2020922日(火・祝)

愛知・刈谷市総合文化センター 大ホール

[原作]辻村深月「かがみの孤城」(ポプラ社刊)

[脚本・演出]成井豊

[出演]生駒里奈、溝口琢矢、野田裕貴、前田航基、原田樹里、河内美里、渡邊安理、多田直人、木村玲衣、石森美咲、稲田ひかる、澤田美紀、山本沙羅

※出演予定でした木津つばささんは降板となり、代わりに山本沙羅さんが出演されます。詳しくは公式サイトをご確認ください。http://napposunited.com/kagaminokojo/

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My Story
--素敵な仲間たち--

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『レ・ミゼラブル』『エリザベート』『ローマの休日』『モーツァルト!』 『レベッカ』『ダンス オブ ヴァンパイア』・・・
帝劇で様々な大作ミュージカルに出演し、神秘的な歌声と圧倒的な存在感で、観客を魅了し続けている「ミュージカルの帝王」山口祐一郎が、コロナ後初めて帝劇の舞台に立つ!

題して『 My Story -素敵な仲間たち 』

歴史上初めてとなる帝国劇場で本格的なトークショー公演が決定した。

構成・演出は『ローマの休日』ほか数多くの山口主演ミュージカルの演出を手掛けてきた山田和也

山口と山田のオンライン打ち合わせでは、初トークショー挑戦にもかかわらず、山口から「MCは必要ない」との驚きの言葉が・・・!
90分の上演時間をどのように構成していくか、構成すること自体が可能なのか・・・・乞うご期待!
また、山口が共にミュージカルを創り上げてきた"素敵な仲間たち"が各公演替わりで登場し、共演の思い出やミュージカルの素晴らしさを語り尽くすスペシャルな内容にも期待したい。

【浦井健治&保坂知寿】
2004年に『エリザベート』ルドルフ役で帝劇に初めて出演して以来、山口との共演を重ねつつ、スターダムを駆け上がり、現在 シアタークリエで主演を務めている浦井健治 。
劇団四季時代に数々のミュージカルで共演し、2009年に帝劇で初主演ミュージカル『パイレート・クィーン』で山口と共演し、その後も数多くのミュージカルやコンサートで共演した保坂知寿。
12月のシアタークリエ公演『オトコ・フタリ』で共演する3人が息の合ったトークを展開します。


【加藤和樹&平方元基】
ミュージカル『ローマの休日』 初演(1998年青山劇場 2000年帝国劇場 山田和也演出)で山口祐一郎が演じた ジョー・ ブラッドレー(新聞 記者 を20年ぶりに演じ継ぐ、加藤和樹と平方元基が参加 。 『レディ・ベス』などでの共演もある、3人のブラッドレー記者が語らう回にご期待ください!


【中川晃教】
2002年に『モーツァルト!』日本初演タイトルロールで華々しくミュージカルデビューを遂げ、今月も『ジャージーボーイズ i n コンサート』に主演した中川晃教。『モーツァルト!』でヴォルフガング と対立する コロレド大司教を演じた山口との13年ぶりの共演となります。饒舌な二人の止まらないトークにご期待ください!

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『My Story 素敵な仲間たちー』 構成・演出:山田和也


<公演期間・会場>
公演期間:

9月17日(木)
 13時: 山口祐一郎& 浦井健治&保坂知寿

 17時: 山口祐一郎& 加藤和樹&平方元基


9月18日(金)
 13時: 山口祐一郎& 中川晃教

 17時 山口祐一郎& 中川晃教

会場:帝国劇場
 ※上演時間は各回90分を予定

<チケット料金> ※客席は千鳥配列50%稼働

 S 席¥8,000

 A 席¥5,000

 

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鞘師里保さんが主演する<shared TRUMPシリーズ>音楽朗読劇『黑世界 ~リリーの永遠記憶探訪記、或いは、終わりなき繭期にまつわる寥々たる考察について~』が920日(日)から東京・大阪にて上演&配信されます。

