■『レディ・ベス』世界初演への道 vol.11■
ミュージカル『レディ・ベス』東京公演も残すところ5日となりました。
ミュージカル『レディ・ベス』東京公演も残すところ5日となりました。
この公演を多角的に追っている本連載ですが、今回は5月9日に行われたトークショーの模様をレポートします。
この日のトークショー参加者は、平野綾、加藤和樹、吉野圭吾、石川禅の4名。
しょっぱなから平野さんが「なんでこのメンバーなんだろう!(石川さんと吉野さんとは)ほとんど絡みがないのに」と疑問を呈せば、加藤さんも「僕も圭吾さんとは...(全然会わない)」と言い、「(吉野さんとは)唯一の会話がスペイン語だし」と平野さんが話し、石川さんが「ココ(石川さんと吉野さん)はガッツリ絡んでいますから」と返す...と、ワイワイキャッキャしだす皆さんです(笑)。
まずは開幕して1ヵ月近くたった感想を。
加藤さんの
「初めて帝国劇場に立たせていただいて、稽古の時にまず緊張して、開幕直前イベントで花總さんと歌わせてもらった時も緊張して。でも本初日もまた全然違う緊張感で、身体がゾクゾクするというか、緊張もありながら楽しさもあって...という感覚でした。でもすごく楽しい。(1ヵ月たって)舞台から見える景色もはっきりと見えるようになってきました」
という感想から...
石川「(加藤さんは)"本番男"だよね」
加藤「そうみたいです。禅さんは以前『ロミオ&ジュリエット』でご一緒させていただいて、今回も「大丈夫か」ってすごく言ってくれて...」
石川「言ってませんよ」
加藤「(苦笑)。...本番は大丈夫だからねって言ってくださって。本当に優しいんです」
吉野「僕にも言ってください、本番大丈夫だからねって!」
加藤「...ここ(石川さんと吉野さん)席、離さない方が良かったんじゃないですか!?」
なんだか客席も(もしかしたら舞台上の平野さん・加藤さんも!?)、石川さん&吉野さんの悪役コンビのトークへの期待感が満ちていて、それに応えるかのように、どんどん話をまぜっかえしていくお二人です。
そんな石川さんは、ずっと盆上にいることが多いということで「なんか坂道で芝居しているみたい。帝国劇場の大道具さんが、帝国劇場で初めて見たこの角度(の盆)、って言ってた。それに加えて衣裳がね...これでだいたい6キロです。さらに袈裟みたいなものを着けると7・8キロ。舞台稽古の時、袈裟を着てトンガリ帽子かぶった時、初めてでした。衣裳着てイライラしたの!」との感想(?)です。
そして吉野さんも、肩に狐がいるため「(体勢が)傾きます!」と話していました。
また、年齢・性別関係なかったら、『レディ・ベス』でどの役をやってみたい/どのナンバーを歌ってみたいか、という質問も。
まず平野さんは
「私、『悪魔と踊らないで』が大好きなので、それを。たまに車の運転をしながら大きな声で歌ったりしています」。
加藤さんは「色んな歌を舞台袖で歌っているんですが。一番歌ってるのは...フェリペの『クール・ヘッド』! 『悪魔と~』もカッコイイので生まれ変わったらメアリーをやりたいです」とのこと。
また吉野さんが「僕は首切り役人やりたいです。存在感だけで勝負!」と言ったところから、首切り役人役の笠原竜司さんの話題へ...。
石川さんが「あの方は実は私たちの中で一番有名な方なんですよ! 『逃走中』ってテレビ番組で(ハンターとして出ている)」と言い、お客さまからも「へぇ~」「ああ!」の声がチラホラ!
さらに平野さんが「わたし、『逃走中』で笠原さんに捕まえられたんです!最後の3分くらいまで頑張って残ったのに!100万円もらえなかったの!」と意外な接点を明かし、
吉野さんが「笠原さんね、首切り役人という役柄が結構ツライらしいです、精神的に。なので楽屋で、楽器吹いてるんです。...オカリナです(場内爆笑)。休憩中にね、ホーホーホーって『千と千尋の神隠し』を...」と知られざる首切り役人さんの裏の顔を暴露!
