――『十二夜』はシェイクスピア作品の中でも人気の喜劇。それぞれの役どころを教えてください。
坪倉「僕の役は伯爵家の執事マルヴォーリオです。普段はカタブツなんですけど、伯爵令嬢のオリヴィアを好きで、それが原因で皆に振り回されるおバカでもあります」
加治「僕はオリヴィアの侍女マライア。年増でしっかりしているんだけど、どこか"数々の男を通り過ぎてきたわ"っていう、色っぽい女の人の雰囲気を出せたらいいなと思ってます」
池岡「男装したヴァイオラに恋してしまう、伯爵令嬢のオリヴィアを演じます。好きになったらひたすら突き進む、明るくてまっすぐな女の子ですね」
――この3人はオリヴィアを中心にした、いわばオリヴィアチームですね。
坪倉「仲いいですよ。2日目でもう、池岡くんに頭を叩かれましたから」
加治「えっ」
池岡「違うんですよー! 坪倉さんに『ハイ』って物を差し出したら、ご自分で僕の手を頭に載せられたんです!」
坪倉「僕は池岡くん(の役)を好きになる役なのでコミュニケーションをとろうと思ってね。でも稽古が進むにつれて、池岡くんが可愛く見えてくるから不思議」
加治「アブない(笑)」
坪倉「本番でメイクして衣裳を着たら、もっとヘンな気持ちになるかも...(ジッと池岡を見つめる)」
池岡「う、嬉しいです...」
――そんな坪倉さんは、今回が初舞台ですね。
坪倉「ドラマなどにはちょこちょこ出させていただいてるんですけど、本格的な舞台は初めて。前々から芝居をしっかりとしてみたいと思いつつ、どうせなら笑いの要素もあるのがいいなと思っていたので、今回のお話はありがたかったです」
――初めての"芝居の稽古場"はいかがですか?
坪倉「もっとピリピリしているのかなと思っていたので、和気あいあいと進んでいくのが意外でした。それは演出の青木さんが僕らのことをちゃんと見ながら、"こういうことをやらせたら面白いんじゃないか"というのを常に考えてくださるからだと思います。体の動きなどに関してはこちらからも言える雰囲気だし、青木さんのダメ出しもなるほどと思うことばかり。芸人としても勉強になっていると感じます」
――加治さんと池岡さんから見た坪倉さんの印象は?
加治「マルヴォーリオのセリフはハンパなく多いのに、淀みなく言っているのを見て驚きました」
坪倉「会話形式だったら言えるんだよ(笑)。シェイクスピア作品ではあるけど、青木さんが台本を現代風に合わせてくれているから言いやすくて」
加治「でもセリフ中の単語の粒立て方とか、観ている人にスッと意味が伝わるように声に乗せられるところは、さすが芸人さんだなと。あとは"間"とか"計算した上での外し方"なども、俳優とは違ったアプローチが興味深いです」
坪倉「いやいや...初舞台なので一生懸命やっているだけです」
池岡「僕は稽古に入る前すごく緊張していたんですが、坪倉さんが気さくに話しかけてくださって安心できました。今では稽古場がすごく居心地よくて、毎日稽古場に早く行きたいと思うほどです」
――その池岡さんは3年前にD2に加入して、今年20歳。今回、主要人物のオリヴィア役に抜擢されました。
加治「マライアはオリヴィアに絡むシーンが多いんだけど、池岡くんには稽古場でもう令嬢オリヴィアの存在感を感じてるよ」
池岡「本当ですか? 実は女役を演じるんだってヘンに意識しちゃうと出来なくなる気がして、単純に、オリヴィアという人間を演じることだけ考えるようにしているんです」
坪倉「稽古中も吸収力がすごいよね。若くて経験値が少ない分、何でもグングン自分のものにしてる。良くも悪くもいろんなことを経験しちゃってる(<我が家>の)谷田部とは違うなって...」
加治・池岡「(笑)」
――加治さんはDステのほか外部の舞台や映像でも活躍中。今回もキーとなる役どころですね。
坪倉「加治くんはえらいですよ。ミッキーさんと僕という先輩たちにはゴマをすり、池岡くんら後輩たちには優しく指導して稽古場を盛り上げてる」
加治「微妙に感じ悪くないですか、俺」
坪倉「(笑)。いや本当に、加治くんがいるからこそ稽古場の雰囲気もいい感じを保ってるんだと思う。僕が俳優さんってすごいなと思うのは、集中力。1時間半なら1時間半、集中力を途切らせることなく役に入り込んでいくでしょう。加治くんにしても芝居に対するアイデアを演出家にどんどん出してくる。僕はコントをやっているから芝居も出来るのではと言われますけど、この2つは全然別物だなって思いますね」
――3人共すでに息がぴったり。同じ事務所ならではのチームワークですね。
坪倉「加治くんとは数年前からよく飲みに出かける仲。池岡くんもつい最近20歳になったので、ようやく一緒に飲みに行けました」
池岡「嬉しかったです!」
坪倉「そういうときも加治が、いろんな人に声をかけて"舵"をとってくれて...」
加治「何か引っかかるものが(笑)」
坪倉「芝居やお笑いの話も色々しているんですよ。俳優としてはもちろん、笑いの面でも実は密かに期待してます(笑)」
そう言いつつも、稽古場での後輩の芝居を見つめる坪倉の顔は真剣そのもの。
加治や、同じくD-BOYS の鈴木裕樹がさりげなく場をまとめ、その言葉に池岡が素直な表情でうなずくなど、キャスト同士が信頼でつながっているのが伝わってくる。
異なる立ち位置から互いに尊敬し合う彼らが、本気で作り上げる舞台。その本番が今から楽しみだ。
取材・佐藤さくら
<紀伊国屋ホール[東京都]>
10月4日(木)~10月13日(日)まで開催!
<ABCホール[大阪府]>
10月17日(木)~10月20日(日)まで開催!
チケットは現在発売中です。
公演終了後にアフタートークが開催されます!
シェイクスピア会
ミュージカル「ロミオとジュリエット」に出演している城田優を迎えて「ヴェニスの商人」や「十二夜」の出演メンバーと一緒に各作品の見どころをご紹介♪
10月7日(月)19:00の回 鈴木裕樹、加治将樹
【ゲスト】城田優
コメディ会
シェイクスピア喜劇作品の十二夜を『我が家』が、坪倉と一緒に伯爵家に仕えるフェイビアン役の山田悠介とともにご案内!
10月9日(水)19:00の回 山田悠介、坪倉由幸
【ゲスト】 杉山裕之、谷田部 俊
その他トークショー詳細はこちら
★稽古場の様子★
稽古場の様子も近日更新予定です!