原作は累計5900万部を超える大ヒット、アニメ化・映画化もされた、和月伸宏による大人気コミック『るろうに剣心』が、宝塚歌劇団により初のミュージカル化!
幕末に伝説の人斬りとして恐れられ、明治維新後は"不殺"を誓った剣客・緋村剣心を主人公に、個性的な登場人物が繰り広げる歴史活劇です。
演じるのはこちらも話題になった『ルパン三世』の舞台化で、粋でオシャレ、かつユーモラスなルパン三世を作り上げ、大好評を博したトップスター・早霧せいな率いる雪組の面々。
演出は、『エリザベート』等を手がける演劇界の鬼才・小池修一郎です。
これは期待大!
原作で描かれたストーリーを中心にしつつ、宝塚版のオリジナルキャラクターを絡めて描き出すとのこと、どんなものになるのでしょうか...。
10月20日、本作の制作発表会見が開催されました。
なんと、雪組生8名も登壇、扮装姿のパフォーマンスも披露された、豪華な会見でした!
まずは、そのパフォーマンスの模様から。
主人公・緋村剣心はもちろんこの人、雪組トップスター早霧せいな。
"不殺"を誓い、"逆刃刀"を手にする心優しき剣豪。
原作の和月さん曰く、これは「二律背反と贖罪の物語」。
その厳しさと優しさが、すでに伝わってきます。
一方で剣心のキュートな口ぐせ「おろ?」も飛び出ました~!
神谷薫=雪組トップ娘役・咲妃みゆ。
薫は神谷活心流道場師範代でもある、活発な女の子。
演技巧者・咲妃さんが、どう演じるのかも楽しみ。
早霧さん&咲妃さん自身の仲の良さもにじみ出る、いい雰囲気の剣心&薫です。
新撰組の生き残りで剣心の宿敵、斎藤一は彩風咲奈。
"牙突"も出ました!
悪徳実業家、武田観柳=彩凪翔。
イヤミな感じが出てますよ~。
相楽左之助に扮するのは、鳳翔大。
背中に「悪一文字」を背負った熱血漢。
長身の鳳翔さんのビジュアルが、いっそう兄貴分を感じさせます!
美人女医・高荷恵は大湖せしる。
『ルパン三世』では峰不二子を演じた雪組のセクシー担当(?)大湖さん、今回も色っぽいですよ!
四乃森蒼紫=月城かなと。
冷静で寡黙で無表情なイケメンを若手注目株の月城さんが演じます。
二刀流も、決まってます!
そして宝塚オリジナルキャラクター、加納惣三郎に扮するのが、雪組二番手男役・望海風斗。
新撰組にいた伝説の美剣士、加納惣三郎が、維新後も生き延びていたら...。
そんな設定だそうで、すでにしっかり造形されている前述のキャラクターたちとどう彼が渡り合っていくのかに、注目!
加納惣三郎、宝塚作品では『誠の群像』にも出てくるキャラクターですね。
ちなみにこのカット、加工一切ナシです...絵になるなあ...。
なお「オリジナルキャラクター」ついては、原作の和月伸宏さんからの提案だったそうで、この日の会見に(声だけ)出演された和月先生、
「最初は(演出の)小池先生から、剣心と薫の間にたつ、ちょっと恋敵的な要素もあるキャラクターを...という話を訊いて、それはすごく宝塚らしい、これは良い、と思いました。ただ、既存のキャラクターを変えて役に当てる、キャラクターの根幹を変えるのはダメだと思いましたので、小池先生が自由にできる魅力的なオリジナルキャラクターを作ってはどうですかと僕の方から提案をしました」と話します。
そして実際にこの日の望海・惣三郎を見て「(もともとのキャラクターと一緒に立っても)違和感がまったくないのが凄い。自分の作品にも出してみたいなと思うくらい」と絶賛していましたよ!
この会見には、宝塚OGにして、アニメ版で緋村剣心の声を担当した、涼風真世さんもサプライズ登壇。
パフォーマンスを見て「興奮しました!まるで宝塚のために『るろうに剣心』があるんじゃないかと思いました。凄いですね。ドキドキして興奮状態です。早霧さんの剣心は、自分が声の担当をしていたとは思えないくらい素敵な剣心。今日、「おろ?」も聞けましたが、自分も色々な「おろ?」を出してきましたが、今日の早霧さんの「おろ?」が一番いいのではないでしょうか。照れもあって、ぴったりだった」と絶賛です!
