■見なきゃ損!話題の公演■
注目の劇団、というのはその時代時代で数多くあれど、ここ最近、演劇界の枠を飛び越えての注目度ナンバーワン、といえば東京セレソンデラックスだろう。
主宰・宅間孝行が生み出すその作品群は、笑って笑って最後にホロッときて、どこか古きよき日本の懐かしさすら感じさせる。その手腕に映像界からのラブコールは早く、手がけた脚本はドラマ『花より男子』など数多く、中でも劇団の舞台を連続ドラマ化した『歌姫』(長瀬智也主演)はギャラクシー賞マイベストTV賞グランプリを受賞した。
そんな東京セレソンデラックスと、東宝が初タッグを組んだ。その名も「東宝セレソンデラックス」。『JOKER』のタイトルで2001年に初演された、暗転なしノンストップシチュエーションコメディを、タイトルも新たに『わらいのまち』と冠し、片桐仁・岡田義徳・柴田理恵・田畑智子ら豪華ゲストを迎え上演する。
物語は田舎町の温泉旅館「まつばら」が舞台。
この寂れた旅館に国会議員の大関代議士が泊まりにくることになった。町の未来をかけた町おこしイベントを視察することになったのだ。このイベントが成功すれば町おこし資金が県の予算に組み込まれるとあって、町おこしの実行委員長を務める「まつばら」の主人にして三男の信雄をはじめ旅館の人間たちは大喜び。そんな中、"疫病神"とあだ名されている長男・富雄が帰ってくるらしいという知らせが入ってくる。とにかく大関先生と富雄が鉢合わせしないようにと大慌ての「まつばら」の面々だが、行き違い、勘違いの交錯で話はとんでもない方向へ...。
稽古場には旅館の入り口付近らしきセット。古ぼけた自動販売機やお土産物などが置かれ、すでに"寂れた旅館"...というか、レトロなにおいがぷんぷんしている。どうやら物語は後半らしい。誤解が誤解を呼んでるらしい。とある客が早くここから逃げなきゃ! と大騒ぎ。その思考回路、言い方etcがとても面白いのだが、その面白さをさらに追求したいのだろう、宅間からは細かい要求が飛ぶ。どのタイミングでどう動くのが効果的か、時に自身で実際にやってみながら宅間は細かく演出をつけていく。
さらに、コミカルの中にも宅間はリアリティにこだわる。怒るセリフをただ怒って読むのではない、と言う。「何を受けて怒ったの? (相手役の)何にキレた? 態度か、言葉か、顔か。態度ならどの一瞬が気に障ったんだよ。それはお前の中で決めていいから、それが役作りというものなんだから。その発見がないとテンションがあがらないぞ!」と俳優にハッパをかける。
その後、シーンは変わり、ここではコメディの王道とも言うべき、際どいタイミングでのすれ違いが描かれる。
ここでも宅間のこだわりが炸裂。一方が登場するのは、もう一方がドアに手をかけた瞬間かはたまたドアが閉まった瞬間か...。微妙な違いでより面白さが際立つ方を見極めていく。
汗だくになりながらもフットワーク軽く「こうした方がいいですかね!」と積極的に案を出していく岡田義徳が爽やかだ。
これぞドンピシャ!とタイミングが合った時には、自然と稽古場中から拍手が沸きあがった。
宅間が何度も繰り返し俳優に訊いていたのは「モノローグは?」という言葉。その時その時のキャラクターの芯となる感情を俳優にしっかりと認識させた上で、セリフや動きをつけ、その結果リアリティが生まれていく。
厳しい言葉がポンポン飛び出すが、稽古場の雰囲気はけして暗くはならない。宅間が怒鳴った10秒後に爆笑が起こるような、不思議な稽古場。本人も良く笑う。俳優たちも良く笑う。
セレソンの舞台に一貫して温もりが感じられる理由が、わかるような気がした稽古場だった。
公演は9月4日(日)に東京・シアタークリエにて開幕。その後、札幌、名古屋、大阪、広島、福岡でも上演されます。
チケットは現在発売中です!
↑こちらは、出番ではない稽古を真剣に見つめる、片桐仁さん&柴田理恵さんでした。
この寂れた旅館に国会議員の大関代議士が泊まりにくることになった。町の未来をかけた町おこしイベントを視察することになったのだ。このイベントが成功すれば町おこし資金が県の予算に組み込まれるとあって、町おこしの実行委員長を務める「まつばら」の主人にして三男の信雄をはじめ旅館の人間たちは大喜び。そんな中、"疫病神"とあだ名されている長男・富雄が帰ってくるらしいという知らせが入ってくる。とにかく大関先生と富雄が鉢合わせしないようにと大慌ての「まつばら」の面々だが、行き違い、勘違いの交錯で話はとんでもない方向へ...。
稽古場には旅館の入り口付近らしきセット。古ぼけた自動販売機やお土産物などが置かれ、すでに"寂れた旅館"...というか、レトロなにおいがぷんぷんしている。どうやら物語は後半らしい。誤解が誤解を呼んでるらしい。とある客が早くここから逃げなきゃ! と大騒ぎ。その思考回路、言い方etcがとても面白いのだが、その面白さをさらに追求したいのだろう、宅間からは細かい要求が飛ぶ。どのタイミングでどう動くのが効果的か、時に自身で実際にやってみながら宅間は細かく演出をつけていく。
さらに、コミカルの中にも宅間はリアリティにこだわる。怒るセリフをただ怒って読むのではない、と言う。「何を受けて怒ったの? (相手役の)何にキレた? 態度か、言葉か、顔か。態度ならどの一瞬が気に障ったんだよ。それはお前の中で決めていいから、それが役作りというものなんだから。その発見がないとテンションがあがらないぞ!」と俳優にハッパをかける。
その後、シーンは変わり、ここではコメディの王道とも言うべき、際どいタイミングでのすれ違いが描かれる。
ここでも宅間のこだわりが炸裂。一方が登場するのは、もう一方がドアに手をかけた瞬間かはたまたドアが閉まった瞬間か...。微妙な違いでより面白さが際立つ方を見極めていく。
汗だくになりながらもフットワーク軽く「こうした方がいいですかね!」と積極的に案を出していく岡田義徳が爽やかだ。
これぞドンピシャ!とタイミングが合った時には、自然と稽古場中から拍手が沸きあがった。
宅間が何度も繰り返し俳優に訊いていたのは「モノローグは?」という言葉。その時その時のキャラクターの芯となる感情を俳優にしっかりと認識させた上で、セリフや動きをつけ、その結果リアリティが生まれていく。
厳しい言葉がポンポン飛び出すが、稽古場の雰囲気はけして暗くはならない。宅間が怒鳴った10秒後に爆笑が起こるような、不思議な稽古場。本人も良く笑う。俳優たちも良く笑う。
セレソンの舞台に一貫して温もりが感じられる理由が、わかるような気がした稽古場だった。
公演は9月4日(日)に東京・シアタークリエにて開幕。その後、札幌、名古屋、大阪、広島、福岡でも上演されます。
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↑こちらは、出番ではない稽古を真剣に見つめる、片桐仁さん&柴田理恵さんでした。