『朗読劇 私の頭の中の消しゴム 4th letter』開幕! 2人の愛の軌跡を見守る2時間

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ゴールデンウィークの合間である5月2日(水)、東京・天王洲 銀河劇場にて『朗読劇 私の頭の中の消しゴム 4th letter』が開幕した。
韓国映画として大ヒットを記録した『私の頭の中の消しゴム』。もともとは日本の連続ドラマ『Pure Soul~君が僕を忘れても~』をリメイクしたもの。このドラマの放映が2001年だから、この作品は国を超え、時代を超えて10年以上も愛され続けているストーリーということになる。
『朗読劇 私の頭の中の消しゴム』は2010年5月に最初の公演を行って以来、この2年間のうちに再演が重ねられ、これで4回目。これまでも役者、ミュージシャン、声優と様々なジャンルからバラエティに富んだキャストが主人公の浩介と薫の二人を演じてきた。今回の組み合わせは、米倉利紀×馬渕英俚可、中河内雅貴×平山あや、鈴村健一×知念里奈、福士誠治×安倍なつみ、鈴木亮平×沢城みゆき、福山潤×市川由衣の6組が2回ずつ、計12公演が行われる。
夜になるにつれて雨の強まる中、天王洲 銀河劇場に集う観客たち。公演初日だけですでに米倉×馬渕ペア、中河内×平山ペアが公演を行っている。

【写真は中河内×平山ペア】naka-hira0503-01.JPG
この作品に関わった人や複数回観た人は口を揃えて「同じ脚本でも、キャストによってこんなにも違うのかと驚く」と話す。日中の二組はどうだったのだろう? なんて思いながら席に着く。
本日の3公演目は鈴村×知念ペア。『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』のシン・アスカ役や『銀魂』の沖田総悟役など、押しも押されぬ人気声優の鈴村健一と、『ミス・サイゴン』や『レ・ミゼラブル』など、ミュージカル女優としての活躍めざましい知念里奈。いずれもジャンルは違うが「声」を仕事にしている2人。知念は2年前の今作初演時、貴水博之とのペアで出演して以来二度目の出演となる。パンフレットでも「2年分の様々な経験を持って薫をより理解し、表現できることが楽しみです」と意気込みをみせている。

【鈴村×知念ペア】gekipia0503-01.JPG

※ネタばれの内容も含まれる為、ご注意下さい。

舞台上には全面にうっすらと装飾の入った白一色のセット。よくよく目をこらしてみると、壁一面に新聞が塗り込められているようだ。中央に2脚の素朴な木の椅子。下手側の壁にはたくさんの付箋が貼られている。
開演のブザーが鳴ると、ほどなく浩介役の鈴村が軽やかに登場する。淀みなく明るい調子ではじめられる朗読。そして薫役の知念も登場。「〇月〇日」と必ず日付から入るところを見ると、日記を読んでいるという形式らしい。2人とも手元には朗読台本を持っているが、どうやら自分のものではなく、相手の日記を読んでいるようだ。

【鈴村健一】gekipia0503-03.jpg

【知念里奈】gekipia0503-02.jpg
お互い最悪の印象しか持たなかった出会いの場面の途中で、お互いが持っている冊子を取り替えて、自分の日記を読み始めるシーン。ここで、浩介が薫に冊子を渡そうとして渡さないフェイントをかけ、客席からはクスクスと笑いが起きた。
そこからは2人とも椅子に腰かけ、互いに惹かれあっていく様子が言葉だけで交わされる。2人の気持ちが重なる時、それまでピンスポットで照らされていた舞台上がパッと明るくなり、こちらの気持ちもぐっと盛り上がる。
ひと際客席が沸いたのは、浩介が日記の中に登場する後輩や親方の声をつくって語ってみせたところ。若い軽そうな男の声、年配の頑固そうな男の声。たったワンフレーズだけれど、鈴村の本領発揮! 半ば悪ふざけとも思えるほど声色を変えて演じる姿に会場は盛り上がった。

【鈴村健一】gekipia0503-05.jpg
お互いの気持ちを確かめ合った後、デートを重ねるパートの昂揚感。その明るさ、掛け合いのテンポのよさが、その後急転直下で気持ちがすれ違い、離ればなれになるシーンとの対比をより鮮やかに見せていた。
特筆すべきは、結婚は絶対にしないと決意していた浩介が、薫との結婚を決めるシーンの緊迫感。薫が頭痛で倒れた瞬間に出くわした浩介が「薫を失いたくない」と結婚を決意するのだが、この作品を観に来ている人は、ほとんどが「薫が記憶を失くしていく」という展開を知っていることだろう。その不穏な未来の予感を、舞台上の2人だけは知る由もない。それだけに、明るい未来を思い描く2人の切なさが浮かび上がる。
それにしても、ほとんどのパートで座って正面を向いている2人が時折立って向き合う時、ことさらドキッとしてしまうのはどういうわけだろう。2人の声によって、頭の中でつくりあげられた「動く浩介と薫」が、実際に目の前に立ち現われるからだろうか。この、要所要所で向かい合う2人の姿はストーリーの区切りとしてとても効果的だったように思う。
薫が記憶を失くしはじめ涙声で戸惑うシーン、それから浩介が病気のことを知ったシーンで客席から聞こえてきたすすり泣きの声は最高潮になった。相手が日記を読んでいる間、無言で待っている間の薫にも変化が現れる。ぼんやりとした、焦点が定まっていないような目をしてたたずんでいる薫。次第に物事を忘れていく様子を視線だけで感じさせた知念は、まさに迫真の演技。

【知念里奈】gekipia0503-04.jpg
激情をぶつけ合い、穏やかにいつくしみあい......あまりにも起伏の激しい2人の数年間。声だけで味わったはずなのに、公演が終わった頃にはすっかり2人の全てを見てきたような気持ちになってしまった。と同時にさらなる興味もわいてくる。他の日の浩介と薫は、いったいどんな軌跡を見せてくれるのだろう?

公演は、5月7日(月)まで天王洲 銀河劇場にて。

取材・文:釣木文恵

【中河内雅貴×平山あや】naka-hira0503-02.JPG

【中河内雅貴】naka-01.jpg

【平山あや】hirayama-01.jpg

【中河内雅貴】naka-02.jpg

【平山あや】hirayama-02.jpg


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◎鈴村健一さんインタビュー

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