舞台「ジャンヌ・ダルク」観劇レポート

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19歳で、燃え尽きた命。
ジャンヌ・ダルク、栄光とその悲劇。
信じるものを求め、「生」を掴もうとするひとりの少女の姿。

人気女優・有村架純の初舞台作品「ジャンヌ・ダルク」、いよいよ大阪公演が開幕。
観劇レポートをお届け致します。

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ジャンヌダルク

「過ちを犯したイングランド軍には、神の裁きがくだされる!」。15世紀初頭。後に百年戦争と称される英仏大戦の最前線で、1人の少女がそう高らかに宣言した。その名はジャンヌ・ダルク。13歳で神の啓示を受け、17歳でフランス軍を率いた伝説の女神。彼女はいかにして大戦に勝利し、シャルル7世を玉座へと導いたのか。神の姿か悪魔の化身か、"言葉を持たぬ少年"が彼女の前に現れたとき、ジャンヌの中で何かが覚醒する。私は死なない―――。選ばれしヒロインの壮絶な人生の幕が開く。

立ち込めるスモークの中、ジャンヌ・ダルクの姿が浮かび上がる。三宅純の厳かな音楽と洗練された白井晃の演出が瞬時に観客を数百年前の異国へと誘う、ドラマティックな幕開きだ。
幕では文字も読めない羊飼いの少女、ジャンヌ・ダルク(有村架純)の快進撃が綴られる。信頼できる仲間(尾上寛之、堀部圭亮)と出会い、疑心暗鬼な王様(東山紀之)を説き伏せ、腹黒い側近(西岡德馬)を論破し、百戦錬磨の敵の大将(上杉祥三)を叩き潰す。何より痛快なのが作中の大半を占める戦闘シーンだ。「穢れた矢は、私には当たらない!」。純真な眼差しと素朴な佇まいが、返って役柄にリアリティをもたらした有村架純。神格化されたヒロインに導かれ、何千何万もの兵士が進軍する。気づけば客席は戦場と化していた。地鳴りのように響く怒号、甲冑が擦れ合う金属音、目の前でほとばしる汗と熱気。生身の人間が放つエネルギーに気圧されて、瞬きもせずに見入ってしまう。大軍を率いる重圧や高揚感とは、これほどのものなのか! 確かに彼女の一挙手一投足に、劇場全体が心奪われた瞬間だった。

それだけに2幕からの展開には言葉を失う。出生の秘密、仕組まれた陰謀、姿を消した"少年"、宿命的な末路まで。降りかかる孤独と絶望の中、ジャンヌの心に去来した思いとは......。役者陣は有村を筆頭に適材適所の活躍ぶりだ。三者三様の個性を輝かせたフランス軍の"三銃士"こと矢崎広、吉田メタル、春海四方。物語のキーマンを演じたシャルルの義母・高橋ひとみ、健気さが胸に迫ったシャルルの妻・佐藤藍子。一方、後半に見せ場を作った筆頭侍従官の部下・青木健、不埒な聖職者をしたたかに演じた田山涼成。中でも、シャルル王の成長物語という本作の側面を、東山紀之が繊細に体現して新境地を開いた。終盤、火刑台へと向かうジャンヌ。敵対するイングランドの最高権力者、ベッドフォード公(山口馬木也)が思わず漏らしたつぶやきは、彼女の耳に届いただろうか。神々しいまでのジャンヌの表情が、炎に揺れた。
(取材・文/石橋法子)

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