■『エリザベート』への道 2012 第35回■
『エリザベート』、東京公演は終了しましたが、まだまだ公演は9月まで続きます!
この連載もちょこっと更新していく予定です。
本日7月5日は、博多座公演初日です!!
ということで、本日は、6/24に行われた「日韓ルドルフトークショー」(主催:サンケイリビング新聞社)のレポートをお届けします。
画像提供/サンケイリビング新聞社
登場したのは、日本版『エリザベート』より、ルドルフ役:平方元基さん、
そして
韓国版『エリザベート』より、ルドルフ役:キム・スンデさん。
3月には韓国にてトークショーを行い、親睦を深めたというおふたり。
今回は日本の地でトークショーを開催です。
平方さんは昨年の『ロミオ&ジュリエット』ティボルト役でミュージカルデビュー。
スンデさんも『ロミオ&ジュリエット』でティボルトを演じている...ということで、共通点の多いおふたりはすでに息もぴったり!
お互い、言葉が通じないはずなのにふたりで話してふたりで笑いあっている、と司会(兼通訳)の女性が言うほど、だそうです。
3月の韓国でのトークショーの際に平方さんが韓国版『エリザベート』を観劇、
今回はこのトークショーの前日にスンデさんが日本版『エリザベート』をご覧になったそうです。
「3月の時は(日本版は)まだ歌稽古が始まったばかりの段階で、無責任に「観に来て観に来て!」って言ったんですが、(本番が)始ってからはますます観に来てほしいなと思ったし、まさかこうやって実現するとは思ってなかった」
と平方さん。
スンデさんも「僕も約束を守ることができて嬉しい」との言葉。
それぞれの国・舞台の印象は、平方さんがまず韓国の印象を
「街がパワフル。都会的だけど、人が生き生きしている。それがお芝居にも生かされてるのかな。国民性が元気がいいのかなと感じました。舞台もだけど、特にお客さんが衝撃的だった(笑)。カーテンコールも「うぉー!」って感じ。韓国だとカーテンコールは2回くらいしか幕が開かないけど、その2回に皆さん全力をこめて役者に声援を送っている。(感動の余韻で)泣いてるヒマがないんです!」。
スンデさんは日本の印象を
「韓国は「今、嬉しいです、楽しんでますよ」というのをアピールするんですよね。反対に日本のお客さんは感動してらっしゃるんですが心の中に押さえておく、舞台にいる俳優に拍手で尊敬を伝えようとする、その姿が印象的で感動的」と話していらっしゃいました。
こちらは3月、韓国でのお写真。
この時、おふたりはルドルフのパートの歌詞を交換したそう。どんな歌詞ですか?と平方さんがスンデさんに訊いたら、公演中にも関わらず、ルドルフのパートの歌詞を手書きで書いてきてくれたとのことで、
「僕もお返しに何かできないかなと思って、スンデさんにも日本のルドルフがどういう歌詞で歌ってるのか知ってほしくてホテルの封筒と便箋で(笑)書いたんです」と平方さん。
スンデさんは「平方さんはこれから稽古に入るということだったので、何かルドルフの役作りをするときに役に立てばいいなと思って。そうしたら平方さんも新羅ホテルの便箋に(笑)書いてきてくださってそれもすごく嬉しかったのですが、最後に、「僕を温かく迎えてくださってありがとうございます。ヒョン(兄貴)と呼んでいいですか」という言葉が書いてあって、それがとても嬉しかった」と話していました。
もちろんトークショーでは『エリザベート』の話題もたくさん。
日本版と韓国版ではかなり違う部分があるそうで、
「(日本版は韓国版にはない)『愛と死の輪舞』があることで、エリザベートの世界感にぐっとひきこまれるし、エリザベートとトートの関係性がわかりやすくなる。ルドルフのシーンも、こうも違うのか、と思いました。『ママ鏡(僕はママの鏡だから)』のシーンも、日本版だとママが帰ってきてルドルフが会っちゃうんですが、韓国版だと会わないんです! ママに僕が問いかけたらこう返ってくるんじゃないかっていう、ルドルフの頭の中のことをお芝居にして表現している。日本版の台本しか見ていなかったので、解釈をする上ですごくヒントになりました」と平方さん。
