●ヒラノの演劇徒然草●
11日に行われたミュージカル『アンナ・カレーニナ』の会見から、こぼれ話をお伝えいたします。
(ニュースも配信しましたのであわせてどうぞ!)
原作はロシアの文豪、トルストイにより1873年に発表された小説。
この文学史上に残る名作をミュージカル化、ブロードウェイで1992年に初演されたのが本作です。
日本初演は2006年。
この時も主演を務めた一路真輝に加え、今回は瀬奈じゅんをWキャストでアンナに迎え、上演されます。
会見会場は第一ホテル東京。
ということで、「本日は11月11日、午後1時、第一ホテルにて一路真輝。1が7個続いております...」と一路さん。
本格的な舞台出演は約4年ぶりということで「浦島太郎みたいなかんじ。(この会見のような)晴れがましい席など、とっても緊張してしまう」と、少し照れ臭そうな笑顔を浮かべていらっしゃいました。
物語の本筋はアンナと青年将校ヴロンスキーの不倫の恋。
結婚したことで物語に対する解釈に変化はあったか、との質問には「結婚する前(初演)とその後(今回)、というより、私の場合は子どもができたかどうかで作品への取り組みが違うかなと、と思いました。ただ、今年に入ってあるコンサートで『セリョージャ』(アンナが最愛の息子を思って歌うナンバー)を歌わせてもらった時に、リハーサルで涙が止まらなくて困ってしまったんです。その時、役者というのは実生活に変化があっても役の捉え方に冷静でいないといけない、ということを逆に学びました。子どもが出来たから子どもを持つ役がうまくできるとかそういう単純なものではない。自分が変わったからアンナも変わるというのではなく、真正面から役にぶつかっていけたら」と、女優として役とどう向き合うか、にまで言及。真摯なお人柄が覗く一幕でした。
一方、Wキャストでアンナを演じる瀬奈さんは、エリザベートに続き、一路さんが演じた役への挑戦。
『エリザベート』の舞台稽古を観に来た一路さんが、瀬奈さんの手をマッサージしながら"ダメ出し"してくれたそうで、その時に「あー私、この人の子どもになりたい!」と思ったそうです。「でもそういうわけにはいかないので、一路さんの持つ母性を近くで学ばせていただいてたくさん吸収したい」とのこと。
また、『エリザベート』では息子役だった伊礼彼方さんが恋人・ヴロンスキー役ということで「その時には与えられなかった愛情を与えたいと思っております(笑)。愛の違いを楽しんでいただければ」。
これに対し伊礼さんも「(エリザベートでは)僕がいくらすがった目を見せても愛情をいただけなかったので、この作品ではいっぱい愛情をいただきます(笑)」。
瀬奈さんと伊礼さんはその後もなかなかにテンポのよい掛け合い(!?)を披露されてまして、
「今までで"運命"だと思った経験は」という質問で、瀬奈さんが一路さんが演じた役をやることが多いことから一路さんに運命を感じている、と言ったあとに「個人的なことを申しますと、早く"運命の人"に出会えたらいいなと思っております。頑張ります」と発言したところですばやく伊礼さん、「早くみつかるといいですね」。
対して瀬奈さん「ご心配いただきありがとうございますッ(笑)」。
そんな伊礼さんは「ヴロンスキー風に言えば、『運命の人にたどり着くまで過ちを繰り返していく』。"過ち"って非常に失礼だなと思いますね、今までの女性に対して。だから僕はその都度その都度、運命だと思って付き合ってきました。......何を告白してるんでしょう(笑)」
もちろん会場は爆笑でした。
ちなみにアンナの夫・カレーニン役の山路和弘さんは「いつでしたか、帝国劇場の稽古場に間違って入ったら、ちょうどドレスの仮縫いしてる方がいまして。一路さんだったんですけど。その時にものすごい目で見られて(笑)。それが初演のずっと前なんですが、その方と夫婦役になるとは思わなかったので運命を感じました」という告白をしていました。
公演は12月25日(土)に開幕です。
チケット情報はこちら。
↑劇中ナンバー「Seryozha(セリョージャ)」を披露する一路真輝
↑劇中ナンバー「Waiting for You(待ち焦がれて)」を披露する瀬奈じゅん
↑劇中ナンバー「Waiting for You(待ち焦がれて)」を披露する伊礼彼方