HP▶▶https://trump2020.westage.jp/

本作は、劇作家・末満健一さんがライフワークに掲げ、2009年から展開する人気演劇公演「TRUMPシリーズ」の新しい試みとなる「shared TRUMPシリーズ」の第一弾。

ひとつの世界観を複数の作家が共有して創作する"シェアードワールド"の手法を用いた短編アンソロジー形式での公演となり、今回は

<雨下の章>中屋敷法仁(劇作・演出家、劇団柿喰う客 代表)、降田天(小説家・推理作家)、宮沢龍生(小説家)/末満健一

<日和の章>岩井勇気(お笑いコンビ・ハライチ)、葛木英(脚本家・演出家・俳優)、来楽零(小説家)/末満健一

という面々が脚本を手掛けます。

作家の詳しい情報は▶▶こちら

描かれるのは、TRUMPシリーズ2作目『LILIUM -リリウム 少女純潔歌劇-』('14)の主人公・リリーが不老不死のあてなき旅の中で出会う<雨下の章>と<日和の章>のふたつの物語。二作同時上演です。

そもそもTRUMPシリーズとは?▶▶こちら

本作で、『LILIUM』に続き出演する鞘師さんと、脚本・演出を手掛ける末満さんにお話をうかがいました。

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*****

――おふたりは舞台『ステーシーズ 少女再殺歌劇』('12)、『LILIUM -リリウム 少女純潔歌劇-』('14)ぶりのタッグとなりますが、会われたのは久しぶりですか?

末満 この作品のビジュアル撮影が5年ぶりの再会でしたね。

鞘師 そうですね! 最後にお会いしたのがNAPPOS UNITEDTRUMP』('15)を観劇したときだったので。

――今作『黑世界』は、TRUMPシリーズ最新作として本来やるはずだったミュージカル『キルバーン』がコロナの影響で上演が難しくなり、生まれた作品だそうですね。

末満 はい。舞台上のソーシャルディスタンスをはじめとするいろんな条件を考えると、朗読劇は一つの手段だとは思ったのですが、僕、もともと朗読劇に対して食わず嫌いなところがあったんですよ。お手軽感のようなものが出ちゃったらいやだなと思って。なのでこの機会に、自分がやる朗読劇というものを探ってみようと思いました。

――リリーを主人公にした"音楽"朗読劇にしたのはなぜですか?

末満 『キルバーン』がミュージカルの予定だったので、歌ものではありたいなと思って。その中でいろいろと考えたときに、シックで落ち着いた世界観のイメージが自分の中に浮かび、リリーのロードムービー的なお話が合うんじゃないかと思いました。TRUMPシリーズではいろいろな時代を描いていますが、『LILIUM』のその後の時間軸は描いたことなかったですし。そういう、いろんな状況に導かれるようにして行き当った作品ですね。

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――鞘師さんは'15年にモーニング娘。を卒業されて、海外留学も経験され、久しぶりの舞台となりすますが、どうして出演を決めたのですか?

鞘師 "決めた理由"というより"迷うことなく"という感じです。もちろんブランクがあるので、尽くさなきゃいけないことがたくさんあると思いますが、やりたいと思いました。

――それは『LILIUM』の経験もあってのことですか?

鞘師 そうです。『LILIUM』という作品は、モーニング娘。として活動をさせていただく中でやらせていただいたもの(作品にはモーニング娘。'14選抜メンバー、スマイレージ、ハロプロ研修生が出演した)ではあるのですが、「新しい一面を見せる」みたいに単純に語れるような出来事ではなかったというか、自分の中ではすごく大きな出来事だったんです。TRUMPシリーズのファンの方に観ていただけましたし、歌や表現に対する考え方も変わるきっかけになった作品だったので。自分にとってすごく大きな経験になっています。

――そんな場所に鞘師さんが6年ぶりに戻ってこられる『黑世界』ですが、まず、<雨下の章><日和の章>というタイトルはどういうことでつけられたのですか?

