2019年6月28日アーカイブ

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ケラリーノ・サンドロヴィッチ(以下KERA)さんがこれまでに書き下ろした膨大な脚本から、珠玉の名作をピックアップ。そこに新たな演出家、出演者をかけ合わせ、再構築するというシリーズ「KERA CROSS」がついに始動します。その第1弾に選ばれたのは、第43回岸田國士戯曲賞を受賞した傑作『フローズン・ビーチ』。1998年、2002年とナイロン100℃の本公演として上演された、まさにKERAさんの代表作です。

今回演出を任されたのは、KERAさんからの信頼も厚い鈴木裕美さん。ストレートプレイからミュージカルまで、幅広く手がける名演出家です。

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4人のキャストには、非常にバラエティ豊かな面々がそろいました。まずはKERAさん作品には2度出演経験のある実力派の鈴木杏さん。

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キャリアウーマンネタで大ブレイクしたブルゾンちえみさん。

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元宝塚歌劇団花組トップ娘役の花乃まりあさん。

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ミュージカルを中心に圧倒的な存在感を見せるシルビア・グラブさん。

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その仕上がりがまったく予想出来ないのと同時に、妙にワクワクするこの組み合わせからも、KERA CROSSならではのチャレンジングな姿勢が伺えます。

その化学変化がいかなるものなのか。稽古場にお邪魔させていただき、気になる創作過程の様子を3回にわたってレポートします!

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まず物語の舞台となるのは、カリブ海と大西洋の間に浮かぶリゾートアイランドにある別荘。ここは双子の姉妹・愛と萌の父親・梅蔵の持ち物であり、梅蔵には盲目の咲恵という後妻がいます。その別荘を訪れたのが、愛の旧友の千津と、その幼なじみの市子。彼女たちを巡る、16年に渡る愛憎のストーリーです。

本作は第1場が1987年、第2場が1995年、第3場が2003年と、8年ごとの物語が展開されていきます。この日は第2場から稽古スタート。花乃さん演じる愛とシルビアさん演じる咲恵が、楽しげに会話を弾ませています。

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咲恵は盲目でありながらとても大らかで前向きな女性という設定。明るい性格のシルビアさんにはぴったりの役どころです。またKERAさん作品への参加はこれが初めてのシルビアさんですが、三谷幸喜さん作品の常連でもあり、やはりそのコメディセンスは抜群。KERAさんと三谷さんでは笑いの質は大きく異なりますが、セリフの掴み方や間合いが絶妙で、KERAさんの戯曲にもしっくりなじんでいます。

そこに現れたのは、愛と咲恵とは8年ぶりの再会となる、杏さん演じる千津。

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愛と咲恵の関係性同様、話し方や雰囲気が第1場の千津とは大きく異なります。もちろんある理由があってのことなのですが、ヒントは1995年という時代。このあたりのチョイスが、KERAさんならではの強烈な皮肉とユニークさと言えます。

杏さんの芝居がうまいのは今さら言うまでもありませんが、これまでにナイロン100℃『社長吸血記』(2014)、KERA・MAP『修道女たち』(2018)とKERAさんの演出を2度経験。そのため脚本の読み込みが深く、的確なので、シーンがどんどん面白くなっていきます。

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ちなみにこちらは愛と咲恵を出し抜いて得意満面の千津。この何秒か前とのギャップがとてつもなくおかしいのです。

IMG_5155.jpgひとまず第1弾はここまで。第2弾では初舞台のブルゾンさんについて。また第3弾では急遽出演が決定した花乃さんについて細かくレポートします!

取材・文:野上瑠美子

撮影:石阪大輔

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2017年の初演が幅広い層に支持され、演出の小山ゆうな第25回読売演劇大賞の優秀演出家賞を受賞するなど高い評価を受けた『チック』が東京・シアタートラムで再演される。

 

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6月中旬、ちょうど立ち稽古が始まったばかりの、柄本時生篠山輝信土井ケイト那須佐代子大鷹明良の全キャストが揃った稽古場をのぞかせてもらい、小山に話を聞いた。

原作はドイツ人作家ヴォルフガング・ヘルンドルフのベストセラー児童小説。
14歳のサエない少年・マイクとロシア移民の転校生・チックが無断で借りた車で旅をし、様々な人たちと出会い、成長していくさまを描く。
本国ドイツをはじめ、世界中で出版された人気作となり、続く舞台化は各地で大成功を収めた。2016年には映画化もされ、翌年日本でも公開された(邦題:『50年後のボクたちは』)。

  

DSC_6187(調整済).jpg篠山輝信、柄本時生

 

この舞台の特徴は大きく2つある。

ひとつは、やや傾いた四角い、動く"盆"の上とその周囲で俳優たちが芝居を展開し、その盆を俳優たちが自らのシーンに合わせて回すという点。

そしてもうひとつは、篠山が演じるマイク柄本が演じるチック以外の登場人物――マイクの親、マイクが想いを寄せるクラスメイト、旅の途中で出会う一家やゴミ山で暮らす少女・イザ、チックとマイクの車に突然銃撃をしかけるフリッケじいさんらを全員、土井大鷹那須の3人が演じ分けるという点である。

この日、最初に稽古が行われたのは、旅の途中でマイクとチックが出会う優しくエコな一家とのシーン

 

DSC_6100(調整済).jpg柄本時生

 

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小さな少年・フリーデマン大鷹が、少女・エリザベート土井2人の母那須が演じており、お腹を空かしたマイクとチックに2人が食べたこともないようなおいしいランチとデザートをご馳走してくれる。

 

DSC_6129(調整済).jpg大鷹明良

 

DSC_6119(調整済).jpg篠山輝信

 

稽古は基本的に、初演時の動きや約束事を確認しながら進んでいくが、決して初演の動きにとらわれることなく、常に俳優たちからセリフの言い回しや動きについて提案が出され、小山を交えてディスカッションしながら作られていく。
特に那須は、今回の再演からの出演となるが、前回の経験がないがゆえに、自由に新たな発想で作品に関わっているのが見て取れ、"母"としてこのシーンを中心になって回していく。

 

DSC_6125(調整済).jpg那須佐代子

 

もちろん、続投のキャスト陣も負けてはいない。
は同じシーンでも、常にやることを変え、あちこちを歩いたり、座ったりと変幻自在だ。盆の上やその周辺を動き回り、キャストたちから驚かれつつ、稽古場に笑い声が響く。

篠山が演じるマイクは、彼が見たこと、感じたことを常に観客に語りかける狂言回しの役回りを担っており、セリフ量が膨大だ。
再演とはいえ既にこの凄まじい量のセリフがすっかり入っているよう。自由気ままな"相棒" 柄本の動きをガッチリと受け止める。

 

DSC_6150(調整済).jpg篠山輝信

 

DSC_6195(調整済).jpg柄本時生

 

大鷹は、息子や家族に無関心で怒りっぽい父として物語の最初に登場し、決して好印象と言えないイメージで振る舞うのだが、このシーンでは三輪車に乗った小さな少年・フリーデマンを演じている。
子どもらしい素直なセリフが、逆に皮肉っぽさを伴って響き、観る者の笑いを誘う。

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