スンデさんも「大きく言うと韓国のエリザベートは太く濃く強く、それをアピールする。観やすくするためにポイントをガンっと見せる。日本の方は10年以上ずっと愛されてきて、繊細でディテールが生きていて、細かくて、ちょっと高級な感じがします。元基のルドルフも、ルドルフの内面の悩みや不安をよく表現していて素晴らしかったと思うし、日本のお客さんが本当にルドルフという役を愛してくださっているんだなと思って「嫉妬」しました(笑)」と話します。重ねて平方さんも「ルドルフという役は、日本の『エリザベート』としてすごく愛されてるなと思いました。あの青色の軍服もお客様が注目しなければそこまでルドルフの色として定着することもなかったし、そこはお客様が見てくださってるキャラクターだからこそですね」とルドルフ役について話していました。ちなみに「嫉妬」という言葉、スンデさん、覚えたばかりだそうで、その後も何度か使っていました(笑)。
『ママ鏡』のシーンはその後もう少し詳しく話していて、
平方「最初にママを見たときは、ママに打ち明けるか、自分の中で抱えてたほうがいいのかと葛藤するんですが、ママが帰ってきたことに対して僕の気持ちをママに伝えたいってところから、ママに近づいていくんです。そうすると、ちょっとお話を聞いてくれそうなママがいて、「打ち明けるよ」となるのですが、そのあとのひどい拒絶(笑)。ほんとに辛くて!」
スンデ「お客さんの目からみて(日本版のように)ママが目の前にいて拒絶されるのが切ないのか、(韓国版のように)鏡という媒体を通してママがいるように想像するのが悲しいのかそれはわからないですが、韓国の演出のコンセプトは一回もママに会っていないという悲しさを表現しています。一度でいいから会いたい、という気持ちが強い。自分のルドルフはお母さんを一度も正面で見たことがない、という設定なので、日本のルドルフが羨ましかったです」
とそれぞれのバージョンについて、自身の思いを語っていました。
また、稽古の方法もまったく違っていて、
平方「日本の方が短い。1ヵ月あるかないかってくらい。でもその前にスコアブックをもらって、歌の練習したりします」
スンデ「韓国で作品作るときは8・9週間かけます。今回も8・9週間やりました。日本は稽古前に個人的に練習してみんなであわせる。でも韓国は最初のスタート地点からみんな集まってやります。朝から晩まで家族よりも一緒にいるので、そこで絆や一体感が生まれます」
とのこと。
イベントでは、スンデさんが韓国語で「僕はママの鏡だから」「マダム・ヴォルフのコレクション」や、日本の歌で好きだという「雪の華」を歌ってくれたり...
(シャワーを浴びながら歌う、というスンデさんに、平方さんがシャワー役を買って出たり・笑)
じゃんけんで勝った(といいますか、平方さん/スンデさんとあいこを出し続けた人)1名さまには2ショット写真を撮る権利が与えられたり...
(こちらが2ショットポーズ。平方さんとは、平方トート&お客さまルドルフ、スンデさんは、スンデ・トートとお客さまシシィ、しかもお姫さま抱っこバージョン!客席、ものすごく盛り上がりました)
ほかにも握手会、プレゼント大会、と盛りだくさん。
そしてふたりから歌のプレゼントも。
『ロミオ&ジュリエット』より『世界の王』を日本語で披露!スンデさん、きれいな日本語です!
歌い終わった平方さんも「楽しいですね、『世界の王』!」と満面の笑顔。
スンデさんも「すごく緊張したし日本語のプレッシャーもあったんですが、初めてのトークショーなので頑張って歌おうとすごく練習しました。平方さんがリードしてくれて、楽に歌うことができました」とにっこり。
最後に
平方「もう、あっという間で、ヒョンとお話する時間がこんなにも早く流れてしまうんだなと思ったし、その時間を皆さんと共有できたというのも僕にとってすごく思い出の一日になった。これから旅公演が3ヵ月ありますが、ヒョンとお話した中で生まれた気持ちや色々なものをちゃんと自分の中で整理して頑張っていきたいと思える1日になりました。力をくれてありがとうございました」
スンデ「日本で、はじめて弟と思える人に会いました。まず(日本に来るという)約束を守ることができてすごく嬉しいです。今回僕はこのように韓国のミュージカル俳優として初めて来たのですが、これからはこのような機会があると思います。日本と韓国のミュージカルが一緒に融合して手をとりあっていい方向に向かえばいいなと思っています。今日は本当にありがとうございました」
と挨拶して、2時間の充実トークショーは終了しました。日本の舞台にも韓国のお客さまはいらっしゃっていますし、
韓国のミュージカルを観にいく日本のお客さまも最近多いそうです。
日韓ミュージカル界の交流、これからも増えそうで楽しみですね。
日本版『エリザベート』、公演は7月5日(木)から26日(木)に福岡・博多座、
8月3日(金)から26日(日)に愛知・中日劇場、
9月1日(土)から28日(金)に大阪・梅田芸術劇場 メインホールで上演されます。