末満 これ、実はもともと、<100年後編><200年後編>という予定だったです。『LILIUM』の100年後の話、200年後の話、という意味で。それで作家さん達から届いた脚本を読んだら、<100年後編>の話はどれも雨が降っていたんですよ。それで、だったら<雨下の章>とつけようかな、と。『LILIUM』も雨が降っているお話だったので、その名残もありつつ。逆に<200年後編>は雨が降らない世界ということで<日和の章>なんですけど、内容的にも割とハートウォームな感じなんです。TRUMPシリーズって悲劇的な話が多いし、今作でもそういう要素がないわけでもないんですけど、<日和の章>は太陽が温かい感じがある。なので、この世界を楽しむための新しい見え方としてアリかなと思ってつけました。

鞘師 そういうことだったんですね。 実は今、台本を覚えている途中で。新良エツ子さんと会話するシーンが多いので、最近ふたりでリモートで読み合わせをしているんです。

末満 そうなんだ。ひとりでやるより覚えやすいもんね。

鞘師 その読み合わせの初日に、ふたりで「<雨下>と<日和>は対照的な話だね」と話して、悲しいお話が多い<雨下>のほうを先に覚えようってことになったんです。未来に明るいことがあるほうがいいで。「日和が待ってる!」みたいな感じで。

末満 ははは!

――ちなみに『LILIUM』は6年前の作品ですが、新良さんと読み合わせをされる中で感覚はスッと戻るものですか?

鞘師 いえ、最初は舞台に立っている想像もできませんでした。でも読み合わせをしたり、過去の作品を観させてもらって、TRUMPの世界観や空気感を今、身体に取り入れている感覚です。

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――末満さんが現時点で「ここは大切にしてほしい」ということはありますか?

末満 特にないです。

鞘師 (笑)

末満 でも、6年の歳月がもたらすものは確実にあるだろうから。過去作品を観てもらうのもありがたいけど、どちらかというと、自分が経験してきたものを大事にしてもらえたらいいなと思います。

鞘師 はい!

――脚本は読んでいかがでしたか?

鞘師 読んでいてすごく楽しいです。短編アンソロジー形式で、どんどん話が変わっていきますし。お客様には新しい見応えを感じていただけるんじゃないかと思います。

――本当に多種多様なストーリーが楽しいですよね。そしてそれによってTRUMPシリーズの器の大きさも感じられました。岩井さんの脚本なんて、TRUMPの世界観でここまで笑うことできます!?って。

鞘師 たしかに(笑)。

末満 10年やってきましたからね。10年かけてしっかりした土台ができていったんだなと思います。でも実は、岩井さんの最初の脚本はシリアスなラブストーリーだったんですよ。だけど先入観で、僕、それをコメディだと誤読してしまって。

――ええ(笑)。

末満 それで、最初の脚本もすごくよかったんですけど、他にもシリアスなラブストーリーがあったので、岩井さんに「僕はこのラブストーリーをこういうふうに誤解したんです」とお伝えして、その方向で書き直していただいて、今の脚本になりました。だから最初とはガラッと変わったんですけど、僕も読んで、「ちょっと待てよ、これ。おもしろい」って(笑)。TRUMPの設定をうまく利用したコントになってますよね。

――皆さんそれぞれにすごく魅力的な脚本でしたね。

末満 できあがった脚本を最初に読んだ時、「そうそう、こういう俺からは出ないものが欲しかったんだ!」という気持ちでした。宮沢さんのお話は優しいヒューマンドラマだったし、来楽さんのシリーズの設定を巧みに使ったラブストーリーもうまいなと思ったし、降田さんのお話は流石ミステリー作家という驚きもあって。葛木さんのお話は観念的な罪悪と贖罪に関する物語で、お客さんによって捉え方が違うみたいな作品に仕上がっていて、僕はどうしてもわかりやすく書きがちなので、これをこの世界観の中で成立させられたら面白いなといました。中屋敷さんのお話は中屋敷さんワールドでぶっ飛んでいるし(笑)。純粋に読者として、読むのが楽しかったです。

