台風19号の接近による新幹線ダイヤの乱れを避け、ONEOR8の劇団員たちは10月13日(月)当初の予定よりも早めに豊橋入りしました。
開館時間前の到着ということもあり劇場周辺の喫茶店でモーニングを堪能したようです。
道具類を積んだトラックは予定通りに到着し、仕込は問題なく始まりました。
しかし、夜には東海地方も暴風圏に入るということで、JR在来線が20時には全面運休予定、さらには少し早めに在来線が止まり始めたため、劇場も早めに閉館することに。
そのため、この日の作業は19時頃終了。
翌日には、台風はすっかり通過し、特に問題もなく作業が粛々と続けられました。
ONEOR8として初めての地方公演と言うことでしたが、仕込スケジュールにも多少余裕を設けていたため、台風の影響はあったものの、順調にリハーサル、ゲネプロが行われ、10月17日(木)19時「世界は嘘で出来ている」の初日の幕が開けました。
(舞台写真撮影:新村猛)
田村孝裕さんの作・演出作品は、昨年のアートスペースこけら落とし公演として上演した「父よ!」で観劇体験の可能性はあるものの、ほとんどの方はONEOR8の公演を見るのは始めてだったと思います。
アートスペースという小劇場空間での上演は、俳優と観客の距離も近く、舞台上のエネルギーと、さりげなくもリアリティのあるセットや小道具など、観客の目は舞台上で繰り広げられる世界に釘付けになっていました。
「世界は嘘で出来ている」は、孤独死した人の部屋を整理する特殊清掃人の兄とその弟を中心にして物語が展開します。
今現在の話し、今に至る少し前の話。そして、数年前や幼少の頃などの過去の話し。
田村さんの作品では、セットを変えることなく、軽々と時間と空間を飛び越え、人々の現在に至る思いや、気づきを鮮やかに描き出します。
大きな事件や大げさな台詞などないのですが、観客がそれぞれの感性に応じた言葉が心に響く作品でした。
(舞台写真撮影:新村猛)
カーテンコールの拍手も力強く、作品に対するお客様の満足度を感じさせるものでした。
3回の公演全てで行われたポストトークも大半のお客様に参加していただきました。
ONEOR8の劇団員達も各回に分かれて出演し、お客様もお楽しみいただき、田村さんや出演者に質問が投げかけられました。
終了後は、ONEOR8、そして田村孝裕さんの作品に興味を持っていただいたようで、Tシャツや戯曲などのグッズ販売も盛況でした。
わずか3公演のプラット公演でしたが、ご観劇いただいたお客様にはONEOR8の名前とともに、劇団という集団の持つ力や創造力というものを印象づけた公演になったと思います。
ONEOR8『世界は嘘で出来ている』
10/21(火) ~ 10/29(水)
ザ・スズナリ (東京都)
[作・演出]田村孝裕
[出演]恩田隆一 / 伊藤俊輔 / 和田ひろこ / 野本光一郎 / 冨田直美 / 山口森広 / 古屋治男 / 異儀田夏葉 / 浅野千鶴 / 矢部太郎 / 甲本雅裕