9月29日、劇団四季の新作ミュージカル『アラジン』の上演が発表になり、製作発表が行われました。
そのレポートをお届けします。
ミュージカル『アラジン』は、ディズニーが1992年公開の劇場版長編アニメーションを元に製作した作品。ブロードウェイでは今年3月に開幕したばかり、世界各国にさきがけ、日本が初の海外プロダクションとして上演します。
劇団四季とディズニーのタッグは、
1995年『美女と野獣』
1998年『ライオンキング』
2003年『アイーダ』
2013年『リトルマーメイド』
に続き5作品目。
『アラジン』は、1作目・『美女と野獣』日本公演開幕から20年目という節目の年に上演されることとなります。
劇団四季・吉田智誉樹社長によると、これまでのディズニー4作品での観客動員数は述べ1600万人。
日本人の10人にひとりが四季のディズニー作品を観劇した計算になるとのこと。
まさにゴールデンコラボです。
砂漠の王国に住む青年アラジンと、その王国の姫ジャスミンの恋模様を軸に、ランプの精ジーニーや数々の魅力的なキャラクターが絡む、冒険とロマンスの物語。
『ア・ホール・ニュー・ワールド』等々の名曲は、誰もが一度は耳にしたことあるはず!
James Monroe Iglehart , Adam Jacobs and the original Broadway company of ALADDIN.
Photo by Deen van Meer (c)Disney
Courtney Reed as Jasmine and dam Jacobs as the title character in ALADDIN.
Photo by Matthew Murphy (c)Disney
吉田社長は「信頼の揺るぎない、ディズニーと四季の提携によって、『アラジン』は新たな創造性に満ちた作品になることと思います。この作品から劇団四季の『ア・ホール・ニュー・ワールド』が始まります。来春の開幕をぜひご期待ください」と挨拶。
またウォルト・ディズニー・カンパニー アジア プレジデントのポール・キャンドランド氏は
「日本はディズニーミュージカルが一番成功しているマーケットのひとつ。それも四季さんの素敵なステージのおかげです。ありがとうございます。
『アラジン』はブロードウェイで今年の3月にオープンしました。観客はジーニーに笑い、アラジン、ジャスミンの歌をワクワクして聴いていました。コスチュームの素晴らしさにもぜひご注目ください。ダンサーのコスチュームは何度も変わります。わたしは一度みたあとすぐに観たいと思いました。四季さんは世界で2番目という早さでこの『アラジン』のオープンを決めてくださいました。アメリカで生まれたアラビアの物語が日本で上演されます。素晴らしい文化の出会いをぜひお楽しみください。
『アラジン』のステージはきっと皆さんの願いを3つだけではなく、すべて、かなえてくれるでしょう。たくさんの観客がこの舞台を楽しんでいただけるようにと願っています」
と、作中の「3つの願いを叶える魔法のランプ」になぞらえたご挨拶です。
また四季の看板俳優でもあり、日本版製作チーム代表を務める加藤敬二氏は
「日本でも大ヒットした映画『アラジン』がいよいよミュージカルになり、大変興奮しております。今回ディズニーはこの『アラジン』でコメディに挑戦し、見事に成功しております。『アラジン』には夢、希望、そして友情というメッセージがたくさん詰まっています。さらにどのシーンも豪華絢爛でこれでもかというくらい明るく楽しいエンターテインメント。日本版ではオリジナルが持つ明るさ、楽しさをしっかり維持しながら、日本のお客さまの心情に寄り添った深い人間ドラマにしたいと考えています。演出プランの増強についてはすでにディズニースタッフとの話し合いが始まっており、さまざまなプランを検討しております。この作品は日本演劇界の新たな1ページをひらくことと信じています」と意気込みを話しました。
会見ではいくつかの注目ポイントも語られました。
●日本語訳詞は『アナと雪の女王』を手掛けた高橋知伽江氏が担当
「この『アラジン』では日本語の歌詞を高橋知伽江さんにお願いすることになりました。高橋さんは『アナと雪の女王』の日本語の歌詞を手掛けた方で、実はかつて劇団四季に所属していた私たちの仲間でもあります。こうしてお仕事をご一緒できることを大変嬉しく思っています。この作品の感動を素晴らしい日本語で紡いでくださることと思います。四季に在籍しているあいだからいろんな作品の翻訳・訳詞を手掛けてくれていて、非常にどれもすぐれていた。今回もその力を発揮していただきたいと思います」と吉田社長。
ちなみに高橋さんが手掛けた四季作品は『クレイジー・フォー・ユー』(和田誠氏と共同訳詞・日本語台詞)、『アスペクツ・オブ・ラブ』、ファミリーミュージカルの台本など。(いずれも本名の「高橋由美子」名義)
また高橋さんの起用について、『アナ雪』のミュージカル化の際の日本上演も見越しているのか...という質問については、登壇の皆さん(まだミュージカル化もされていない段階ですので)苦笑しながらも
「できたらぜひやらせていただきたい」(吉田社長)、
「まあ、(四季に)優先的に、もちろん...(笑)。『アナ雪』は世界的にこれほどヒットしてますので、社長から早く(ミュージカル化を)考えなさいという命令が来ましたので、いまスタッフは一生懸命頑張っているところです」(ポール氏)
とのこと!
