【演劇ニュース】
病気療養のため、3月の博多座公演『桜壽博多座大歌舞伎』を休演することになった中村勘三郎。2月7日、福岡市内のホテルで記者会見が行われ、中村橋之助、中村勘太郎が勘三郎の病状と、3月公演での配役変更について語った。
「まずは、ファンの皆様、スタッフ、共演者の皆様にお詫びしたい」と、息子の勘太郎が深々と頭を下げる。勘三郎が体調の異変を訴えたのは、昨年10月。熱が出て、体がフワフワしている状態が続いていた。ビタミン剤点滴などで対処したが12月に入っても回復の兆しがなく、医師からは過労の蓄積との診断。やむなく3月公演も休演を決めたという。「襲名以来の博多座公演であり、九州新幹線全線開業という華々しい記念公演。前からずっと『3月の博多座公演では、これをやろう、あれをやろう』といつも話してたくらいなので、父は相当悔しがっています。僕も悔しいです」(勘太郎)
勘三郎の休演にあたり、配役変更も発表された。昼の部の『平家女護島 俊寛』の俊寛僧都を中村橋之助、夜の部の『棒しばり』の太郎冠者を中村七之助、次郎冠者を市川猿弥、『夏祭浪花鑑』の団七九郎兵衛を中村勘太郎が演じることになる。橋之助の俊寛は初役ではないが、博多座では初登場。そして勘太郎の団七九郎兵衛は正真正銘の初役となる。
「勘三郎は父親ではありますが、僕にとっては憧れであり、畏れであり、光のような存在。中でも団七九郎兵衛は輝いていた。そして『自分が輝けるのは仲間のおかげだ』といつも言っていた。僕もこの素晴らしい仲間たちと一緒に光になりたい。不安ではありますが、やるからには命を削ってでもやりたい」(勘太郎)。「『夏祭・・・』は(渋谷)コクーン劇場、ニューヨーク、ベルリン、そして大阪と何度も上演していますが、役者や人間としての成長が出て、毎回違う作品になる。串田(和美)さんの演出も見事だし、今回また新たな魅力に出会えるのではと楽しみ。九州新幹線と共に、新しい団七も開業ですね(笑)。もちろん自分も頑張りますし、この一座は勘三郎だけではない!というところを見せたいですね」(橋之助)。
勘三郎の休演は寂しいが、勘太郎のフレッシュな団七九郎兵衛を博多座で見られるのも楽しみ。大詰めの演出が毎回話題となる本作だけに、博多座での演出にも期待が高まる。チケットは好評発売中。