2016年3月15日アーカイブ

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■ミュージカル『グランドホテル』vol.12■


1920年代のベルリンの豪華なグランドホテルを舞台に、様々な事情を持った人たちのドラマが交錯する――。
名作ミュージカル『グランドホテル』が、英国の鬼才トム・サザーランドと、日本の才能ある俳優たちによって蘇ります。

キャストインタビューや顔合わせ取材など、様々な角度で本作を追っている当連載ですが、今回は、3月8日に行われた、公開稽古の詳細レポートをお届けします!
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先に出したニュース記事はコチラ→

物語は、1920年代の大都市ベルリンを舞台に、華やかな「グランドホテル」に集う境遇の異なる人々が織りなす人間ドラマ。
ホテルという場所で、様々な人々が出会い、別れ、時にすれ違う、群像劇です。
物語上まったくドラマが交差しない人々もいて、そこはまさに"群像劇"=〈グランドホテル方式〉の基礎を作ったと言われる作品なんです。

今回は〈GREEN〉〈RED〉の2チーム制で上演され、それぞれのチームで結末も異なる...ということが、注目されていますが、この日、その「ふたつの結末」の具体的なところも、明かされました。

〈GREEN team〉出演:中川晃教/他
...悲劇的エンディング
華やかな時代からナチス台頭の足音が忍び寄り、グランドホテルの登場人物たちもまた、死と隣り合わせの運命が待ち受けている。悲劇的結末を暗示する...

〈RED team〉出演:成河/他
...ハッピーエンディング
人生の意味を見出したオットーは、フレムシェンと共に旅立つ。再び情熱を取り戻したグルシンスカヤは嬉々として次の公演地へ。それぞれが希望ある未来に向けてホテルを後にする...


こちらが、演出のトム・サザーランドさん。
先日には、トムさんがイギリスで上演した『グランドホテル』が、英国演劇界で栄誉ある賞「2016年オフ・ウエストエンド・シアター・アワード」の最優秀ミュージカル作品賞と最優秀振付賞を受賞したばかりです!
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稽古に入る前、トムさんより解説がありました。

「原作はヴィッキー・バウムによる同名小説です。それまでの小説というものは、ひとり、ないしはふたりの主人公がいて、その主人公たちをめぐるお話を描くものでしたが、彼女は新しい小説の技法を確立しました。ストーリーの中にはとてもたくさんの登場人物がいて、キャラクターによっては作品の中で出会うことすらない、そんなキャラクターもいます。共通項は、みんな、グランドホテルにいるということ。その物語の中で、それぞれの登場人物の人生があぶりだされます。

そしてこれはヴィッキー・バウムがその頃過ごしていたベルリンという場所、時代を描いたもの。不穏な時代であり、変革を待っている時代です。変革がどの方向に行くかということは、後々歴史が語りますが、その時は誰もわからない。英語での表現ですが、「踊り狂ったその先に戦争がある」...1929年当時のドイツはそんな時代です。

そして、ひとつこのミュージカルの中で明らかにされていることは、「持てるものと持たざる者がいる」ということ。その頃のベルリンでは、持てる者たちが、力ずくで自分たちが優れているというその立場をもぎ取っていた。ヴィッキー・バウムはユダヤ系の女性で、小説を書いたその年にベルリンを離れ、アメリカに逃亡します。その後、作品は有名な映画となり、さらに1989年にはブロードウェイでトニー賞を受賞するくらい素晴らしいミュージカルが誕生しました。このミュージカルの革新性というものは、最初の小説の革新性と同じくらいのものでした。そして今回、日本でこの作品を上演しますが、皆さんが「舞台作品はこういうものだろう」と思っている、その限界をぐっと超える作品にすることを目標にしています。それは『グランドホテル』という作品が、常に成し遂げてきた道です」


