"ニューノーマル"を具現化する観劇スタイルの確立を目指し、劇場公演とVR配信の2形態で行われる「STAGE GATE VRシアター」シリーズ。現在上演中の第1弾『Defiled-ディファイルド-』において、前山剛久さん・中村まことさんの回をVR視聴してみました!
立てこもり犯とベテラン刑事の緊迫感あるやり取りが、リーディング形式で繰り広げられる本作。2017年版を手がけた鈴木勝秀さんが引き続き、演出を担当します。出演者は他に猪塚健太さん、伊礼彼方さん、上口耕平さん、加藤和樹さん、岸祐二さん、小西遼生さん、章平さん、鈴木壮麻さん、成河さん、千葉哲也さん、羽場裕一さん、東啓介さん、松岡充さん、三浦宏規さん、水田航生さん、宮崎秋人さん、矢田悠祐さんがキャスティング。2人1組が回替わりで出演するため、組み合わせのバリエーションが豊富に楽しめるのも企画の特徴といえるでしょう。
以前、会場となる東京・DDD AOYAMA CROSS THEATERでの観劇レポート を届けたげきぴあ編集部。久しぶりの劇場で迫力の朗読劇を堪能した一方で、着席した最後列からキャストの表情や細やかな動きを肉眼でとらえることはできませんでした。しかし、上手・下手と客席正面に3台設置されていた球体カメラのVR映像であれば、キャストに肉迫できるのでは......?劇場でのリアルな演劇体験をスマートフォンでも味わえることを期待し、視聴チケットを手配します。
本作のVR画像は、動画配信サービスのプラットフォーム「Blinky」にて届けられます。まずはVR配信アプリ「Blinky」ダウンロードし、お手持ちのスマートフォンが対応しているか確認してください。
動作環境に問題がなければ、次に『Defiled-ディファイルド-』公式サイトのVR配信日程表から、応援したいキャストや目当てのペアを探しましょう!
VR配信全39公演のうち、今回は舞台『刀剣乱舞』シリーズなどで幅広く活躍する前山さんと、猫のホテル創設メンバーで声の仕事にも定評がある中村さんの回をチョイスしました。各回ともにアーカイブや巻き戻し再生機能はなく、毎回19時からの配信"一発勝負"はまるで劇場公演のよう!前後の予定と突き合わせて、時間に余裕のある日程を選ぶとよいかもしれません。
配信日程表の下部にある「チケットぴあ ▶ お申し込みはこちら」ボタンから、視聴チケットの購入手続きページに進みます。購入方法はいつも通りですが、ぴあCloakにおけるチケットの引き取り手段は「Quick Ticket by MOALA」一択。引き取るとスマートフォン上に表示されるVR視聴券に"シリアルコード"が発行されるので、テキストコピーするなどして控えておきましょう。コードはのちほど、シリアルコード入力サイトにて使用いたします。
なお「STAGE GATE VRシアター」シリーズでは、より臨場感を味わえるようスマホ装着型の"VRグラス"が数量限定で販売されています。VR映像はヘッドマウントディスプレイや専用ゴーグル、グラスがない場合でも"2Dモード"で視聴できますが、今後も続くシリーズを楽しむためにも、これを機に揃えてみてはいかがでしょうか?
② シリアルコードを動画配信サービス「Blinky」アプリに入力
配信時間より前に余裕をもって「Blinky」にて自分のアカウントをつくってください。設定方法はこちらに詳しいので参照しましょう。
アカウントを作成し終えたら、Blinkyのサイトにアクセスし、ログインした後、シリアルコードを入力してください。シリアルコードの登録完了後、アプリを起動すると、アプリ上の「ライブラリ」に『Defiled-ディファイルド-』が登録されました!
次はVR映像の動作確認をして、スムーズに当日の19時を迎えられるようにしましょう!