涼風さん、アニメ版の声は、「実はオーディションを受けて合格したんです」というような秘話も...。
さらに、原作の和月さん、このパフォーマンスを見て「『るろうに剣心』は本当に恵まれているなあとしみじみ思いました。涼風さんが言ったように、宝塚でやるために剣心があったんじゃないかと錯覚するくらい、バッチリ合っていて感動しました」と太鼓判!
宝塚は、この話が来てから初めて観たそうで「すごく華やかで、これは女の人が夢中になるのは当然だと思った。101年続くエンターテインメントの凄みを感じました。雪組の皆さんの演技は(前回公演の)『星逢一夜』を観て安心していますので、思う存分演じてください。今の数分間のパフォーマンスを観ても、もうバッチリなので、お任せします。楽しみにしています。剣心を知らない宝塚ファンの方には剣心を、宝塚を今まで知らなかった剣心ファンの方には宝塚を楽しんでもらえる、関わる人すべてが幸せになるものになれば嬉しい」とエールを贈ります。
そして脚本・演出を手がける小池修一郎さんは次のように語りました。
「今パフォーマンスを観て、本当に面白いなと改めて思いました。同時に、"剣劇モノ"は女性だけの宝塚歌劇団だと、例えば劇団☆新感線や、今はやりのイケメン舞台のようにはなかなかいかないかと思ったのですが、かなり良いんじゃないか、本当に(宝塚の舞台に)ハマるんだなと認識しました。
また和月先生からもありましたが、宝塚の中の二番手の役として、いずれかのキャラクターを膨らまそうかというご提案を申し上げたのですが、それなら新しいものを出したほうがいいと仰っていただきました。「え、そんなことが(できるのか)」とちょっと予想外だったのですが、その時代の人々の資料を改めて読んだりして、加納惣三郎を登場させました。加納惣三郎は伝説の人物です。新撰組の隊士たちを惑わす美青年で、伝説では彼は島原の花魁に狂って辻斬りをし、新撰組の中で粛清された、ある意味愛に殉じた色男。その部分をいかして、その人物が維新のあとも生き延びて、政府の転覆を狙っていたら...と考えました。
...私も今日のパフォーマンスを見て、改めて「乞うご期待」と言えます。(雪組の)みんなは大変だと思いますが(笑)、楽しい公演にしたい」と、手ごたえを感じたようです。
なお、上演するのは「基本的に原作で<東京編>と言われている、最初の一連のところをベースに。そこに幕末からの因縁のある加納惣三郎が絡んでくるという構図で展開したい」と構想を語ります。
また、『るろうに剣心』と宝塚の親和性については
「剣心は剣豪という、強い男でありつつ、小柄でチャーミング。話は全然違いますが女の子でチャーミングなんだけど強い『リボンの騎士』にも通じる構造。つまり、強い人がマッチョでムキムキなのではなく、可愛かったり子どもっぽかったりするんだけど強いというところに魅力がある。
あとはファンタジーで夢を見る、希望というようなものが『剣心』の中にもある。(人斬りという過去があるが)ポジティブな生き方をしたい、その思いで現実と向き合うというところが、とても魅力的で、そこは宝塚歌劇がめざすところと共通するのでは」と話していました。
さて、続いてキャストの皆さんの意気込みを。
早霧さんは
「和月先生が描かれた原作のマンガが大ヒットし、アニメ、映画もヒットを飛ばし、そしてようやく宝塚で上演が出来る。しかもわれらが雪組がこのタイミングで上演できるというのが運命のようであり奇跡のようであり、このご縁を大切にしたいと思います。
剣心役については、剣心を嫌う人は見たことがない、それくらい愛されているキャラクター。私自身も、とても剣心に惚れました。人斬りという過去を持ちながら、でも前に、明るい未来へ進もう、より多くの人を笑顔にしようという使命のもと彼は生きている。それは今のわたしの宝塚での人生と重なるものがあります。自分自身も剣心に投影しながら、でも剣心を演じることで、私も愛されたらと思います。この作品がさらに大きく育つように、心を込めて精一杯演じていきたいと思います」と意気込みを。
またこの日、扮装をした感想を「このトレードマークである剣心色の赤い着物を着て、(頬に)傷をつけた時、自分の内面から熱いものがこみ上げて、気合が入りました」と話しました。
咲妃さんは
「神谷薫という人物は本当に魅力的な女性。彼女の前向きな、ひたむきな生き方に、(原作を)読んでいるうちに和ませていただき、励ましてもらった。その時受けた純粋な印象を大切に、小池先生のご指導のもと、天真爛漫な薫を作り上げていきたい」と意気込みを話します。