また、前述の「ふたつの結末」についての説明も。

「今回はふたつのまったく異なるバージョンをお見せしたいと思っています。それは先ほど申し上げた、「持てる者と持たざる者がいる」ということがヒントになっています。同じ音楽で、同じ脚本です。その同じ脚本と音楽を、キャストの皆さんがその公演ごと、違うチームでまったく違う作品にしていきます。
片方のバージョン(RED)は楽観主義、前向きにすべてのことがうまく収まるという方向で作られます。それはそれぞれのキャラクターが何か目指しているものがある、それを達成し、ゴールに辿りつき、そして幸せを手に入れる。
もうひとつのバージョン(GREEN)は歴史が物語っている、ベルリンの1920年代終盤から30年代にかけて起こることを示唆します。人々の中にある夢や希望は剥奪され、嫉妬、嫌悪といった感情がどんどん台頭していく。そして力ずくでものが進んでいく時代です。その前までは、リベラルな社会だったはずなのに...。

また結末だけが変わるのではなく、今回、ダブルで演じられる役どころがたくさんあります。この素晴らしく描かれたキャラクターたちは、その演じ手がその人なりに解釈し、その人なりに演じ、人物像を作ることができます。まったく同じ素材を使いつつ、今も稽古場では白熱した稽古をしていて、まったく違うバージョン、違うキャラクターが生まれつつあります。自分自身でも本当にここまで違うふたつのバージョンが出来るのかと、今興奮のさなかです。この作品の持つ素材の力、キャストの皆さんの素晴らしい力をぜひ本番で感じていただければ」


◆ 公開稽古レポート ◆


さて、この日披露されたのは幕開きのビッグ・ナンバー『グランド・パレード』。
それぞれの人物像と、抱えた事情が、ホテルの喧騒の中少しずつ見えてくる、まさにドラマがここから始まる感満載のナンバーです。

静寂の中、愛と死の化身...スペシャルダンサー、湖月わたるさん登場。
湖月さんが呼び鈴を鳴らし、物語が回転しだします。
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「グランドホテル、ベルリン。いつも変わらない。誰かが来て、誰かが去っていく...」と、グランドホテルで行き交う人々を眺めるオッテンシュラッグ医師が、登場人物を、少し毒気を混ぜながらシニカルに紹介していきます。

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アイルランドの孤島に生きる、ハンディキャップを負った少年ビリー(古川雄輝)と幼馴染みの少女ヘレン(鈴木杏)。

お馬鹿なバートレイ(柄本時生)に中年のゴシップ屋(山西惇)、ビリーのおばさん達(峯村リエ、平田敦子)におばあちゃん(江波杏子)や医者(藤木孝)、船乗り(小林正寛)が日々をなんとなく暮らしている。

そんな時ハリウッドの撮影隊が島やってきた。「ハリウッド」と「映画」という響きに興奮する島の人々・・・もちろん少年ビリーも例外ではなかった。
撮影隊の存在、「ハリウッド」と「映画」のおとずれによって、少年ビリーの運命も大きく変化していく。

映画「ハリー・ポッター」シリーズのダニエル・ラドクリフがロンドン、ブロードウェイで主演し絶賛をあびた
マーティン・マクドナーらしい皮肉に満ちた舞台が、ついに3月25日(金)より世田谷パブリックシアターにて上演となります!

「イニシュマン島のビリー」公演プログラム内特別企画として、
演出の森新太郎さんとマーティン・マクドナーの作品を

いくつも演出されている演出家・俳優の長塚圭史さんよる対談が実現!
マクドナー作品について・演劇について等々、沢山語っていただきました!

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長塚圭史さん
「最近、マクドナー作品からは離れていましたが、、目黒条さんが翻訳された『イニシュマン島のビリー』の上演台本を読ませていただき、あまりにも面白いので、久々にマクドナー作品を演出したくなりました。マクドナー作品の面白さを言葉で伝えたいですが、あの面白さはとにかく体験するのが一番。僕も必ず観に行きます。」

森新太郎さん
「マクドナー作品と言えば、暴力的というイメージが強いですが、この『イニシュマン島のビリー』は、根幹にピュアな愛が描かれているので、世の中がどれほど暴力的になっていっても、ずっと上演され続ける普遍的な作品だと思います。」

先日の制作発表では、古川雄輝さん鈴木杏さん柄本時生さんによる朗読が披露されました。鈴木杏さんの言葉の強さ・激しさと、柄本時生さんの絶妙な抜け感、そして古川雄輝さんの見事な不安の表現っぷり。なぜかどのキャラクターも愛らしく感じました。

公演は3/25(金)~4/10(日)@世田谷パブリックシアター、
4/23(土)~4/24(日)@梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティにて。


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