【演劇ニュース】
舞台『おもいのまま』の製作発表が4月7日、都内で行われ、主演の石田えりをはじめ、佐野史郎、音尾琢真、山中崇ら出演陣と、演出の飴屋法水が会見に出席した。作品は石田のアイデアをもとに、中島新が書き下ろした新作。演劇界、美術界と多方面で活躍する鬼才、飴屋法水が演出・美術・音楽デザインを担当する。
高級住宅街に住む、裕福な夫婦の家を訪れたふたりの雑誌記者。記者たちは、殺人事件の取材と称して家へ上がりこみ、室内を物色。夫妻のプライベートにも踏み込んで、やがて夫妻の秘密に迫っていく。夫妻役を演じるのは、今回が舞台初共演となる石田えりと佐野史郎。
「どうして自分の人生にこんなことが起こるんだろうか。そんなきつい状況の中で、残されたわずかな自由をどう受け止め、どう行動すべきなのかがテーマ」と語る石田えり。作品の企画発案者として、「脚本家も飴屋さんも佐野さんも、ひとりひとりに、ぜひお願いしたいと声をかけさせていただいた」と話しながら、才気あふれる個性派たちを前にして「一見すると、あんまり成功しないんじゃないか、という顔ぶれですけど」とジョークを飛ばす。それでも「ほんとに"この人がいい"と思った人だけでやっていくと、はたしてどうなるのかという興味があった。みなさんの力をいただいて、演劇の新たな可能性が開けるようなものができたら」と意気込みを語った。
会見より。写真左から、山中崇、佐野史郎、飴屋法水、石田えり、音尾琢真
演出の飴屋法水は、ある演劇的な仕掛けが施されていて説明が難しいと断りを入れながらも、「脚本家の方(中島新)も石田さんのアイデアを聞いてそれを形にしようと苦労されたと思います。表面的には、言葉のやりとりなどリアリズムなんですが、全体の構成が斬新で挑戦的」と作品の魅力を静かにアピール。
夫役で共演する佐野史郎は「有事に至った時にどうするのか、ということを突きつけられているのが今の日本。現実と舞台を重ね合わせながら台本を読んだ」、記者役の音尾琢真(TEAM NACS)は「大先輩を前にして、35歳の若輩者はただビビるばかり。事務所の社長の鈴井が、昔から飴屋さんの大ファンで、すごい人だと。こういう面子に囲まれて感無量です」とそれぞれコメントした。
舞台『おもいのまま』は、6月30日(木)からの東京・あうるすぽっと(豊島区立舞台芸術交流センター)での公演を皮切りに、愛知・大阪・兵庫など各地を巡演。あうるすぽっと公演のチケットは4月10日(日)より一般発売開始。