――そして末満さんの書かれた脚本が大きな軸になっていました。

末満 一本の軸として僕の脚本がありながら、他の作家さんの脚本が振れ幅を出してくれるという感じですよね。いろんなストーリーがあるので、キャストたちのいろんなお芝居を観られる楽しみもあるだろうなと思います。

――そのキャストの皆さんもバラエティ豊かですよね。(キャストはこちら

鞘師 私はキャストの皆さんのお名前を拝見してから、考えないようにしています。プレッシャーになるので(笑)。稽古では前のめりに勉強させてもらいたいという気持ちもありつつ、「『LILIUM』に出させてもらった」という気持ちもどっしり持って、やりたいです。

末満 ミュージカルにしても、僕が関わっている2.5次元作品にしても、TRUMPシリーズにしても、「なんかこの顔ぶれよく見るよね」とか「この人はいつもいるよね」みたいなことって見かけると思うんですけど、今回は、そういうことがない、あまり見たことのないようなキャストの並びにしたいなと考えました。ミュージカル俳優もいれば大ベテラン俳優もいて、声優もいて、芸人もいて、モデルもいて......とバラバラになりました。今回、他の作家さんに脚本をお願いしたのもそうですが、TRUMPシリーズを10年やってきて、物語を完結させるまでには多分あと最低10年くらいかかりそうな見通しなので、今までやってきたことをなぞるだけでは、これからの10年を自分の中で楽しめないなと思って。ここまでに固まってきたものを未来でまた強く固めるために、一旦ほぐしたい。今回はそれができる面白い顔ぶれが集まったから、このゴリゴリに固まった世界をかきまわして、また違った見え方を、お客さんにもそうだし、僕自身にも見せてくれるんじゃないかなという期待感があります。

――その中心に立つ鞘師さんは。

鞘師 私は変わらないほうがいいんですかね。

末満 うん。真ん中、中心軸だからね。自然と変わっている部分もあるだろうから、そこは大切にして、無理に変わろうとはしなくていい。

――音楽はどのようなイメージですか?

末満 どちらかというと、落ち着いた大人な雰囲気の楽曲世界になるんじゃないかな?と思っています。極力、生演奏にしたいんですよ。打ち込みも流すとは思いますが。ただ、そういうクラシカルな中でも、ロックのイメージがある松岡充さんに合う曲も、アイクさんが歌うラップの曲もある予定です。作曲の和田さんに「クラシカルな中でそういうことってできるの?」って聞いたら、「できます!」と言っていたので(笑)。

――ちなみに鞘師さん、末満さんってどんな印象ですか?

鞘師 なんか......親戚のおじさんみたいな(笑)。

末満 (笑)

鞘師 撮影で5年ぶりにお会いできたときに、「やっと会えたー!」みたいな気持ちになりました。実は休業していた間も、ファンの方からメッセージをたくさんいただいていて、その中に「もう一回TRUMPシリーズに出てほしい」というものが多かったんです。だからずっと頭の片隅には常に末満さんとTRUMPシリーズのことがあり、やっと会えた気持ちになりました。

末満 『ステーシーズ』で初めて会った頃、鞘師は1314歳とかだったよね?

鞘師 そうです!

――当時はどんな印象でしたか?

末満 僕はアイドルとお仕事するのは『ステーシーズ』が初めてだったんですけど、やっぱり皆さん、何万人、何十万人に見てもらう世界で生きてる人たちなので、自己表現やキャラが飛び抜けている印象でした。でもその中で鞘師はなんか......嵐の中でそこだけ風が吹いてない、みたいな。落ち着いた子でした。

鞘師 本当ですか!

