宇崎竜童、三浦祐太朗、若旦那が語る。「フラメンコの踊りと合わせると役が 降りてくる!」

近松門左衛門の代表作「曽根崎心中」が、フラメンコのリズムに乗せて歌い、踊る舞踊劇に。2001年の初演以来、繰り返し上演されてきた本作は、今回 『Ay曽根崎心中』とタイトルを変え、また新曲を加え、楽器編成を変えるなど、よりパワーアップして上演されます。

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稽古場では、フラメンコのダンサーさんたちが特訓中。足と手が刻むリズムと躍動する肉体がとてつもない迫力、フラメンコの情熱そして情念が伝わってきます。

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徳兵衛(佐藤浩希)と九平次(矢野吉峰)の「対決」では、にらみ合い、取っ組み合い、男同士の本気が激突し火花がバチバチ!手に汗握るとは、まさにこのことですね。

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そして「道行」ではお初(鍵田真由美)と徳兵衛がしっとり、ずっしり、愛の炎を燃やします。鍵田さんのお初が艶やかで、見ていてうっとり。心中という悲劇ながらどこか前向きな、ポジティブなエネルギーをもらえた気がします。

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ダンス稽古の後、音楽監督・作曲の宇崎竜童さん、出演者の三浦祐太朗さん、若旦那さんが作品について、語り合いました。

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ーー三浦さんは二度目、若旦那さんは初めての参加ですね。

三浦 はい。でも若旦那さんとは初共演で、新たな舞台に挑戦する気持ちです。九平次にこんなにぴったりな方はいらっしゃらないのでは?

宇崎 それどういう意味?(笑)

三浦 (慌てて)いい意味で、です。

宇崎 初めて会った時、「なぜ、僕が九平次ですか?」と聞かれて。どうやら納得していないらしい(笑)。

若旦那 最初は不安だったんでよ。フラメンコ音楽の12小節、ブレリアのリズムがわからないまま初稽古に入ったのでパニクっちゃって。でもダンサーの矢野さんと三四郎さんと合わせたら、踊りに答えがあることに気づいたんです。今は踊りのリズムに合わせて歌うと、九平次が舞い降りてくる。ダンサーさんと一心同体になった時に九平次が存在するんです。

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三浦 僕もダンサーさんとバチっとシンクロする時があります。徳兵衛が見えて、自分が歌っている感覚ではなくなるんですね。この『AY曽根崎心中』で歌っていると役として生きている感覚が強いです。

宇崎 前回、祐太朗くんが歌う徳兵衛の歌を聞いたら、祐太朗くん自身の曲みたいで、「本当に俺が書いた?」って自分を褒めたくなった。そのくらい、高い表現まで到達していて。多分、九平次もその境地に近いんでしょうね。

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――それぞれの役の人物像を教えてください。

若旦那 今の所、僕が捉えている九平次は、自分の好きな男像。モテない(笑)。

宇崎 九平次は多分、自分がモテないと決めていると思うな。

若旦那 モテないからお金で女を買う。お初も徳兵衛に見せる顔と九平次に見せる顔が違い、九平次が喜ぶことを言ったはず。純情な九平次はその言葉を信じたのでは?

三浦 真面目な徳兵衛はお初に夢中で、周りが全然見えていないし。

宇崎 多分、九平次が徳兵衛を誘って遊郭に連れて行き、お初を紹介したと思う。男になってみようぜ、と。

三浦 ああ!それで徳兵衛はお初にまんまとハマった、と。

若旦那 そうか、九平次はお初に対して自分の女感があったんですね。

宇崎 近松を下敷きにした古い映画『浪花の恋の物語』を見たら、真面目な商人の友達を廓に連れて行き、その友達が廓遊びにハマってしまう話なんですよ。九平次にしたら、それはないだろうってなるよね。その辺りは本作では描かれていないけど、そう読み込むことで歌が変わると思う。

三浦 徳兵衛は九平次に憧れている部分もある。きっと決して恨み一辺倒ではない関係かと。

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ーー宇崎さん、今回はタイトル、バンド編成、キャストも曲も変わり、新たな『曽根崎心中』になりますね。

宇崎 はい。「道行」の途中で、これまで琵琶だったところを津軽三味線で演奏。津軽じょんがら節みたいな激しいリズムが見所です。また一番最後に祐太朗くんが「菩提樹」を歌います。歌詞に「もう一回約束しましょう♪」とあり、山口百恵さんは「さよならの向こう側」で「約束なしのお別れです♪」と歌っていた。あれ?血も歌も繋がっているなぁと驚きました。これまでは、原作通りのエンディングでしたが、今回はもう一工夫加えて、現代の人々に訴えかけるラストになる予定です。

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ーーこの作品を通して何を伝えたいですか。

若旦那 現代でも愛を取り巻く恨みつらみはありますが、光の当て方によってはどちらが正義かわからない。法で裁けない部分が『曽根崎心中』かと。九平次は悪人だけど、見方によっては九平次も正義。やっちまった!と思っている人の救いになれたらと思います。同時に徳兵衛みたいな善人も魅力で、まっすぐな人間への憧れもあります。

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三浦 心中が一番のテーマですね。もちろん心中は社会的に認められていないけど、お初と徳兵衛にとっては正解だし、今世はもう会えなくても来世で会える。それは一概にダメだと言えない気がして。最後には何かしらの光を感じて欲しいです。

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宇崎 最近は若い人たちが恋をしないと聞いているので、恋の成就が来世にまで結びつく...、そのくらい深い純愛をしてもらいたい気持ちがあります。祐太朗くんも二次元の世界で恋しているらしいし(笑)。

若旦那 それ、ずっと恋しているということ?

三浦 はい。嫁が増えます(笑)。

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宇崎 現実で多くの経験をしているお二人が、役として演じ歌う。ぜひ、その熱い叫びを見ていただきたいですし、この作品が二人の人生にどう影響するかを見届けたいです。

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(文・三浦真紀 写真・石阪大輔)

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