宝塚歌劇雪組公演『ル・ミュージカル・ア・ラ・ベル・エポック『伯爵令嬢』―ジュ・テーム、きみを愛さずにはいられない―』が10月11日、東京・日生劇場で開幕した。『王家の紋章』で知られる少女漫画界の大御所・細川智栄子あんど芙~みん氏による同名漫画の舞台化。100周年を迎えている宝塚歌劇団の、久しぶりの日生劇場公演であるとともに、雪組の新トップコンビ早霧せいな&咲妃みゆのお披露目公演でもある。開幕に先駆け10日、最終舞台稽古が取材陣に公開された。
19世紀のフランスを舞台に、新聞王として名をはせる公爵家の子息アラン、孤児院で育ち海難事故で記憶を失った少女コリンヌ、アランに復讐を企むフランソワ、かつてコリンヌと愛を誓い合った盲目の青年リシャール、女スリのアンナなど、個性豊かな登場人物たちが織り成す波乱万丈な物語。少女漫画らしいロマンチックな物語を、少女漫画から抜け出たような雪組メンバーが美しくもドラマチックに演じていて、宝塚歌劇の良さが存分に出た作品になった。
舞台稽古後、早霧・咲妃が取材に応じた。
その内容をレポートする。
早霧せいな&咲妃みゆ 囲み取材
――ご挨拶と、意気込みを。
早霧「バタバタではございましたが、精一杯やりました。明日の初日から千秋楽まで出演者一丸となって頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。やっと舞台に立てて衣裳をつけて、照明があってセットがあってのお稽古が出来てほっとしている反面、いよいよ明日からなんだという緊張感と高揚感があって気持ちが忙しいです(笑)。この通しで感じたことをきちっと消化して、明日からよりお客さまに楽しんでいただける舞台になるようにもう一度練っていきたいです。
(この通しで感じたこととは?)いやぁ...早替わり...間に合うか...(苦笑)。日生劇場に出演するのが初めてなので、私自身が劇場にまだなれていなくて、裏でバタバタしてしまっていたので、早く劇場と仲良くなりたいです。やはりアランは汗をかかないと思うので、爽やかな風で舞台に立ちたいですね」
咲妃「明日からの初日、たくさんのお客さまにお楽しみいただけますよう皆で力をあわせて頑張りたいと思います。自分のことで今はあたふたしていますが、初日、幸せな世界をお客さまに楽しんでいただけるように早霧さんのもと、頑張っていきたいと思います」
――作品のみどころは?
早霧「セットが豪華。つり橋のようなセットが上下に動き、その上でお芝居をしたり立ち回りをしたりということもあります。それに布を使った海の表現があるのですが、お稽古場からその布の担当は苦労していましたが、それが成功したらすごく迫力のあるシーンになるんじゃないかなと思っています」
咲妃「チギさん(早霧)ご自身がとても見どころ満載だと...! 漫画から飛び出たアランさんをお客さまにも早く観ていただきたいです...!!」
↑常に早霧さんを見つめている咲妃さんです
――本作がトップお披露目になります。
早霧「作品を作る上ではいつもとまったく変わりがないのですが、主演、そしてお披露目ということで、まわりの皆さんが本当により支えてくださっていることを感じています。その気持ちに少しでも応えることができるよう、ファンの皆さま、出演者の皆さんの気持ちをきちんと受取ってお返しできたらと思います。
(プレッシャーは感じるか)...プレッシャー、プレッシャーと言われてプレッシャーがわからなくなりまして、おかげさまであまりプレッシャーを感じておりません(笑)」
咲妃「お披露目公演ということで生田先生がとても明るくハッピーエンドの作品を選んでくださったのがとても嬉しかったですし、お稽古場からたくさんの方が苦労しながらも楽しんで励んでいらっしゃるのが私自身励みになりました。この気持ちを大切に頑張りたいと思います」
――どんなトップコンビになりたいですか?
早霧「私たちふたりはもちろん、組子全員が信頼関係で結ばれた、本当にみんながみんなを支えあえるような組にしていきたいです」
咲妃「早霧さんをはじめとする雪組のみんなが同じ方向を向いて進んでいく、その一員でありたいと思っています。みんなで我らがトップスターさんを盛りたてていけるような、そんな明るい組になっていけたら」
――今回改めて組んでみて、お互いの印象は?
早霧「普段からコリンヌのように素直でまっすぐで一生懸命なところが咲妃自身の魅力だと思うので、これからも多分それは変わることがないだろうなと隣にいて感じますし、そんな咲妃が隣にいてくれてすごく安心しています」
咲妃「(照れながら)感無量です...!こんな素晴らしい方とめぐり合えたことは私の人生の宝物だと常々思ってます...!!」
早霧「...結婚します」
...早霧さんのその宣言に会見場が一気に笑いに包まれました。
↑息をのむ咲妃さんに、「それくらいの感じじゃないですか。...いやいや、冗談」とフォローをする早霧さん。
↑咲妃さん、顔を覆ってしまいました。
可愛いトップコンビですねえ!
――最後にひと言。
早霧「とても盛りだくさんの内容でお送りする『伯爵令嬢』です。劇場で観ていただけると宝塚の良さ、「伯爵令嬢」という漫画の世界の良さも感じていただけると思いますので、ぜひ劇場にいらしてください」
咲妃「お越しいただくお客さま、きっと皆さまが温かい気持ちで舞台をご覧いただけると思いますので、わたしも楽しみつつ、お客さまにたくさんの愛をお届けできるよう頑張りたいと思います」
取材・文・撮影:平野祥恵
【公演情報】
10月31日(金)まで上演中 日生劇場(東京)