(※検証に使用した「緊急事態宣言解除ビフォーアフター 渋谷」映像は、【アーカイブ】コンテンツであり、【ライブ配信】コンテンツである『Defiled-ディファイルド-』とは、再生可能な端末、通信環境が異なります。『Defiled-ディファイルド-』をご視聴の際は、【ライブ配信】対応機種確認コンテンツを必ずご確認ください。)
ステージがどのように映るのか、本番中に"2D"や"VR"モードの切り替えはどうやって行うのか──。少しでも万全な態勢で本番を迎えられるように、Blinky内の映像を活用して動作確認を行いました。使ったのは、話題のニュース"現場"をVRカメラで撮影した「blinkynewsジャパン」チャンネル。新型コロナウイルス感染症の流行下における渋谷のスクランブル交差点を定点観測した「緊急事態宣言解除ビフォーアフター 渋谷」の映像で検証します。
はじめにiPhone XSの場合、本体の左側面上部にあるスイッチを切って"消音モード"をオフにしましょう。これがオンのままだと、イヤホンを繋いでも音声が聞こえないので注意してください。
視聴モードは3種類あって、それぞれ以下のように見えます。
1.2Dモード......画面スワイプで視野を広げられる
画面をスワイプすることで、上下左右に360°視野を広げることができます。この映像では寄り引きできませんが、本番の『Defiled-ディファイルド-』には手動ボタンによるズームアップ・ズームアウト機能があります。詳しくは後述する視聴レポートをご覧ください。
2.VRモード(一眼)...画面スワイプまたはスマホの向きを変えると視野を広げられる
2Dモードに同じく、画面をスワイプすることで上下左右に360°視野を広げることができます。
また、首や体の向きを変えたりスマホ本体を動かしたりするだけで見たい方向の映像が映し出されます。
この映像では寄り引きできませんが、本番の『Defiled-ディファイルド-』ではズームアップ・ズームアウト機能があります。
「VRグラスでの鑑賞は酔ってしまいそう」と心配する方は、この一眼モードでご覧いただくとよいかもしれません。
3.VRモード(二眼)......スマホにVRグラスを装着
スマホにVRグラスを装着してレンズを覗き込むと、渋谷のスクランブル交差点に立っているかのような臨場感が味わえました。画面をスワイプする2Dモードとは異なり、首や体の向きを変えたりスマホ本体を動かしたりするだけで見たい方向の映像が映し出されます。
周囲が覆われ映像だけに集中できる環境が広がるため、没入感はひとしお。それだけに、SNSをはじめとするポップアップ通知が目立ってしまいました。「本番では各種通知をオフにすべし」と学べただけでも、動作確認した甲斐があったというものです。
いざ本番へ!『Defiled-ディファイルド-』VR視聴レポート
配役ペアの"妙"や意外性も『Defiled-ディファイルド-』を楽しむ要素のひとつ。体験日は、若き元図書館員の犯人ハリー・メンデルソンを前山さん、初老の刑事ブライアン・ディッキーを中村さんが演じます。前山さんは1991年生まれ、中村さんは1963年生まれということもあって、今回のペアは役の年齢に則した比較的スタンダードな組み合わせといえるかもしれません。
動作確認を経て、より強い没入感を味わうべく開演前に以下の準備を行いました。
■スマホの各種ポップアップ通知を「オフ」に
■部屋を薄暗くする
■音質のよいBluetoothイヤホンを装着する
※Bluetoothイヤホンは遅延が目立つものもあるそうなので予備があるといいかもしれません。
■家族に向けて「今夜、VR演劇体験する」と告知しておく
→「集中したいので緊急時以外は入室しないで」と時間指定するなど徹底(笑)
開演15分前から入室できたので改めて各モードの動作確認を行ったところ
1.客席最前列中央
2.ブライアン側
3.ハリー側
の3視点からひとつを選べることが判明。それぞれ画質(標準or高画質)も設定できるサービス精神に感心しながら、同時に「確か劇場公演では暗転板付き、刑事ブライアンのセリフから始まっていたよな......?」と記憶を手繰り寄せます。結果、ブライアン役のキャストが着席する「ブライアン側(高画質)」のカメラ視点を選び、開演時刻を待つことに──。
もちろん、ハリー役キャストの反応や第一声が気になる方は最初から「ハリー側(高画質)」のカメラ視点を選んでも大丈夫です!
5分ほどの暗転オープニングが終わってステージが照らし出されると、刑事ブライアンに扮する中村さんの姿が浮かび上がります。ここで手動ボタンによるズームアップ・ズームアウト機能があることに気づき、激高する犯人ハリーとの交渉にやって来たブライアンの表情を捕らえようと中村さんへ"寄って"みることに。最大限近づいて、胸元から上の様子が映し出されました。
一方、目録カードに代わるコンピューター検索システムの導入に反対し、建物爆破を予告するハリー。「コーヒーでも飲もう」となだめるブライアンの提案に苛立つ様子を、前山さんは髪をむしる・前傾姿勢になるなど全身で表現します。そこでカメラ視点を「ハリー側(高画質)」に切り替え、ハリーの大きな動きを確認しようと"引いて"眺めることに。すると、貧乏ゆすりで揺れる足元までとらえることができました。イヤホンからは水を飲む時に喉が鳴るリアルな音も聞こえるほど。スワイプして画角を調整すれば、中村さんのリーディング風景も同じ画面に収められます。
その後は「客席最前列中央(高画質)」の固定カメラ視点で最前列の観客気分を。VRモードでは一眼・二眼のいずれも没入しながら鑑賞できましたが、二眼ではズームアップ・ズームアウト機能はないため、役者の表情や動きに注目したいシーンでは、再び2Dモードの「ブライアン側」「ハリー側」視点に切り替えて楽しみました。
劇中で繰り広げられるのは緊迫した心理戦ですが、モードやカメラ視点の変更に気を取られていると、作品の魅力を十分に味わえない可能性も。交渉を通じてハリーとブライアンに芽生える関係性や、各キャストがどのように役を立ち上げるか注目するためにも、VR配信は複数回の鑑賞をオススメします。
上演時間は約70分(休憩なし)。VR配信は8月14日(金)まで。キャストの組み合わせと出演スケジュールは、チケットぴあの販売ページでも確認できますよ!
取材・文:岡山朋代