宝塚歌劇花組公演『エリザベート』制作発表レポート

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去る5月14日、宝塚歌劇団花組公演『エリザベート-愛と死の輪舞-』の制作発表を行いました。
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『エリザベート』は劇団を代表する人気作であり、1996年の雪組初演以来、公演回数799回、観客動員数192万3千人という記録を誇ります。
今回は2009年月組公演以来5年ぶり、8度目の上演。
新トップスター、明日海りおの大劇場お披露目公演としても注目が集まっています。

小林公一理事長も「『エリザベート』は宝塚の財産となった」と話し、「それも、再演のたびに、各組がその時々の新たな『エリザベート』を作り上げてきたからだと思います。今回も花組でしかお見せできない『エリザベート』をお届けできるはず」と期待を語りました。

初演より演出を手掛けるのは、先日、紫綬褒章を受章したばかりの小池修一郎
「宝塚では5年ぶりになります。少し久しぶりになりますので、私たちスタッフももう一度きちんと向かい合わなければいけないなと思っています。本場ウィーンでは2012年から今年にかけ、三度目のリバイバル上演をしていました。そこで、宝塚のために提供していただいた『愛と死の輪舞』という曲がついに使われました。この曲は1996年の宝塚での初演時に提供され、その直後のハンガリーでの公演には使われたのですが、それから他国では使われておらず、今回ついにウィーンで採用された。ここに来るまでに十何年かかったんだなと思いました。ただウィーンでの使われ方は歌詞やスタイルが違っており、私どもは初演どおりに"トートの歌"として歌いついでいきます。このように、この作品そのものが宝塚だけではなく、海外でも歴史の変遷を辿っています。それぞれ曲の順番やストーリーの解釈が違ったりしますが、それらを見るにつけ、宝塚版は宝塚版の魅力があると感じるので、そこに磨きをかけて、新しい『エリザベート』を100周年の年にお送りしたいと思っています」
と作品の歴史も絡めて、意気込みを話します。


そして主人公・トートを演じるのは明日海りお
この作品が、トップお披露目公演になります。
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「私は本当に幸運なことに『エリザベート』という作品に出させていただくのは、これが3度目になります。1度目はアンサンブルで、カフェの男や彫像の役をやり、2回目は皇太子ルドルフと革命家を役替わりで演じ、3度目にとうとう、トート閣下をやらせていただくことになりました。この作品は、作品のファンの方もたくさんいらっしゃいます。8代目トートをさせていただくことにプレッシャーはすごくあるのですが、花組にとっては久しぶり(2002年以来)の挑戦で、この作品に出ることを夢に見ていたような下級生もいますし、すごくみな楽しみにしています。新生花組の団結力、花組らしいパワーある舞台になればと思います」
と挨拶。

また、現時点でどうトートと向き合うかについては
「私、最近ギャップにこだわっていまして(笑)。脆そうに見えて強い、冷たそうにみえて熱い、そういうギャップに人は惹かれるんじゃないかなと思い、最近自分も取り入れてみようとこだわっています。作戦を練り、いい意味でお客さまを裏切っていくような、こう演じると思ったらこうくるのかというサプライズを取り入れて、自分なりのトートを作り上げたいと思います」と話していました。

その明日海トートに関しては、小池さんは
「明日海は新人公演で一度トートをやっていることもあり(2009年月組公演)、本日の歌唱披露でもあぶなげなく堂に入っており、自分なりのビジョンを持ってのぞむと思います。彼女はどちらかといえば少年ぽい、アイドル性のあるところが魅力である反面、こもった情念、内側の熱っぽさを外に出せるタイプのスター。篭った情熱を出すトート、クールにみえて内が熱いというものになるのではと思い、そこを楽しみにしています。"艶やかな殺気"のあるトートになるのではないでしょうか。歌唱力ももともとありますが、この作品でますます磨きがかかると思いますので大変期待しています」と期待を寄せます。


ヒロイン・エリザベートは、蘭乃はなが演じます。
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蘭乃さんは「初演から18年、多くのお客さまに愛されてきたこの作品でエリザベート役をさせていただくことを大変光栄に思うと同時に、大きな責任を感じております。明日海さんのトップお披露目公演となりますので、新生花組が素晴らしいスタートを切れますよう、初日まで一日一日を大切に、努力を惜しまず、稽古にはげんでまいりたいと思います」とのご挨拶です。

