『冬眠する熊に添い寝してごらん』製作発表レポート

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2014年に25周年を迎える、渋谷の複合文化施設Bunkamura。
施設内の劇場、シアターコクーンでは、25周年記念公演の第1弾として、小説家・古川日出男の書き下ろし戯曲を、芸術監督・蜷川幸雄の演出で上演。
その注目作『冬眠する熊に添い寝してごらん』の製作発表会見が11月1日、都内にて行われました。
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●ストーリー●
これは、清濁の血を併せ持つ伝説の熊猟師と、熊、そして犬との聖なる戦いの物語。
熊猟師の子孫である川下兄弟の愛憎が100年の時を超えて絡み合う。
兄とじゃれあいながら、実に楽しそうに笑う弟、その名は川下多根彦。
ライフル競技でオリンピック代表に選ばれた兄、川下一を尊敬し、競技に熱中する兄の代わりにエリートとして育ち、家訓である[25歳で一子を設ける]を実践せんとしている。
兄弟が海をながめるその港は、かつて、越後から放たれる石油が積み出されていた――。
そして語られ始めるのは、100年前の〈欲望するエネルギー〉石油の物語。
祖先である〈伝説の熊猟師〉の自然に翻弄されながらも全てを司るような視点と、兄弟の視線が交差する。
絶対の信頼で結ばれていた兄弟の前に、ひとりの奇妙な女が現れる。多根彦の婚約者、女詩人のひばりである。
惹かれあう一とひばり。兄弟の絆が揺らぎ始める。
その揺らぎは時空を超え、日本の歴史の暗部に光をあてることに――。
北陸の吹雪のその先に見えてくるものは、兄弟の邂逅なのか。それとも――。(チラシより)

脚本は、人気小説家・古川日出男が担当。
古川さん、これが初の戯曲となります。
「僕は福島出身なんですが、高校生の時から、上京すると日生劇場やPARCO劇場で蜷川作品を観ていました。『タンゴ・冬の終わりに』とか。その、雲の上のような存在である蜷川さんが一昨年、突然雲から下りてきて脚本を書いてみませんかと言われて、非常に驚きました。驚いて半年以上返事が出来なかったんですが、年が変わって昨年、やっぱり挑戦してみたいと引き受けました。やると決めた以上、不遜な言い方をすれば、いわゆる舞台の常識には媚びないで作りたい。小説家の持っているイマジネーションというものがどこまでを射程に収めているのかを見せられるものにしたい。書きながら、これはどう演出するのかなと悩んで、でも蜷川さんだからいいか、と放り出しながら(笑)、スケールがデカいままに書きました。正直これは全編蜷川さんへの挑戦状です」と、会見開始早々、古川さんの口から宣戦布告が飛び出しました。

ちなみに古川さん曰く、蜷川作品に共感するポイントは「節操のない壮大さ」とのこと。
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演出は、シアターコクーンの芸術監督でもある蜷川幸雄
古川さんの攻撃的な挨拶を受け、「なんで古川さんにお願いしたのか後悔しています(笑)。読みながら、出来ないぞ、俺はもう降りるぞ! と叫びながら打ち合わせしています」と笑って話す蜷川さん。
「どうするんだよこれ。古川さん。どう演出したらいいんですかと訊きたいくらい。ともかく、不可能なことばっかり。でも、新しい私たちの"イメージ"を探し、このうるさい俳優たちを、なんだかわからないけれど怒っていればいいんだという感じがしています(笑)。ともかくイメージは奔放。場面から場面へはどういうふうにいけばいいんだとか、演出家としては片付けなくてはいけない問題がたくさんあってアタマが...財政もですが、破産しそう。来年もまた迷惑な幕開きになるんじゃないかと。それでも頑張って誰も見たことのない、古川さんのイメージに負けない演劇の力というものをどこかで示していけたらいいなと思います。(キャストに)まかしたよ!」と相変わらずパワフルに話していました。
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さらにキャストに関しては
「上田君は個性が強くて自己主張が強そう。この荒馬を乗りこなす気持ちで彼とは対峙したい。井上君は前やって、さんざん僕の芝居で懲りて、もう出たくないとよそで言っていたので(笑)。今度は優しくするからね。うるさいんです、僕。いい声だからこその井上君なのに「いい声出すな」とかね。杏ちゃんは16歳の可愛い少女の頃から知っています。それがどんどん大人になって、ヒールなんて履いてるのを見ると、ぞっとしちゃう。そういう身内のような感覚です。勝村は、若い生意気な頃からずっと生意気で、ずーっとずっとずっと生意気で、反抗ばっかりしているんですが、ヘンなところが優しくて。危険な時には一緒に仕事をしてくれる。今度は危険な作品ですから、勝村がいるのはどんなに助けになっているかわかりません」
と愛情たっぷりに話していました。


川下兄弟の弟、多根彦を演じるのは上田竜也
蜷川さんの言葉を受け、第一声で「暴れ馬上田です」と挨拶した上田さん。
「僕が現段階で思っている川下多根彦はとてもマジメで、無邪気で、純粋で、そして兄貴が大好きで、恋人が大好きで、その反面すごく繊細な心の持ち主で、心の奥底に狂気を持っている、そんなキャラクター。今回、久しぶりの舞台だということと、初めての蜷川さんの演出作に出させてもらうということで、すごく光栄ですし楽しみ。多少の緊張もありますが、そこは本当に素晴らしいキャストの皆さんを頼りに精一杯努めたい」と意気込みを。


