帝国劇場100周年の記念の年のラストを飾る『ダンス オブ ヴァンパイア』。
ウィーン発の人気ミュージカルで、日本では2006年に初演。
初演時の千秋楽には、当日券を求める観客が1200人以上列を作ったという、人気作です。
物語は、ヴァンパイアの故郷・トランシルヴァニアが舞台。
ヴァンパイアを研究しているアブロンシウス教授と、その助手のアルフレートが大雪に遭難して宿屋へ転がり込んでくる。
宿屋では村人たちが陽気に「ガーリック、ガーリック♪」と歌っているが、なんだか様子がおかしい...?
そんな中、アルフレートは宿屋の娘・サラに一目ぼれ。
しかし、サラに目を付けていたのは彼だけではなく、もうひとりいた。
それこそが、ヴァンパイアのクロロック伯爵で...。
クロロック伯爵とアブロンシウス教授の対決を軸にした作品ですが、登場人物が揃いも揃って、変な人ばかり!
教授はエキセントリックすぎるし、アルフレートは気が弱くてスポンジに翻弄されるし、「ここを出たい」と自由を求めるサラは、その自由が「好きな時にお風呂に入ること」だったりするし。
ほかにも伯爵の手下・クコールさんや、伯爵の息子・ヘルベルトなど、クセのある人たちのオンパレード。
でも共感できる恋愛模様があったり、ちょっと哲学的なことが潜んでいたりと、噛めば噛むほど味の出るミュージカルなんです。
主役のクロロック伯爵は、日本初演から変わらず、山口祐一郎。
その存在感、時に見せるチャーミングさなど、山口さんしかいないでしょう!というハマリ役です。
山口さんは「みなさんに少しでも元気になっていただけるなら何でもしますと(演出の)山田さんにお話したんですが、横に知念さんと高橋さんがいらしたこともあって『山口さんに何でもしますと言われても僕は......』と言われてしまいました(笑)。またお風呂のシーンもあることですし、高橋さんと知念さんには心意気でぜひ頑張っていただいて、みなさんにエネルギーをお伝えすることができれば」とご挨拶。
伯爵と対決するアブロンシウス教授は石川禅。
前回の再演から参加している石川さん、初演時に市村正親さんが演じた役を引き継ぐことがプレッシャーだったようで「忘れもしません2年前の初日、(登場の)雪の中で凍りついた状態でアルフレート君の背中で固まってるシーンで、俺はいまここで何をしているんだと本当にフリーズしてしまったことをいまだに覚えております...」というエピソードを。そして
「2年たって今度は私が愛ちゃんや育君とか、新しいメンバーを迎える立場になりました。きっとこの新しい方たちが僕に新しい勇気をくださると思います。どうぞお越しいただければと思います」と話していました。
山口さんと石川さんは『レ・ミゼラブル』でバルジャンとジャベール、『エリザベート』でトートとフランツと対決する役を演じることが多いことから、「今回の対決への意気込みを」という質問も。
石川さんが「2年、歳をとりましたので...」と言ったところで山口さんが、
「あんまり年のこと言わないで! 最近どんどん衣裳がね...赤い衣裳が多いんですよ。ちょっと早いんじゃないの!?と思うんですけどね、もうじき赤いの着ますから。今回は黒いので良かったなと思うんですが。でも、まあ、歳のことはいいじゃないですか」。
石川さん、大笑いしながら「...深みのある対決になればいいなと思ってます。...でも仲良しです」と応えてました。
さて、クロロック伯爵が狙う乙女・サラは知念里奈・高橋愛のWキャスト。
知念さんは前回に引き続き、高橋さんは今回が初参加です。
知念さんは「帝国劇場であんなにお客さまと笑顔で見つめあえるなんて初めての経験で、とても楽しい思い出がたくさんあります。また新メンバーも加わるので、皆さんと帝劇100周年最後にふさわしい公演になるといいなと思っています」、
高橋さんは「私はモーニング娘。を卒業して初めてのミュージカルです。しかも帝国劇場100周年、さらに12月ということで今年を締めくくる作品に出ることができて、すごく幸せに思っています。みなさんに笑顔になってもらえたら。頑張りますのでぜひ観に来てください」
とそれぞれ挨拶。
サラはお風呂大好き!な一風変わったヒロインですが、18歳ということで、高橋さんは「私は25歳なので、サラは7歳下。お風呂のシーンがあるのですがすごいセクシーにみせなきゃいけない、でも(18歳なので)かわいくもあり、という私にはないものを知念さんを研究してやりたい。知念さんはすごくチャーミングですごく色っぽいなと思うので、そこらへんを盗まなきゃといつも研究させていただいています」とも話していました。
アブロンシウス教授の助手・アルフレートは浦井健治と山崎育三郎。
浦井さんは初演から、山崎さんは今回からの参加です。
浦井さんは
「お客さまとスタッフさんたち、全員がお祭り騒ぎで盛り上がって、みんなで作り上げてきた作品だなと本当に感じています。アルフレートという役は成長の度合いをちゃんと考えて演じていかなくてはいけないのですが、でもコメディであり、ネオゴシックホラーでもあり、哲学的な要素もあるこの作品なので、あまり堅苦しく考えずに山田さんの演出の下、頑張っていけたら。とにかくスポンジとTバックには気をつけて(笑)、頑張っていきたいと思います」。
