2019年8月26日アーカイブ

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喜劇作家・演出家の鈴木聡とジャズピアニスト・作曲家の佐山雅弘、そして主演は稲垣吾郎という強力タッグで大きな話題を呼んだ大人のためのミュージカル、〈恋と音楽〉シリーズ。

昨年、シリーズの決定版とも呼ぶべき『君の輝く夜に~FREE TIME,SHOW TIME~』が京都劇場で上演されましたが、今秋、いよいよ東京・日本青年館ホールで開催されます。

ショウシーンを大幅にリニューアルして"東京版"ともいうべき〈ショウタイム〉を盛り込んだ今作。

 

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ショウ稽古の様子と、キャストのコメントをお伝えした稽古場レポート【前編】に続いて、【後編】では、芝居の稽古の様子に加え、演出の鈴木さんと、音楽担当の佐山雅弘さんの息子で、今回のバンドマスター(以下バンマス)とピアノを担当する佐山こうたさんの対談をお届けします!

 

***

 


物語は夏の終わり、海の見えるダイナーに、ジョージ(稲垣)がやってくるところから始まります。ドアを開けて少し謎めいた男ジョージが入ってくると、ダイナーの女主人ライザ(北村岳子)がたちまち色めきだす様子が、なんともおかしい!

 

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......ちなみに本作の舞台は日本なので、登場人物も当然日本人の名前なのですが、ライザ・ミネリファンの自称"ライザ"が、ジョージや、のちほど登場するビビアン(安寿ミラ)、ニーナ(中島亜梨沙)にもそう呼び名を付けたので、物語はこの名前で進みます。

 
さて、ジョージは誰かを待っている様子。外を眺めながら物想いにふける稲垣さんの横顔に、さまざまな想像がかき立てられます。

そんな観る側の気持ちを代弁するかのように、「女性を待っているのね」「もしかして、今日会う約束をした昔の彼女?」などとストレートに聞くライザには、共感しかありません。

 
"圧の強い(笑)"ライザをさりげなくいなしながらも、尋ねられたら自然体で答える姿は、稽古前にスタッフたちと和やかに話していた稲垣さんそのまま。

一方、ズケズケとした物言いで、隙あらばジョージに迫ろうとするライザを嫌味なく演じられる北村さんは、普段から稽古場のムードメーカーだからこそなせる技。鈴木さんの"あて書き"の魅力を改めて感じました。

  

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8月3日にプレビュー公演、8月9~12日に京都公演を終え、現在は東京公演中の、ヨーロッパ企画第39回公演「ギョエー! 旧校舎の77不思議」。

新作公演となる本作は、ヨーロッパ企画メンバーに加え、客演に若手の祷キララ、亀山一徳(ロロ)、金丸慎太郎、日下七海(安住の地)、そしてベテランの納谷真大(ELEVEN NINES)を招いた"オカルト青春コメディ"。

どのような公演になっているのか、共にヨーロッパ企画で、作・演出の上田誠さん、出演の本多力さんに話を聞いてきました!

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――栗東プレビュー公演と京都公演を終え、現在は東京公演中という時ですが、幕が開いてどのように感じていますか?

本多 総量がすごいです。(77不思議ということで)出てくる物の量もそうですし。なので、毎公演、みんないつも以上にくたくたになっています。でも本番中、客席から悲鳴が上がることもありますし、「怖い...」みたいな声も聞こえるんですよ。これは今まで舞台をやっていてあまりなかった体験なので、新鮮で楽しいです。

――そんなに怖いんですか!?

上田 「全く怖くない」と言う人もいるので、そう言っていいのかわからないですが、でも怖い瞬間はあると思いますよ。

本多 基本は面白いです。

上田 そう。自分らで言うのもなんですが、面白い9:怖い1、くらいですね。

――今回は、ヨーロッパ企画の皆さんが先生役で、客演の若い4人(祷キララ、金丸慎太郎、亀島一徳、日下七海)が生徒役で、納谷真大さんが教頭先生だとうかがいました。先生が多いですね。

上田 (笑)。よく気付かれましたね。担任、副担任、生徒指導...5人くらいで4人の生徒を見るという。

本多 「副担任」って久しぶりに聞いたもんな。

――(笑)。今回、どういうものをつくろうと思って「ギョエー!旧校舎の77不思議」をつくられたのですか?

上田 去年は20周年ということで、群像会話劇で、SFコメディで、仕掛け的なものもあって...という、自分たちがこれまでやってきたことの集大成をやれたので(「サマータイムマシン・ブルース」「サマータイムマシン・ワンスモア」の2作品を同時上演)、21年目は新しいところに無理矢理にでも踏み出さないとと思っていました。それで、学校を舞台にした77不思議の話は前々からやりたいことだったので、ちょっと自信はなかったけどやってみた、という感じです。

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――「新しいところ」というのは、どんなイメージですか?

上田 コメディにはなるのですが、今までの僕らにはない調味料を使うというか。今回で言うところの怖さだったり、ちょっとネガティブな感情だったり......

――これまであまりやってきてないもの、ということですね。

上田 そうです。ヨーロッパ企画といえば割と「安心して笑える」というイメージだったけど、もう少し味の幅を広げたい気持ちがあって。でも難しいですけどね。お客さんにたくさん来てほしい色気もありますし。だからこの公演はけっこうドキドキしたんですよ。ホラーでお客さんが来なかったらどうしようかなとか。でも新しいところへ、と思って。

――実際のお客さんの反応はどうですか?