●キャストは公開オーディションで決定
「キャスティングについてはオーディションで決定します。全キャラクターのオーディションを予定しています。ダンサーもです。これは外部の方も参加いただけるオープンオーディションを予定しています。11/17(月)・18(火)に本選を行う予定です。この作品のオリジナル演出家であり『ブック・オブ・モルモン』でトニー賞を独占した演出家でケイシー・ニコロウ氏にもおいでいただきます」と加藤さん。
なお求めているキャラクターについては、ジーニーについては「ディズニー側も、ブロードウェイだって実は白人を使う計画もある、要は異界の人物であればいいんだと言っています。その国にあわせ、たとえば非常に小柄とか非常にのっぽだとか、太っているとか、いろんなキャラクターで"異界の人物"であればいいと話している」とのこと。
ジャスミン、アラジンについては20代のフレッシュな人で、クラシカルなボイスというよりは非常に強い地声が要求される、と話していました。
「我こそはという方はふるってご参加いただければ」と吉田社長!
James Monroe Iglehart as Genie in ALADDIN.
Photo by Cylla von Tiedemann (c)Disney
●日本版は、より日本人の心情に沿ったものに
この作品を四季で上演するに至った理由は
「非常にゴージャスでビジュアルも豊か。ディズニーさんの良いところがたくさんある作品でありながら、かつコメディで面白い。一刻も早く日本のお客さまに観ていただきたいと思いました。華やかさはかつてないレベルのものだと思いますし、コメディに挑戦して成功されている、コメディでありながらかつ人間ドラマを盛り込んでいる、いろんな挑戦があります。それをなんとか成功させて新しい四季のレパートリーにしたい」と吉田社長。
また日本版ならではの部分として、加藤さんは
「外国からの作品はものすごくテンポが速い、リズム的にも次々とシーンが運んでいく。そういうものを維持しながら、日本の心情的にもっと共有できる共感できるような芝居作りをディズニーとともに検討していきたいと思います。ただ楽しい、明るいだけではなく、そういう部分を劇団四季はもっともっと日本の方に受け入れやすいものにしていければ」と話します。
さらに吉田社長からは、ディズニー作品は「どの作品にも人間讃歌がある。人生は生きるに値する、生きているって素晴らしいということをどのディズニー作品も謳っている。これはまさに劇団四季が創立以来、どの作品にも求めてきたテーマ。そこがぴったりと合致するのでディズニーミュージカルは四季にとって欠かせないもの」という話も。
Adam Jacobs as the title character in ALADDIN.
Photo by Deen van Meer (c)Disney
●製作費は『ウィキッド』級!
「正式なコストはまだ出ていませんが非常に高いレベルにはなりそうです。ライオンキング、美女と野獣、ウィキッド級になると思います。ただその金額に見合うゴージャスさはあります。ご覧いただければなるほどと思っていただけると思うので楽しみにしていてください。上演期間も、お客さまあってのことですが、できるだく長く、できれば年単位の形でやりたい」と吉田社長は話していました。
The Original Broadway Company.
Photo by Deen van Meer (c)Disney
早くも来年の上演が楽しみですね!
公演は2015年5月24日(日)に東京・電通四季劇場[海]にて開幕予定。
チケットの一般発売は2015年3月15日(日)を予定しています。
ポール氏から加藤さんへ、魔法のランプの授与。
このランプ、本国のオリジナルスタッフによる製作とのこと。
ランプをこする加藤さん。
魔人が出てくるか...!?
加藤さん、ランプは「ずっしりしています!」。
取材・文・撮影:平野祥恵