そして石川さんは「僕はメアリーの歌もやりたいですけど、20歳くらい若かったら、やっぱりフェリペの『クール・ヘッド』ですね」と話したところで、
「禅さん踊れるんじゃないですか!? 最近発声練習のときにあるものを持ってきて...」と平野さん。
すかさず吉野さんが傘(!)を舞台袖から持ってきて石川さんに渡します。
「以前別の舞台でやらせていただいたタップの振りなんですけどね...」と石川さん。
「なんで発声なのに踊りだしたんだろう!ってみんなで言ってるんですよ」(平野)、「昨日びっくりしたもん、あ、傘持ってる!って」(吉野)と、さんざんからかわれながらも、裾をまくしあげてタップを披露してくれた石川さんでした。
ほかには、この日は高校生の団体さんが客席にいるとのことで、皆さんの高校時代についての話題を。
平野さんは「私は大学は最初からここに入りたいと決めていて、高校はその付属に入ったんです。絶対、舞台をやりたいからそのために芸術学部に入ろうと思っていたので。...でも全部推薦で来てしまって受験したことないんですよ。あまりいいアドバイスができないのでごめんなさい」というお答え。
若い頃からしっかり考えてきた方なんですね、平野さん。
加藤さんは「僕は普通の高校生でした。雑誌のオーディションをみつけて軽い気持ちで出して、なんとなく最後まで残っちゃって。ちょうど高校3年生だったのでこういう進路もあるかなと思って。でもいざ芸能界に入ったら、自分に「役者になりたい」とかの目標がなかったので、一度挫折して、道を見失ってしまいました。それで1年半くらいバイトをしていた時に音楽に出会って、今ここにいます。だから好きなものを見つける、それが一番近道になるんじゃないかな」とエールを。
吉野さんも「高校が演劇高校で、そこで3年間演劇の勉強をして、劇団四季の研究生になって。でもそこから演劇って何だろうと思いはじめて、いっぺん、全然違う道にいきました。キャンプ場のお兄さんになりました(笑)。でもキャンプ場のお兄さんをやりながらひとりで森の中でお芝居をやっている自分がいて。それでまた(演劇の世界に)帰ってきました。だから迷っても、いいんじゃないでしょうか」。
こちらも進路に悩める方には力になりそうなエピソードです。
石川さんは「中学生のとき、『宇宙戦艦ヤマト』が流行って声優ブームがあったんです。それで声優をやりたい、声を使う仕事をしたいと思って。でも(声優も)表現なので演劇の勉強をしようとしました。そして一緒に勉強していた連中が新劇系の舞台にいきたい人ばかりだったので、自分もいつのまにか新劇の道に入りました。そのうちにミュージカルやったら、と言われて『ミス・サイゴン』のオーディションを受けた。そうしたら『回転木馬』で看板(主役)をやらせていただいて、それが縁でその声使わない?と言われて、結局声優やらせていただきました」と、めぐりめぐって最初の目標へ到達したという素敵なお話でした!
最後にひと言ずつご挨拶を乞われ、
「楽しんでやりたいです」と吉野さんが簡潔に話し、
石川さんが「先日も(演出の)小池修一郎さんから連絡が来て、心臓押さえて苦しんでいるシーンで新演出が入ってたりしました」と、まだ進行形でどんどん変わっていっているという話をし、
加藤さんも「初日からここまででもかなりの変化・進化がありました。9月の名古屋公演ではどうなってしまうのかと僕たちもすごくワクワクしています」と言い、
平野さんが「素敵な先輩方に支えられて、日々精進できるよう頑張っていますので、ぜひみなさん最後までよろしくお願いします」とご挨拶。
皆さんの楽しいお話に、あっという間のトークショーとなりました。
最後に、誰がベスをエスコートしていくか、ベスの取り合いになる男性陣...。
最終的にはやっぱりこの組み合わせで落ち着きました!
●公演情報●
5月24日(土)まで上演中 帝国劇場(東京)
7月19日(土)~8月3日(日) 梅田芸術劇場 メインホール(大阪)
8月10日(日)~9月7日(日) 博多座(福岡)
9月13日(土)~24日(水) 中日劇場(愛知)