川下兄弟の兄、川下一を演じるのは井上芳雄
井上さんは2003年『ハムレット』以来の蜷川作品出演です。
「とにかくとても緊張しています。10年ぶりに蜷川さんの舞台に呼んでいただけて、今度は何を言われるのかということだけでも緊張しているのに、今作者と演出家の話を聞いて、さらにどうなるんだと緊張が高まってきました(笑)。この緊張をエネルギーにして、何か成し得ることができたらいいなと思います。どうなるかわからないのですが、どうなるかわからないことをできるというのはとても幸せなことだなと思いますので、よろしくお願いいたします」とご挨拶。
井上さんが「ほんとに今、すごい勇気を持ってこの場に立っています。でも呼んでもらえたということが嬉しくて、10年、なんとかこの世界でやってて良かったなと思います」と話しているところに、「嘘つけ!」と茶々を入れる蜷川さん。
対して、「ホントですよ! 僕はもう一生(蜷川作品に)縁がないだろうなと思って、縁がなくていいんだと自分を言いきかせながらやってたんですが、やっぱり呼んでもらえたらこんなに嬉しいんだという気がします」と言う井上さんでした。
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多根彦の婚約者である女詩人・ひばりを演じるのは、蜷川作品には多数出演している鈴木杏
「とにかく大きな山を前に立ちすくんでいる、ロッククライミングのしかも取っ手がなかなか見つからない、どこを頼りに上っていけばいいんだろう、という状態です。台本を開いて、セリフを覚えようとすると、頭から煙が出そうです(笑)。でもこんな壮大な戯曲に向き合うということはなかなか出来ないことだと思っているので、千本ノックを受けると思いますが、そこも覚悟しながら思いっきり楽しみつつ、そして果敢に挑戦していきたいなと思います。どんな舞台になるのか楽しみにしていてください。私も楽しみです」と意気込みを話しました。
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そして高祖父/熊猟師一世役は勝村政信
勝村さん、ご挨拶で「僕は1985年に蜷川さんのもとで芝居を始めたんですが、蜷川さんのもとを離れてから順風満帆な演劇生活が始まりまして、30歳になったときに、男としてどんなすごい役が来るのかなと思ったら、初めてきた役がもぐらでした...。台本を叩き付けさせていただきました。今年50歳になりまして、初めて来た役が、マタギ(笑)。20年ぶりに台本を叩きつけさせていただきました...。できねえよ!」と話し会場を和ませます。
重ねて、「こういう大変な芝居はやっぱり稽古場が重要で、みんなでコミュニケーションをとって楽しく苦しみながら作ろうと思ったのですが、キャストをみたら、杏ちゃん以外女優さんは皆僕より年上です(場内笑)。しかもうちの母親よりも年上の方が何人もいらっしゃいます。もしかしたら年を越す前に亡くなる方もいらっしゃるかもしれません、爆弾を抱えての今回の稽古です。でも苦しみの先にもしかしたら何かがあるのかもしれません。それを期待して観に来ていただければ」と、畳み掛けるように笑いを取っていく勝村さんでした。
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なお蜷川さん、上田さん抜擢の理由は
「私はよく、一緒に仕事ができるちょっとひねくれたキャラクターの人がいないかなとテレビを見ているんですが、以前ジャニーさんが亀梨君をつれて「蜷川さん、この子良いんだよ」と紹介してくれて、そう言われてそのグループ、KAT-TUNを注意してみると、どうも目障りな人が(笑)いて、そういうちょっとひっかかる、素直じゃなさそうに見える人に私は親近感を持つんです。...そうじゃないと、井上君のようにダメ出しが増えたりする(笑)」と話し、さらにジャニーズ事務所のタレント全般について
「タダモノじゃない集団。みんなよく勉強するし、ひとに負けたくないからともかく寝る時間を惜しんで勉強してくるんですね、全員。森田さんも松本君も、二宮君たちもそうです。彼らは単に売れてるだけじゃなくて、今の場を維持し続けていることが大変だというのを本当によくわかっているから本当に努力する。それは中途半端に売れてる俳優と違う。なおかつ一緒にやった人を味方にしてしまう。実に人間的に面白いし、優秀な連中がいる」と絶賛。


それに対しての上田さんの「僕たちジャニーズは、ほかの俳優や歌手の方のようにそれを専門的にやっているわけではないので、人の何倍も努力しないと同じステージに立てないと思っている。人の何倍も努力してやっと同じステージに立てると思っています」というストイックな言葉も、印象的でした。


『冬眠する熊に添い寝してごらん』、公演は
1月9日(木)~2月1日(土) シアターコクーン(東京)
2月7日(金)~12日(水) 森ノ宮ピロティホール(大阪)
で行われます。
チケットはともに11月17日(日)に一般発売を開始します。

東京公演 電話先着先行 受付中!
【受付期間】受付中~11/13(水)23:59まで
【特別電話】0570-02-4481
※S席は空席が少なくなっております。コクーンシートのご購入も併せてご検討ください。

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