【げきぴあニュース】
劇作家・演出家・俳優の野田秀樹(56歳)さんが、2006年ロンドン初演の"THE BEE"(英語上演)で、劇団夢の遊眠社結成から36年の演劇人生で初のワールドツアーを敢行。ワールドツアー開幕のニューヨークでは、世界各国から実験的なコンテンポラリー作品を数多く招聘する演劇フェスティバルであるUnder the Radar Festival(アンダー・ザ・レイダー・フェスティバル)のオープニング・プログラムとして上演されました。
■詳しくは公式サイトにてご確認ください。
ニューヨーク時間の1月5日、"THE BEE"(脚本・演出・出演:野田秀樹)ワールドツアーの開幕となるニューヨーク公演が開幕しました。9.11とイラク戦争に触発された、世界情勢の鏡のような作品であり、「9.11から10年を経てもビンラディン殺害のニュースを見て快哉を叫ぶニューヨーカーの姿を見て、10年間何も変わっていないアメリカの姿に愕然とした。しかし、その映像を見て、苦々しく思っているアメリカ人もいるはず。ぜひこの作品をニューヨークで上演したい、いろいろな思いを抱えているニューヨーカーに観てほしい」と野田さんは語っています。
左からグリン・プリチャード、キャサリン・ハンター、野田秀樹(Photo:Michel Delsol)
野田さん初めてのワールドツアーは、英国人俳優とのワークショップを重ねて創り、英国で初演した作品らしく、ニューヨークと香港では演劇フェスティバルへの正式招待作品として上演、初演を行ったロンドンのソーホー・シアターでは、日本人作・演出の舞台作品としては異例の約3週間の公演を行います。
なおワールドツアーの掉尾を飾るのは、東京公演です。
日時:2月24日(金)~3月11日(日)
場所:東京水天宮ピット 大スタジオ
●野田秀樹さんのコメント
----ニューヨーク公演初日開幕直後の感想----
「前日のドレスリハーサルが、思っていたようなできにはならなかったので、突然、自信を無くしてしまったんだよね。時々あるんだよね。そういうこと。それで、昨日の夜は眠れませんでした。今日の初日の芝居は、非常に良い出来だったので、いままでやってきたことが間違いなかったと確信できました。あとは、ニューヨークのお客さんが今日の観客たちの評判を聞き、この作品を観にきて、どんな反応をしてくれるのかが楽しみですね。」
初日レセプションパーティでアメリカ人演劇関係者と談笑する野田秀樹(Photo:Michel Delsol)
----これからの日本の演劇について----
「蜷川さんは、蜷川さんのギリギリまでやっている。僕も、今の自分のやれることはぎりぎり限界までやってきた。これからの若い人は、今の自分より、もっと先にいけると思う。
僕も、最初は一人で海外に飛び込んで、海外の人たちと始めた。
間違っていることもいっぱいあったけど、続けてみることで、今の成果に繋がった。」
----次に考えてることは?----
「今後は、日本でやってる規模の大きい作品を、日本のカンパニーで海外に持っていきたい。」
----キャサリン・ハンターさんについて-----
「ここまでこれたのは、単なる通訳がいれば、話が通じるということではなくて、文化的な翻訳者として、キャサリン・ハンターが、一緒に作品を作ってくれるということが非常に大きかった。」
----[観客のコメント]----
(若い女性のニューヨーカーが、直接野田さんにお話ししてくれたコメント)
「この作品は、今のニューヨークには、必要な作品。最近のニューヨークでは、テクニカルなものによる作品が多いので、"THE BEE"のような、役者の身体や、シンプルなセットでみせる、演劇的な芝居は、絶対に多くの人が観るべきだと思う。」
「ワールドツアー」のチケット情報→
ワールドツアーの後、宮沢りえさん、池田成志さん、近藤良平さんが出演する「ジャパンツアー」も予定されています。
「ジャパンツアー」のチケット情報→