演出家マイケル・メイヤーも来日!『アメリカン・イディオット』アフタートークショー レポート

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8月7日に東京国際フォーラム ホールCで開幕したブロードウェイミュージカル『アメリカン・イディオット』
グリーン・デイが2004年にリリースした同名アルバムを元に制作されたこの作品、
もともとのアルバムが持つ9.11アメリカ同時多発テロ以降のアメリカに対する政治的・社会的メッセージを柱に、人生の意義を求めようともがく若者たちの葛藤を描く、"今"の私たちに深く突き刺さるミュージカルになっています。
そして、グリーン・デイの楽曲の持つパワフルさも改めて感じとることができますので、ミュージカルファンのみならず、洋楽ファンにもおススメ!

この作品を手掛けたのは、マイケル・メイヤー(共同脚本・演出)。
2007年、トニー賞で作品賞を含む計8部門を受賞(この独占っぷりはすごいことなんです!)したミュージカル『Spring Awakening/春のめざめ』で最優秀演出賞を受賞した、〈トニー賞受賞演出家〉です。

そのマイケルと、『アメリカン・イディオット』で主人公ジョニーを演じているショーン・マイケル・マーレイ、さらに前述の『春のめざめ』日本初演で主人公・メルヒオールを演じた柿澤勇人をゲストに迎えてのトークショーが8月8日夜公演後に開催されました。americanidiot_talkshow00.JPG(なお、同日昼公演後のトークショーには、マイケルに加え、ワッツァーネイム役のアリッサ・ディパルマとウィル役のケイシー・オファレルが登壇しました)

アジアツアーに、オリジナルの演出家がやってくるというのはかなり珍しい!
本日は、そんな貴重なトークショーの模様をレポートします。

こちらがマイケルさん。
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この日もパワフルなパフォーマンスを見せてくれた、ショーンさん。
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柿澤さんは、まず「『アメリカカン・イディオット』、大好きなんです。NYでこの作品を拝見しまして、とりこになって、それからNYに行くたびに観ています。今日で4回目の観劇。今日はまたさらに進化しているというか...作品は成長していくんだなと、ライブなんだなということを実感しました!すごくエネルギッシュで最高でした」
と興奮の面持ちで観劇の感想を話しました。
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そんな柿澤さんの印象を、マイケルさんは
「素敵な人、ビューティフルな人だと思いました。彼の「春のめざめ」はビデオで見たんですが、とても素晴らしい演者だし素晴らしい声の持ち主で、素晴らしいスターだなと思った」
とのことです。

また、柿澤さんが『アメリカン・イディオット』に出るとしたら何の役?という話から、
「でも僕、ギター弾けないんですよね...」と言う柿澤さんに、
マイケルは「ブロードウェイ・ミュージカルでは、(最近の傾向として)だんだん楽器の演奏も俳優に求められるテクニックのひとつになってきているので、徐々に練習していくと自分にとってもいいことだと思いますよ」というアドバイスも。
たしかに演者が演奏もするタイプの作品、増えていますね。
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して、今回の日本公演からジョニーを演じているショーンには、「そばで見ているのと、実際にジョニーを演じるのは違いますか」という質問。
ショーンはアンサンブルとしてブロードウェイの舞台にも立っていました。

「ジョニーになってから"繋がり"を特に感じるようになりました。実は自分自身もジョニーと同じような経験をしたんです。昔、テレビや映画に出ること、それにシンガーソングライターとして自分の力を磨こうと思ってLAの方に引っ越したことがあったんですが、そこで変な人たちと知り合いになってしまって自分を見失ったことが一瞬あったんです。でも自分自身を探さないといけないと思って、大学に行ってちゃんと人間として生き直そうと、またNYに引っ越しました。NYに戻って2週間後に『アメリカン・イディオット』のオーディションが偶然あったんです。そこでマイケルに実際に会ったんですが、自分にとってはいい経験をしたので、この役をいただけたと思っています。実際に自分自身でどん底を味わったので、自分のためにもぴったりの役だと思います。自分はそれからタバコもアルコールもやらなくなって、自分に頂いたこの才能を大事にしていこうと思っています」
と、思いもかけない彼のロング・ヒストリーが飛び出しました。
これにはマイケルも「僕も知らなかった。僕にとっては"ニュース"です」とびっくり。