末満 さっきも"中心軸"みたいな話をしたけど、『LILIUM』のときも、鞘師が中心にいると組み立てやすかった。周りのキャラを濃くしても、芯(鞘師)がしっかりしてるから、作品が崩れないなっていうのがあって。でも当時、鞘師は「私、大丈夫ですか?」みたいなことを言ってたよね。

鞘師 え、覚えてないです(笑)。

末満 だから「そのままでいいから」みたいな話をした。鞘師がいると軸が通るというか。その軸があるからこそ、『LILIUM』の凛とした情緒のある世界観ができあがった。だから逆にサブにて暴れる鞘師もいつか見てみたいとも思ってるんだけど。今回は怪物みたいな表現者がゴロゴロしているので(笑)、鞘師を真ん中に置けば一本筋が通るなという安心感があります。

鞘師 今のお話を聞いて、余計なことを考えずにがんばろうと思いました。

――本番を無事、迎えられることを祈っています。

末満 感染者を出さないように気を付けながら。ただ、どれだけ予防しても、かかるときはかかっちゃうので。最大限予防しつつ、運に委ねつつ。

鞘師 こういう時だからこそ楽しみにしてくださっている方もたくさんいらっしゃると思うので。無事に開幕に辿り着けたらいいなという気持ちでいっぱいです!

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920日(日)から104日(日)まで東京・サンシャイン劇場、1014日(水)から20日(火)まで大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA TTホールにて上演。

ライブ配信は922日(火・祝)、26日(土)、27日(日)、103日(土)、4日(日)の10公演。

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チ
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8/9(日)~11(火)にて配信の~韓流ぴあPresents Kミュージカルシネマ~ 「モーツァルト!」

韓国版 「モーツァルト!」プロデューサー キム・ジウォン(EMK)さんの特別インタビューを掲載いたします!

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1.「モツァルト!」10周年公演おめでとうございます。今年の公演は、過去のものと比べても特別ではないかと思いますが、制作過程で最もを配った部分がありましたら教えてください。そして10周年公演の観覧ポイントもえていただけますでしょうか。

EMKの最初の作品でもあるミュージカル「モーツァルト!」が韓国で10周年を迎えました。このように、10年間愛されることができた理由は、なによりも「モーツァルト!」という言葉が持っている力だと思います。唯一舞台の上でのみ新たに感じることができる、天才音楽家の人生と成長過程、苦痛と喜びを作品を通じて経験して頂きたいと思います。今回の10周年公演はまさに「モーツァルト!」とEMKが積み上げてきた10年のノウハウの集大成だと思います。 5回の韓国公演を経て最も良かった構成を、完全に新しくなった舞台美術の中に溶け込ませてお見せしたと思いました。何よりも、新型コロナウイルスにより全世界的に危機を経験している時期に、「モーツァルト!」が与える慰めと希望のメッセージに耳を傾け、観覧して頂きたいと思います。

2. 10年前に初めて公演した時、このように10年間公演することを期待されていたでしょうか?

一回の失敗を経験して、すべてを注いで準備した作品だっただけに、大きな期待をかけていたのは確かですけれども、このように長い期間大きな愛を受けることは思いもしていなかったです。20年、30年後も愛される作品になることを願います。

3.日本の「モツァルト!」もご覧になったと思いますが、韓国版「モツァルト!」との違いがありましたら教えてください。

もちろん、日本の「モーツァルト!」を拝見いたしました。日本版は作品の中にはっきりと見えるモーツァルトとアマデの関係性、そして各キャラクターたちのドラマが生きる描写に大きな感銘を受けました。キャラクター間の関係性がはっきりしているので、劇の構成がしっかりして、よりドラマチックに感じました。その後、韓国での初演を準備するときに大きな参考になるほど印象深く鑑賞いたしました。

韓国版との違いがあるとしたら音楽的構成ではないでしょうか。日本の「モーツァルト!」がドラマを強調して感情を引っ張って行く作りだとしたら、韓国版は観客が感情表現をすることができるように、曲の中に手拍子するポイントを入れるなど異なった構成になっています。韓国で「モーツァルト!」が公演されている劇場の規模が非常に大きく、また韓国の観客は派手な舞台を好むため、日本の舞台とは違った魅力を感じることができると思います。

