染五郎、松也の新作歌舞伎『幻想神空海』初日インタビュー

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4月2日に開幕した東京・歌舞伎座「四月大歌舞伎」夜の部で、新作歌舞伎『幻想神空海 沙門空海唐の国にて鬼と宴す』に出演の市川染五郎さん、尾上松也さんが、初日を終えた同日、衣裳姿で囲み取材に応じました。

本作は、夢枕獏の小説をもとに歌舞伎化した新作で、2013年の『陰陽師』に続いて2作目となります。

若き日の空海が"密教"を学ぶため、遣唐使の留学僧として唐の国に渡りますが、そこで皇帝呪詛事件にかかわることに。ところがこの事件の背景には玄宗皇帝と楊貴妃の悲恋の物語があり――。

空海を染五郎さん、儒学生で空海の盟友・橘逸勢(たちばなのはやなり)を松也さんが演じます。


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――初日を終えての感想はいかがですか?

染五郎 まずは第一歩ということで。ここから「空海」という歌舞伎が誕生して本当に始まったのだと実感しています。

松也 稽古期間は少なかったですけれど、皆で一丸となって初日を終えられたことにホッとしてます。ここからさらに作品をよくしていくために戦う日々が始まったなという感じです。


――稽古は大変でしたか?

染五郎 作品が夢枕さんのファンタジーの世界ですので、場所であったり時間であったり、これは人なのか、そうではないのか?という、いろんな要素が混ざり合っていますから、そうした世界をどうやって舞台で成立させるかというところが非常に難しかったですね。

松也 原作や漫画を読ませていただきまして、非常に面白く愉快でテンポの良いお話なんですが、染五郎のお兄さんがおっしゃったように、ファンタジックなところもありますので、逆に歌舞伎ならではの演出、歌舞伎でやるからこその「空海」というものが出せるんじゃないかと思いながら、ずっと稽古を重ねてきました。今は少しずつその世界に近づいているんじゃないかと思っています。


――染五郎さんは高野山にも行かれたのですよね?その時の印象をお聞かせください。

染五郎 本当にかっこよかったですね。お寺に詳しいわけではないんですけれども、あそこの場所、建物、空気それからそこにいらっしゃる方々にかっこよさを感じたんですよね。本当にいい空気を吸わせていただきました。


――高野山は空海が開山したお寺ですけれど、"空海"が降りてきたような感じはありましたか?

染五郎 どうですかね、疎いんでわかりません(苦笑)。でもお護りくださいというつもりで手を合わさせていただきましたので、怒ってはいないと思います。


※【注意】ここからネタバレを含むコメントがあります

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――染五郎さんは琵琶を弾きながら歌う場面がありますが、舞台で歌うのはいかがですか?

染五郎 そうできたらかっこいいなと思ってやっていますが、あとは自分がどれだけそこに近づけるかというところを目指してやっています。


――さすがに歌はうまいですね。

染五郎 とんでもございません、歌は妹の方が...。


――(笑)。夢枕さん原作の新作歌舞伎は2作目です。これが決まった時はどう思われましたか?

染五郎 前回は新しい歌舞伎座が出来た記念の新作歌舞伎として出させていただいたんですけれど、今回また夢枕さんの作品に再会できたことは本当に嬉しかったです。


――ラスト近くで壁に字を書かれましたが、どなたの字ですか?

染五郎 あれは僕が書きました。それをあのような形にしていただきました。字は見よう見まねです。


――結構練習なさったんですか?

染五郎 そうですね、多少しましたけれど、何日か練習してできることではないと思いつつ、自分を"空海"だと思いこませて書かせていただきました。


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――松也さんは染五郎さんと一緒にやっていかがでしたか?

松也 大先輩ではありますが、安心して色々なことを試みることができて一緒にやらせていただいて楽しいです。新作のお芝居ですし、私もやりながら思いついたことをその場でやってみたりすることもあるんですが、それに対して、本当に素早く反応してくださって、あまりに素早いのでこっちが戸惑っちゃうくらいなんです。ご一緒させていただいて、これほど頼もしい方はいないんじゃないかと思います。稽古から今日の初日まで、やるたびに何かが生まれていると感じているので、この一ヶ月でどう変化していくのか、自分でも楽しみにさせていただいております。


――かなり試行錯誤されたんですね。

染五郎 限られた時間の中でですけども、色々な可能性や試みをやった上で、初日を迎えないといけないと思いました。そこから一つの方向性にたどり着くと思ってましたし、今日がスタートだという感じですね。


――いちばんの見所は?

染五郎 夢枕さんの小説世界が実写になったと言いますか、立体的な形としてこの世界感に触れていただきたいですね。空海と逸勢の約2年間の唐でのお話ですけれど、そこでのいろいろな経験があり大きく成長していく、人間が変わっていく姿であったりすると思うので、そういう変化を見ていただければと思います。


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公演は4月26日(火)まで。
チケットは一部を除き発売中。


歌舞伎座四月大歌舞伎
<昼の部>
「松寿操り三番叟」/「不知火検校」/「身替座禅」

[出演]松本幸四郎  片岡仁左衛門  市川左團次  片岡秀太郎  中村魁春  中村又五郎  坂東彌十郎  中村錦之助  片岡孝太郎  市川染五郎  尾上松也


<夜の部>
「彦山権現誓助劔」/「幻想神空海」

[出演]松本幸四郎  片岡仁左衛門  中村東蔵  中村歌六  中村雀右衛門  中村又五郎  坂東彌十郎  片岡孝太郎  市川染五郎  尾上松也




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