100周年を経た宝塚歌劇が1月1日、101年目の新たな一歩を踏み出した。兵庫・宝塚大劇場でその幕開けを飾るのは、新トップスター・早霧(さぎり)せいな率いる新生雪組。演目はミュージカル『ルパン三世-王妃の首飾りを追え!-』と、ファンタスティック・ショー『ファンシー・ガイ』の2本立てだ。
第一幕は、モンキー・パンチ原作の人気漫画をミュージカル化した宝塚版『ルパン三世』。物語は、現代のフランス・ベルサイユ宮殿に、マリー・アントワネットの首飾りを狙ってルパン一行が現れるところから始まる。しかし、盗もうとしたその瞬間、革命前夜のフランスへとタイムスリップ。そこでマリー・アントワネットやカリオストロ伯爵と出会い、お宝をめぐる物語が展開していく。
誰もが知る人気漫画の舞台化だけに、開幕前より注目が集まっていた本作。ルパンを演じる早霧は、コミカルさと格好良さと優しさを絶妙なバランスで表現し、演技力の高さを発揮。軽快におどけて見せる動きや表情、発声でも原作のイメージを崩さず、それでいて宝塚歌劇らしいスマートさも持ち合わせ、観客の心までも奪う。ルパンとマリー・アントワネットとの恋模様も見どころで、演じるのはトップ娘役の咲妃(さきひ)みゆ。彼女も新トップながら、堂々とした演技と安定感のある歌唱で魅せる。
また、銭形を演じる夢乃聖夏(ゆめの・せいか)も、登場シーンから笑いを誘うほどのハマりっぷり。花組から組み替えとなった望海風斗(のぞみ・ふうと)は、ちょっぴり怪しげなカリオストロ伯爵。峰 不二子役の大湖(だいご)せしるは艶っぽくセクシーに、五ェ門役の彩凪翔(あやなぎ・しょう)、次元役の彩風咲奈(あやかぜ・さきな)は、言葉少なくも佇まいがキャラクターそのもの。それぞれの個性輝くステージは、新生雪組のお披露目公演にピッタリだ。
第二幕のショー『ファンシー・ガイ!』は、男役、娘役ともに、パンツにソフト帽スタイルのスタイリッシュなプロローグからスタート。パリ、ローマ、ウィーン、マドリッドなど、さまざまな街をイメージしたストーリー性のあるショーを展開する。フランク・シナトラの名曲を歌い継ぐシーン、美しい黒燕尾の群舞、集団でのタンゴ、『愛の賛歌』に合わせたデュエットなど、大人の色気あふれるステージ。両作を通して、早霧を中心とする新生雪組の魅力がたっぷりと堪能できる。
兵庫公演は2月2日(月)まで上演中。また、2月20日(金)から3月22日(日)まで、東京宝塚劇場にて上演される。東京公演のチケットは1月18日(日)より一般発売開始。なお、チケットぴあでは一般発売に先駆けて、インターネット先行抽選(プレリザーブ)を1月8日(木)11時から1月14日(水)11時まで受付。
取材・文:黒石悦子
撮影:三上富之