4.10周年公演のモツァルト役で、パクウンテ、キムジュンス、バクガンヒョンの3人をキャスティングした理由をえてください。

10周年公演であるだけに、「モーツァルト!」と言えば浮び上がる俳優をキャスティングしたいと思いました。

初演当時、パク・ウンテさんはアンサンブルの一人として、ドラマチックな主演デビューを飾り、今では韓国ミュージカル界に欠かせない代表的な俳優になりました。キム・ジュンスさんは、ミュージカルデビュー作として「モーツァルト!」の舞台に立ち、当時3,000席の世宗文化会館を初めて完売させた俳優となりました。この二人の俳優は「モーツァルト!」に格別な愛情を持ち、今回快く舞台に立ってくれました。この場を借りてお礼を伝えたいと思います。そしてバク・ガンヒョンさんは、10年前にパク・ウンテさんとキム・ジュンスさんが「モーツァルト!」で新たなスタートを切ったように、これからの10年を担う新しいモーツァルトとしての期待を抱いてキャスティングしました。

5.  EMKが制作した「モツァルト!」を、今回初めて日本でオンライン配信をすることになりました。今回の配信をするにあたり、特にを配った部分がありましたらえてください。

新型コロナウイルスによりアンタクト(非接触)サービスが台頭し、世界の公演文化にも映像サービス産業が大きく注目を集めています。 EMKも以前から映像サービスを準備していましたが、今回の「モーツァルト!」が初めての有料のオンライン公演になるので、多くの部分で悩んで準備しています。会場の臨場感をより一層生き生きと伝えるために、シーン別の撮影会議を細かく行うなど、万全を期した事前準備を進めています。今回をきっかけに映像サービスがさらに活性化され、発展をし、より多様な作品を日本の皆さんに紹介することができるよう、多くの応援をお願いします。

6. 海外の作品を選定するとき、基準となるものがあればえてください。

EMKが追求するスタイルの作品なのか、韓国の観客たちの情緒に合った作品かを最初に考えて作品を選びます。 10年前の「モーツァルト!」をEMKの最初の作品として選んだ時、原作元であるVBWはもっと有名な「エリザベート」をすすめました。しかしオーストリアの皇后は、当時韓国人にはあまり知られていない人物でした。しかし、モーツァルトは韓国人なら誰でも知っている人物だと思いましたし、その予想は的中しました。このように、当時の社会的雰囲気や国民が好む人物も一緒に考えながら作品を選定します。

7. EMKの作品の中でキム代表が最も愛着を持っている作品をえてください。そして最も大だった作品をえていただけますでしょうか

最も愛着を持っている作品は、断然「モーツァルト!」です。今一番好きな公演を挙げる時は「モーツァルト!」を最初に挙げます。一番大変だった作品は、EMKの最初の創作作品である「マタハリ」を挙げたいです。初の創作作品だっただけに試行錯誤も多かったですし、EMKの創作作品への観客の期待に応えたいと思い、最後まで悩んで相談して作り上げた作品です。

8. EMKの今後の計と目標をえてください。また、韓ミュジカルのグロバル展開のためにどのようなことを考えていらっしゃいますでしょうか?

新型コロナウイルスにより映像化が必須とされている今、さまざまなプラットフォームを通じて韓国ミュージカルを世界中に知らせて、大きな相乗効果を出すことができるよう多角的な努力しています。映像化だけでなく、海外進出も加速すれば、日本でもすぐにEMKのさまざまな作品を見ることができると思います。

9.「モツァルト!」10周年公演をしみにしている日本のミュージカルファンに一言お願いします

「モーツァルト!」を、そして韓国ミュージカルを愛してくださって誠にありがとうございます。新型コロナウイルスにより、劇場で見ていただくことができませんが、このように映像で披露することになりうれしく思います。誰もが難しい状況である今この時期、「モーツァルト!」の歌を通じて皆さんを慰めることができたら幸いです。

韓国公演を日本語字幕付きで自宅で体験できるチャンス!集大成を飾るべくキム・ジュンス、パク・ガンヒョン、パク・ウンテの豪華キャスト陣が繰り広げる感動の物語を是非お見逃しなく!

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