スポンジに翻弄され、Tバックに悩まされる役なんですね、アルフレート君。
山崎さんは「言おうと思ったことをすべて健ちゃんが言っちゃったので言うことがありません...」と苦笑。
そしてどういうアルフレートにしたいか?という質問には、「アルフレートは弱々しくてちょっとおばかさんで頼りなくて、可愛らしい青年なんです。僕はですね、肉食系!アルフレートでいきたいと(一同笑い)。...初日あけてまったく違うアルフレートが登場してるかもしれませんが、今は、僕だっていけるんだぞ!という気持ちでサラにぶつかっていきたいなと」という意気込みを話してくれました。
演出は今年も大忙しだった山田和也さん。現在も帝劇で上演中の『ニューヨークに行きたい!!』を手がけていらっしゃいます。今年の帝劇は山田イヤーだったと言っても過言ではないかと思うのですが、なぜか机の上には「嘘つき演出家」の文字が...。
山田さんは
「まずはすごく力強く心に訴える音楽。今回も改めて皆さんが歌ってらっしゃるのを聴いて、音楽にひきこまれる強さがあると思っています。2つ目にダンス。ダンスシーンの華やかさ、見事さ。そして、そういう音楽の強さ、ダンスのダイナミックスさを含んだ物語の奥深さ。表面的にはヴァンパイアを倒す教授と頼りない助手の珍道中という形になっていますが、そこでいろいろ事件に遭遇する中で、人生のダークな部分や、哲学的な部分を、観ている人がふと思い浮かべるような瞬間があったりして、その次の瞬間には大笑いするような瞬間がやってきて、そうかと思うとエロティックなシーンがあったり、身も凍るような恐怖の瞬間があったり、そういうものがないまぜになっている。そしてどこかへ向かって一気に進んでいくという作品全体の作りが魅力なんじゃないかなと、改めて稽古しながら思っています」
とこの作品の魅力を語ってくれました。
会見では、「役に対する思いを一言で"叫ぶ"としたら」なんていうユニークな質問も。
その質問に対し「おおおぉぉぉー!」と叫ぶ山口さん。↓
他は
知念「咬まれちゃえー!」
高橋「お風呂、大好きだね!」
浦井「スポンジ最高だ~!!」(ここで場内から拍手!)
山崎「サラー!!!」
石川「このKY男、がんばってんな!俺もがんばるぞー!」
みなさん、ちゃんと叫んでました。サービス精神旺盛です。
他にも、「どうしても"抑えられない欲望"は?」なんて質問もありました。
山田さんの「製作発表とかのまじめな席で耳をつけてしまう癖が抑えられない」という珍回答、山口さんの「あまりに正直なことを言うとみなさんがしらーんぷりする...」というかわし、知念さんの「お風呂あがりのビール」という男前な回答、高橋さんの「お買い物」、浦井さんの「喫茶店をめぐってコーヒーを飲むこと」、山崎さんの「浦井さんに近いですがスタバに行くこと...じゃ、今度一緒に行きましょうか!」など、バラエティに富んだお答えで、作品同様、個性豊かなキャストの皆さんの横顔が垣間見れました。
会見のあとに行われた囲み取材では、改めてこの作品の魅力を山口さんが
「今日の製作発表でも皆さんが温かく包んでくださった。本当に皆さんに愛していただける作品」「製作発表で出演者が全員叫ぶなんて僕も初めてききました(笑)。でもそれをやっても顰蹙を買わない、チャーミングな作品」と話し、「何がその魅力なんだろうと、まだ確信はないのですが、でもそういう素敵な魅力のある作品にまた今回もなるように、みんなで全力で取り組んでいます」と意気込みを。
モー娘。を卒業して初仕事となる高橋さんは「私は初演を観させていただいています。その時にすごく楽しくて、客席も一緒になってひとつの物語ができあがっているという感じがしたので、そういう作品に今度は私が出演できる、卒業してひとりで歩かなきゃいけないというときにこういう作品にめぐりあえて幸せです。しかも、やっぱりひとりじゃないんです。キャストの皆さんがいてくれたり、スタッフさんが優しく教えてくださったり。みんなでひとつのものを作るというのは変わらないし、その楽しさは知っているので、それがまた出来ることができて、すごく幸せ」と話していました。
現在のお稽古場は「本当に面白いことが多くて、自分がやっていても笑ってしまうというのが昨日起こってしまったので、今のうちに慣れておかなきゃ...」と山崎さん。ちなみにムードメイカーは誰?という質問では皆さんが
「祐さん?」「祐さん」「祐さん」
と口々に。
その山口さんは「あれだけ平気で製作発表でみんな叫びだすなんて、ないよね。ムードメイカーはひとりひとり、というか。これだけムードメイカーがいっぱいいていいんでしょうかね、という状況」と話していました。
公演は11月27日(日)から12月24日(土)に東京・帝国劇場、1月7日(土)から12日(木)に大阪・梅田芸術劇場 メインホールにて上演。チケットは東京公演分は発売中、大阪公演分は11月13日(日)に一般発売開始です。
最後に。
製作発表ではアルフレートとサラによる楽曲披露もあったのですが、
ニュースではサラちゃんたちのお写真を掲載しましたので、こちらではアルフレート君たちのお写真を掲載!
↓
げきぴあではこの作品も、他の帝劇100周年ラインナップと同様、追いかけていく予定です!