また、役への取り組みについては
「先日、宝塚歌劇100周年のパーティで、(作曲のシルヴェスター・)リーヴァイさんにご挨拶させていただいたのですが、リーヴァイさんから、エリザベートの魅力は、強さの中に脆さがあるところで、彼女のアンバランスなところに人は惹かれるから、繊細に大胆に作っていってほしいというお言葉をいただきました。私も明日海さんと似たようなことを考えていたのですが、丁寧に緻密に作り上げていけたらいいなと思います」とのこと。

蘭乃さんのエリザベートについては、小池さんは
「彼女は清楚なところが魅力だと思うのですが、同時にキャリアもある。エリザベートというのは若いお姫様というだけではなく、そのあと結婚もし出産もし、夫婦間の問題、親子の問題に悩んでいくという、ひとりの女性としての人生を演じなくてはいけない。それを演じる余裕、受け入れるキャリアを持ったんじゃないかなと思うので、そこを楽しみにしています。とても歌唱も安定してきてるので、見ごたえのあるものができるのではないか」と期待を語りました。


その他の役柄は、フランツ・ヨーゼフに専科の北翔海莉、ルキーニ役に望海風斗、ルドルフに芹香斗亜・柚香光(Wキャスト)が発表になっています。

彼女たちについては小池さんは
「北翔さんは歌も含めて実力がとてもあります。フランツ・ヨーゼフというのは男性の一生を演じていくという意味でとても難しく、社会的な責任を負わされている男性がみたら誰もが感じるであろう苦悩を背負う。そこまでのことを演じるのは、今の彼女はたいへん見事にやるのではないかと思って期待しています。
望海風斗のルキーニは、彼女の持つ歌唱力、シャープな演技力というものが活かされて、たぶんたいへん魅力的でかつ色気のあるルキーニが生まれるのではないかと思っています。
ルドルフはオーディションの結果、若いふたりになりました。芹香斗亜の場合はとてもピュアで素直なところが魅力なのですが、その部分がルドルフの狂気に追い詰められていくプロセスが魅力的に見えるのではないかと思います。たいへん伸び盛りの人なので、これで彼女もまた一段、本格的な大人の男役になっていくちょうどいいタイミングでやれるんじゃないかなと思います。
柚香光は、ルーキーで大変注目されている新人。この人は今は個性の魅力で光っている人。その個性は芹香とはまったく対照的な、ちょっとインパクトの強いタイプです。ですから、たぶんある程度最初から"普通じゃない個性"というものを感じさせるルドルフになっていくんだろうと思います。それがいかにして狂気の世界に追い込まれるところに向かっていくか、というところもまた、まったく芹香とは違う角度から見せていくと思うのでその違いも大変面白いんじゃないかと思います。さらにそれを明日海りおがあしらっていくのですが、明日海トートの対し方も違ってくるだろうから、ふたり(トートとルドルフ)のナンバー『闇が広がる』は多分まったく違う印象のものになるんじゃないかなと思ってとても楽しみにしています」
と、起用の理由を話しました。
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最後に、明日海さんは
「お話を伺った時は、また『エリザベート』に出演できる、こんな幸せがあるんだなと、本当に感慨深かったです。自分は運がいいんだなと思いました。『エリザベート』や『ベルサイユのばら』に出られないで退団していった可能性もあったタカラジェンヌ人生が、こうして3度も出られるということが嬉しい」と、お披露目公演でこの人気作にめぐり合わせたことの喜びを語り、

またこれが退団公演となる蘭乃さんは
「わたくし事ですが、はじめて新人公演でヒロインをさせていただいたのが明日海さんの相手役だったので、まるで初恋の方に再会したような、そんな気分」と笑顔で話しつつも、
「でもそんな浮かれたことも言っていられないので。(娘役人生の)集大成をお見せできればいいんですが、やはりエリザベートという役は、歴代のどの方もすごく苦労して作り上げてきたというお話をたくさん伺っております。私も2009年の月組公演に出演させていただいた時に、お稽古場で凪七瑠海さんがエリザベートに立ち向かっていく姿を間近で拝見していましたので、それが待っているのかと思うと、かなり緊張もします。でも音楽に寄り添ってエリザベートを楽しんで演じられるようになっていけたらいいなと思っております」と話しました。


会見では、劇中歌披露も。
明日海さんによる『最後のダンス』
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明日海さん&蘭乃さんによる『私が踊る時』
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5年ぶりの宝塚での『エリザベート』、期待して待ちましょう!

取材・文・撮影:平野祥恵


【公演情報】
●8月22日(金)~9月22日(月) 宝塚大劇場(兵庫)
 一般発売:7月19日(土)
●10月11日(土)~11月16日(日)東京宝塚劇場(東京)
 一般発売:9月7日(日)

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