上田 好意的に観てくださっていると思います。今回は、今話したことに加えて、これまで以上にアミューズメント的なものも意識したんですよ。例えば"お化け屋敷"って負の感情とか怖いものを扱っているけれども、全体としてはちゃんとアトラクションの面白さがあるじゃないですか。

――そうですね。

上田 この作品を観に来るときもそういう気持ちで来てもらえたらいいなと思って。演劇ってどうしても芸術作品を観に行くような心持ちになるんですけど、僕らはせっかくコメディでエンターテインメントをやっているので、身構えそのものをそういうふうにできたらいいなと思う。アミューズメントパークに行くような気持ちで劇場に来てもらうことがなにかできないかな、というような。そこはうまく受け入れてもらえるような感じがします。

――演じている本多さんはどのように感じていますか?

本多 ヨーロッパ企画ではあまりやったことのないテイストの芝居をしていると思います。熱さとか、パッションをぶつけ合うとか、エモーショナルなシーンがあるんですよ。

上田 今回、学園モノの要素があるので、先生と生徒がぶつかりあったり、先生同士でぶつかりあったりするので。

本多 今まであまり出したことのない感情を出しています。この作品は「オカルト青春コメディ」と言っているのですが、最初に言った物量の話じゃないですが、これも量が多い。オカルトの怖さもあるし、青春の生徒同士の恋愛、先生と生徒の対立、先生同士の対立もあるし。

上田 妊娠問題もあるし、いじめ問題もあるし。

――そんなに!

本多 もりだくさんですよ。

――全部解決できるのでしょうか?

上田 そこが"旧校舎"ならではのものになります。

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本多 77不思議をつくることに苦労した?

上田 そこはそんなに苦労しなかった。

本多 そうなんやね。

上田 それよりも今回は、20周年が終わって、みんなが一息つく感じになったら嫌だなと思っていて。それはキャストもスタッフも、お客さんもそうで。なので、「手を緩めずに77不思議をやりますよ!」っていうのが一番大きかったです。21年目を迎えた劇団を、今までの20年はなかったことのようにして「この劇からまた始めよう」というムードに持っていくことをすごく考えました。だから今まで以上に役者とも話したし。多くなかった?

本多 そうだった。

上田 スタッフさんとも密に話しました。今までは脚本・演出に追われて、その辺のことってなんとなく「めいめい」って感じだったんですけど。今回は77不思議をやらなきゃいけないからスタッフさんに負担をかけますし、「このセクションはうまくいってるかな」とか「役者セクションはどうかな」とか、そういうことに取り組みました。

――なにを思って、そこに取り組まれたのですか?

上田 今回の「先生と生徒」というのもそうなのですが、僕らってもともと同世代で始めた劇団で。今まで青年コメディをやり、中年コメディをやり、いつか老年コメディまでいけたらいいなというような気持ちでいたんです。でも、去年の「サマータイムマシン・ワンスモア」では、うちの事務所の藤谷理子さんという若い女優さんが出て、彼女にバトンを託すような場面をつくったりもして。

――今回の客演も、若い俳優さんが4人いらっしゃいますよね。

上田 そうですね。昔は同じ世代だけでつくっていたものが、今回は役者も19歳から50歳までいて、スタッフも映像スタッフもいれば音楽の青木慶則さんもいて。そういう人たちがヨーロッパ企画に集まるっていう、"層"が分厚くなっている状況になっている。これは初年度にはなかった"今"の面白いカタチだなと思うので。それを有機的に機能させたいというのはあります。だから今回劇層が大きいというか、「77不思議」と言ってかなり大風呂敷を広げているのですが、その風呂敷もちゃんと畳めた感じはしています。

――これからどんどんそうしていきたいっていうことでしょうか。

上田 そうですね。特に本公演を分厚くしていけたらいいなというのは最近思っていることです。

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――この作品は8月3日のプレビュー公演から始まって、10月5日の札幌公演まで続きますが、開幕から半月以上経って何か変化は感じていますか?

本多 これはこの公演に限らないことですが、台本をもらったときに「面白いな」と思ったことって、1か月稽古しているうちに忘れていくんですよ。でも幕が開くと、お客様がまた気付かせてくれるんです。

――ああ、そういうところから変化が生まれそうですね。

本多 そうですね。お客さんの反応でこちらも変わっていったりします。あとは、台詞を間違ったときに取り返そうとする人がいたり、体調がよくて声が大きい人がいたり、そういうさざ波でまた変わっていったりもしますし。その変化を日々楽しんでいます......あれ、なんかあまり内容なかったですね?

上田 これだけ喋って。

――(笑)。いや、ありましたよ。

上田 でもツアーも長いので、なるべくいろんな味が楽しめるように、演者も飽きないように、つくろうとはしています。だから今のところまだいろいろ発見がね、

本多 うん、発見はありますね。あともうひとつ、客演で来てくれている祷きららさんが今19歳で、舞台が2回目なんですよ。その成長ぶりはすごいです。それを本当に先生のような気持ちで見てます。

上田 あ、それ感じてた? 成長著しいね。

本多 うん。こっちは一切成長してないのに(笑)。

上田 こっちは日々の台詞を言えなくなるくらいなのに(笑)。

本多 本当にすごいですよ。まだ2回目ですから技術という意味ではつたない部分もあるかと思いますが、それを凌駕するなにかがある。ハッとさせられて初心にかえることもあります。それはすごく刺激になりますね。

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ヨーロッパ企画第39回公演「ギョエー! 旧校舎の77不思議」は8月25日(日)まで東京・本多劇場にて上演後、広島、福岡、名古屋、大阪、高知、愛媛、横浜、北海道を巡演。横浜公演は9月28日(土)に神奈川・関内ホールにて。

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E39GyoeeRitto_0804.jpgE39GyoeeRitto_1051.jpg撮影:清水俊洋

取材・文:中川實穗

取材撮影:イシイノブミ

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