マイケルには「グリーンデイの楽曲は強くて激しくてタフで大変な歌詞。ここから物語を紡ぐのはとても大変だったのでは?」という質問が出ました。

「一番のチャレンジは、実際にこのアルバムはビリー・ジョーがひとりで歌っているんですが、このショーを作る時にひとりではできない。プラスアルファのキャラクターを生み出したところです。ビリー・ジョーが歌ってる時はひとりの視点で物語が説明されていますが、作品では色んなキャラクターがいるので、このセリフは誰が歌うべきか、この人が歌ったらもう少し意味が深くなるんじゃないか、ほかの見方があるんじゃないか...そういうことを色々と考えたのですごく時間がかかったんです。結構大変な作業でした。
でもビリー・ジョーさんに"ひとりが物語を説明するのではなく、3人の友だちが主人公となってストーリーを語っていく"というアイディアを初めて伝えたとき、すごく気に入っていただいた。その後も、各セクションが出来たら、その都度彼のOKをもらいたかったので、メールでシナリオを送ったりしましたし、彼からの提案ももらったりしていきました。ふたりのコラボレーションで作品が出来たと思います」
と、創作秘話を語るマイケル。
これは貴重なエピソードを訊けましたよー!


そんなビリー・ジョーもブロードウェイではセント・ジミー役として舞台に立ちました。
柿澤さんはその舞台を見ていて、ショーンは実際に共演している!ということで...

柿澤「すごかった!ツバとかも吐いちゃったりして!それがザッツ、ビリー・ジョーだなって」

マイケル「パンクロックですよね!」

ショーン「最初に彼がこの階段の上にセント・ジミーとして現れたとき、一瞬にしてパワーとエネルギーが伝わってきた。彼の実際のストーリーなので、彼は熱意を込めて皆のために演じていました。自分にとっては"チョーサイコー"みたいな感じ。ビリーの声はとても素晴らしくて、実際に週8回公演して1回もミスらなかった、鉄のようなすごい声帯の持ち主でした。実際彼は(俳優ではなく)パンクロッカーなので、もしかしたらそんなに上手くいかないんじゃないかなと思っていたんですが、そんなことはありませんでした。ほんとに大変だと思うんですが、彼は素晴らしい演者でした」

うーん、エピソードを訊いているだけで、すごそうです!
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最後に柿澤さんからマイケルに「マイケルはすごく日本が大好きなんですよ。NYで初めてお会いしたときも一緒にお寿司屋さんにいって。ほんとに日本が好きなんだなと思ったんですが、今後日本のカンパニーでミュージカルや作品を作るつもりはありませんか」という質問。
おお、気になりますね!
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それにはまず、「日本大好き。東京サイコー、東京大好き。お寿司もダイスキ。オイシイ!」と日本語織り交ぜて答えるマイケル。チャーミング!

そして気になる質問の答えは
「実際日本で、日本のキャスト・カンパニーを使ってやりたいなと思ったことはあります。今の段階で何をやるというのはわかりませんが、日本はパフォーマンスでも伝統が深い国でもあるので絶対やりたい。今回、日本に来れて『アメリカン・イディオット』をやれたというのはスリリングな感動を覚えたし、誇りにも思っています。お客さまも素晴らしいので一緒に日本の皆さまとお仕事したい。カッキーみたいにすばらしいスターの人たちともぜひ、実際に一緒に仕事をしたいなと思っています!」
とのことでした。

今後もしかしたらマイケルの作品が日本で観れるかも...!?
期待しちゃいましょう!

『アメリカン・イディオット』は8月18日(日)まで上演中です。
チケットは発売中です。

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