精悍でセクシーな"白鳥"と王子が紡ぐ普遍的な物語

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1995年にロンドンで初演、翌年にはウエストエンドに進出し、1998年にブロードウェイ公演が開幕するや大ヒットを記録。
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トニー賞でも最優秀ミュージカル演出賞と振付賞、衣裳デザイン賞の3部門を受賞したのが、このマシュー・ボーン演出・振付の『白鳥の湖』だ。誰もが知る有名なバレエ作品をベースに、音楽も同じチャイコフスキーを使用しながら、時代背景を大胆に現代へと移し変えた人気作。古典との大きな違いは、なんといっても王子の前に現れる"白鳥"が男性の姿をしているということ。11年前の初来日以来、日本公演のたびに舞台ファンを熱狂の渦に巻き込んできた本作だが、待望の再来日を果たした9月9日、初日の舞台を観た。

物語は、王子(サイモン・ウィリアムズ、クリストファー・マーニーのWキャスト)が寝室でうなされながら目覚めるところから始まる。彼の日常といえば、母である女王や執事、大勢の侍女たちとの退屈な公務のみ。やっと出来たガールフレンド(アンジャリ・メーラ、キャリー・ジョンソンのWキャスト)も、相応しくないという理由で執事に別れさせられてしまう。怪しげなバーで泥酔し、夜の公園で死を選ぼうとした王子の前に、一羽の白鳥(ザ・スワン/ジョナサン・オリヴィエ、クリス・トレンフィールド、マルセロ・ゴメスのトリプルキャスト)が現れる。雄々しくも神秘的な美しさに満ちた姿に心を打たれた王子は、気力を取り戻して宮殿へと戻るのだった。そんなある日、舞踏会にやってきたミステリアスな男性客(ザ・ストレンジャー/ザ・スワンと2役)に、王子の目は釘付けになる。あの夜の白鳥を思わせる男を追って、王子は...。
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この日のザ・スワンは、アメリカン・バレエ・シアターのプリンシパルであるゴメスが初役で登場。精悍な彼が白鳥をどう演じ踊るのか注目が集まったが、結果は予想以上の素晴らしさ。ザ・スワンは女性の演じる儚い白鳥とは異なり、優美な姿を持ちながらも時に猛々しいとすら思える"生き物"であり、同時に官能を表す神秘的な存在でもある。ゴメスはひときわ大きな体躯にその両極を内包させ、女たちを誘惑するザ・ストレンジャーの場面ではセクシーかつカリスマ性たっぷりに魅せる。対するマーニーの演じる王子はヒロイックなそれではなく、虚しさを抱えて想いを晴らす場所がわからない等身大の男だ。2人の関係は同性愛的な面を示すものの、観る者の心に響くのはそれのみが理由ではないだろう。老若男女問わず、誰もが心の奥底で追い求めているもの――。その答えはこちらに委ねられていると気づくとき、『白鳥の湖』がもつ普遍的な魅力を再確認するのである。

取材・文 佐藤さくら
画像クレジット:(c)Hidemi Seto

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