注目のオリジナルキャラクター・加納惣三郎役の望海さん。
「オリジナルキャラクターをやらせていただくと聞いた時は本当にびっくりしましたが、宝塚バージョンということで、新しい役で『るろうに剣心』の仲間入りをさせていただくのはとても嬉しいことだなと思っています。初日までに、ここに並んでいる素敵なキャラクターの皆さんに負けないくらいに強いキャラクターを生み出して、伝説の美剣士、加納惣三郎になれるように頑張っていきたいと思います」。
彩風さんは
「私も『るろうに剣心』を雪組で上演させていただくと訊いた時、まさか自分が斎藤一をやらせていただくとは思っていなかったので、とても身が引き締まる思いでいっぱいです。斎藤一は剣心と同じように、幕末を生きながらえて、でも明治の世で剣心とは違って、幕末の頃の意思を繋ぎ続けている。どのような台本になるのかはまだわかりませんが、(剣心の)ライバルとして描かれていることが多いので、有名な"牙突"もありますし、しっかりとライバルとしていられるよう、素敵で男らしい斎藤一を演じたいと思います」と話しました。
ちなみにこの日の扮装については彩風さん、「手袋をして、サーベルのように日本刀を持っているというのが珍しい」とこの作品独特の雰囲気をすでに感じている模様。
彩凪さんは
「先ほど早霧さんが剣心はみんなから愛されるキャラクターと仰られましたが、私はまさに正反対の、みんなに嫌われるキャラクター。とても濃い、個性的なキャラクターで、お金こそすべて、といった感じ(笑)。インパクトの強い役でありたいなと思いますし、武田観柳が持つ独特な空気感を出せたらと思っています。(悪役は)すごく勉強になります。どうやったら憎まれるのかなど、これから色々な研究をして舞台に挑みたいと思います」とのこと。
大きな"斬馬刀"が印象的な左之助を演じる鳳翔さんは、やはり「左之助は豪腕怪力な直結型の熱い男というイメージ。最初にイメージしたのは"斬馬刀"」と語り、この特徴的な武器を「普段日本刀やサーベル、ピストルと、結構今まで色々な武器を持ってきましたが、さすがにあの大きさのもの初めて。重さというより長さと遠心力に、斬馬刀に自分が振りまわされてしまっている感覚があるので、自分が斬馬刀を振り回す...片手で振り回せるくらい自由に扱えるようになれれば」と話します。
「どちらかというとクールで腕の立つ剣士が多い中、左之助は斬馬刀を振り回したり、こぶしで戦ったり、みんなとテイストが違う、体当たりのイメージ。でも彼も悪一文字を背負って生きている。心の中も男らしい人物だと思いますし、その中でも剣心に出会ったことで変わった、仲間と出会って動き出した、というみんなとの絆だったりというところも大切に演じたいと思います」。
高荷恵を演じる大湖さんは
「小さい頃からマンガを読ませていただいており、すごく大好きだったので、その世界の住人として生きられることがすごく光栄。恵さんはすごく謎めいていて、秘められた過去を持っている女性。その罪ゆえの妖艶さなどを表現していけたらいいなと思っています」とのこと。
四乃森蒼紫を演じる月城さんは
「パフォーマンスを終えて、雪組の『るろうに剣心』に対する皆さまの期待感を感じると共に、私も責任感と、身の引き締まる思いです。蒼紫は、二刀流での立ち回りももちろんですが、原作で和月先生が描いているクールな外見に秘められた野望や、仲間への熱い思いもしっかり表現していけるように頑張りたいと思います」と話しました。
この、とてもよく似合っている超ロングコートについては「蒼紫といえばこのロングコートと、長い前髪の奥に光る瞳。このコートもしっかりさばいていけるようにしたいです」と話していました!
最後に改めて、早霧・剣心が「小池先生の頭の中にあるので、まだ詳しい内容は決まっていないものの(笑)、私自身含め、皆さんが楽しみにしてくださっていると感じます。そのご期待以上のものをお見せできるよう、心を込めてこれから作っていきたいと思いますので、初日をお楽しみにしていただけたら」と意気込みを語り、会見は終了しました。
いやぁ、もう、雪組スターの皆さまの、キャラクターへのなりきりっぷりに、もはや期待しかありません...!
公演を楽しみに待ちましょう!!
取材・文・撮影:平野祥恵(ぴあ)
【公演情報】
・2月5日(金)~3月14日(月) 宝塚大劇場(兵庫)
・4月1日(金)~5月8日(日) 東京宝塚劇場