5月15日より日生劇場で開幕する、「シラノ・ド・ベルジュラック」。当時本国フランスでは、ジャン・バルジャンやダルダニャンを抜いて人気だったというシラノを演じるのは吉田鋼太郎さん。そしてシラノが思いを寄せるロクサーヌには、鋼太郎さんのラブコールで出演が決まったという黒木瞳さん。シラノに助けられ、ロクサーヌと結ばれるクリスチャンは大野拓朗さん、白洲迅さんがWキャストで演じます。さらにド・ギッシュ伯爵に六角精児さん、その甥のヴァルヴァーニ子爵役に平野良さん。またシラノを崇拝する気のいいカフェの主人・ラグノー役に石川禅さん、シラノと同じガスコン青年隊に所属する親友ル・ブレ役に大石継太さんと豪華なキャストが 揃います。
初日に向けて稽古にも熱が入る中、4月末日に報道陣に稽古場の一部が公開されました。
この日公開されたのは、2幕の2場、ロクサーヌとクリスチャンが結ばれるも、ド・ギッシュ伯爵によって戦地へ送られるシーンから。
六角精児さん演じるド・ギッシュ伯爵は、本人は結婚していながらもロクサーヌを狙い、ことあるごとにシラノ、クリスチャンの恋路を邪魔する役どころ。この場も、そんなド・ギッシュ伯爵によってシラノとクリスチャンが送られた戦地から、話がスタートします。そんなド・ギッシュ伯爵にいつもついてまわる甥、ヴァルヴァーニ伯爵は「少々頭が足りない」と言われている、ちょっとおとぼけなキャラクター。平野良さんがコミカルに演じています。
新婚早々、ド・ギッシュ伯爵によって戦地へ送られ、肉体的にも精神的にもつらい日々を送るクリスチャン。戦地へ赴く前、ロクサーヌは、クリスチャンの無事をシラノに、そして手紙を書くようクリスチャンに頼みます。いずれも自身への依頼となったシラノ、愛しいロクサーヌへのため、毎朝戦地を抜け、手紙を投函します。
そんな中、またしても邪魔をしにきたド・ギッシュ伯爵によって囮にされてしまったシラノ、クリスチャンら属するガスコン部隊。最後の手紙を、と話すクリスチャンに、準備しておいたものを差し出すシラノですが、そこには涙のあとが・・・。
シラノ、クリスチャンがロクサーヌへの思いをめぐる中、戦場に国王陛下の使者と名乗る馬車がやってきます。ガスコン青年隊で迎えると、馬車の中から出てきたのは・・・なんと、ロクサーヌ! クリスチャンから(実際に書いたのはシラノ)の日々の手紙を読んでいたロクサーヌ。その手紙の内容にいてもたってもいられず、ラグノーと一緒に馬車に食糧をのせ、戦場までやってきたのでした。
ロクサーヌ、食糧の到着に喜ぶクリスチャン、そしてガスコン部隊たち。しかしシラノだけは、手紙についてクリスチャンと話したばかりで複雑な心境でロクサーヌを迎えます。
ド・ギッシュ伯爵の策により、ガスコン青年隊が囮となり、まもなく狙われるとわかってなお、むしろわかってこそ戦地に留まろうとするロクサーヌ。そんな愛しの妻との久々の再開を喜ぶクリスチャン。しかし、ロクサーヌから、送られてくる手紙に気持ちを動かされここまで来たと聞き、戦地をかいくぐり、毎日、多いときには日に数通の手紙を出してきたシラノが気にかかります。
クリスチャンが取計らい、ロクサーヌと二人きりになったシラノ。手紙にこめられた本当の愛を信じるというロクサーヌに、シラノは「もしかしたら」と心を動かされますが、そこに慌てた隊士がやってきて・・・と稽古場レポートはここまで。シラノ、ロクサーヌ、クリスチャンら3人の行方はぜひ劇場でご確認ください!
大野拓朗さんは、素直でちょっと抜けたところがとてもかわいらしいクリスチャン! ド・ギッシュ伯爵を出し抜くシーン、またシラノとの口論、感情を爆発させるシーンなど、どれもエネルギッシュに演じています。
そしてもう一人のクリスチャンを演じる白洲迅さん。自身の稽古中はもちろん、同じクリスチャンを演じる大野さんの稽古中も立って全体を見ながら見学をしていた姿は素直で一生懸命なクリスチャンそのものでした。
黒木瞳さん演じるロクサーヌ!愛するクリスチャンのために戦場まで来てしまう、かわいらしさと強さを兼ね備えたなんとも豪傑な才女です。ガスコン部隊への差し入れを持ってくるシーンの気持ちよさ、クリスチャンと二人のときのかわいらしさ、そして最後のシーンまで、おもわず目が離せなくなってしまう魅力を持ったロクサーヌです。
そして吉田鋼太郎さん演じるシラノは、クリスチャンやガスコン青年隊の前では兄貴分としてみんなを率いるリーダー!しかしロクサーヌの前にたつと、しおらしくなったり慌てたりと人間味あふれる姿に。そんなシラノを演じる吉田さん、かっこいいシラノ、ちょっとかっこ悪いシラノも、さまざまな表情で演じていきます。
演出の鈴木裕美さんは、各シーンが終わるごとに丁寧にシーンをチェックしていきます。登場人物の立場を確認しながらのセリフのニュアンスはもちろん、声の大きさ、さらには音楽まで。細かい部分にもこだわりを持って「シラノ」の世界を作り上げていました。
そして音楽を音楽を担当する清塚信也さんも稽古場に。この日の稽古は清塚さんのピアノ、また楽士の朝里奈津美さんの生演奏。清塚さんは、演出・鈴木さんの希望にあわせて「ラッパの音」を演奏してみたりと、音響スタッフとも打ち合わせを重ねながら稽古は進んでいきました。
注目のキャストが勢ぞろいする「シラノ・ド・ベルジュラック」はまもなく開幕!5月15日(火) ~ 5月30日(水)まで、日生劇場にて。その後、6月8日(金) ~ 6月10日(日)まで、兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールにて公演。いずれもチケットは現在発売中です。
撮影:渡部孝弘