「本当に恐ろしいのは」
今回の2作品は、完全にやられ役。『オイディプス王』では速攻で集団リンチをうけ、『タイタスアンドロニカス』ではあっという間に穴に落ちます。どちらも恐怖を伝えるのに、あれこれ苦心しています。
ですから稽古もかなーりスリリング。頭から地面に落とされそうになったり、顔面に蹴りをくらったり。気をしっかり持っていないと、殺られますウフフ。
そして私が密かに一番恐れているのは、大先輩の山本さんです。彼の身体能力は尋常じゃなくまるで武士のようです。
スレンダーな体形ながら、とてつもなく怪力の持ち主。寝ている私を抱えて放り出すシーンで、本来は先ず直立させるはずなのに、その時点で私の足が床に着かないほど持ち上げるのです。地面に横たわっている人間を、自分の力だけで持ち上げ放り投げる人は、そういないでしょう。
そんな山本さんは前回の公演で、穴に落ちる稽古をしている私に、不意に近寄り(山本さんの不意は目にも留まらぬ速さです)手をむんずと掴み、恐ろしい力で引っ張ったことがあります。バランスが崩れて倒れ込む私(勿論ケガはない)。
「こういうことだよ!」BY山本
さすが達人。リアルな恐怖が体を駆け抜けました。
また四畳半の稽古をしていた時は、不意に背後に忍び寄り、いきなり片手で私の背中を押しそのまま持ち上げました。
今回はまだですが、いつ山本さんが不意に現れるか、ハラハラしております。
『オイディプス王』
ハンガリー公演ダイジェスト版
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